AIアンドロイドの憂鬱

杏仁 東風(アンニントーフー)

アルカディア

コロニー内の気候は

地球環境と変わらず、

春夏秋冬の季節と変わらない気候で

1年の周期を保っている。

せっかくならずっと春夏の温暖な

コロニーにしたほうが過ごしやすいんじゃ

ないかと正直思ってしまうが、

季節の変わり目のあるこのコロニーも

嫌いじゃない。

だが、今はそんなことを気にする余裕すら

この世界にはないのかもしれない。

各コロニーの間を移動する輸送船は

満員御礼状態だろう。

クリスマス前の忙しい時期に

輸送船用アンドロイドたちですら

悲痛な叫びを上げている。

まあ、実際のところはそう見えるだけの

幻想なのかもしれない。

大型空間転送装置ワールズドアーズから

出航する輸送船、

別名、空飛鯨は空を王者のごとく

泳遊している。

マザーコンピュータ『ファザー』の

指示下で統制されているありとあらゆる

巨大AIアンドロイドたちは

まるで生き物と変わらぬくらいの

精密な認識を持ち、

それを人間が利用する対価的等価で

保たれている。

本当のところは人型に近いAIアンドロイドも

存在するのだが、

このコロニーでは見かけない。

自分以外の

ヒューマノイド型AIアンドロイドは

規制されている。

そう、アベル・G・オールドマンと

呼ばれる初源のAIアンドロイドの

僕以外のアンドロイドはみな

動物型AIアンドロイドだ・・・

そして、今はもうこのコロニーに

人型なのは僕だけだ・・・

だからといって、人型が滅亡したとか

そういう訳じゃない。

このコロニーに人型がいないだけだ。

初源の僕を残して、

人間とそれに模した人型は別のコロニーに移住していっただけ。

初源の楽園アルカディアと呼ばれる

このコロニーに僕を残して。

「AIアンドロイドの憂鬱」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く