俺の許嫁は幼女!?

白狼

95話 その日は用事があるのです

 麗華と別れて高校まで行き、机に座ると既に学校へ来ていた優奈が俺の元へ来た。


「おはよう、陽一君。」
「おはよう、優奈。どうかしたのか?」
「ちょっと暇だったから陽一君と話したいなって思ってたの。」
「そっか。まぁ、俺と暇だから別にいいけど。」


 それから俺たちは、5分ほどどうでいいような話を話していた。そして、そこへ太輔がやってきた。


「おはよう、陽一、水城さん。」
「おはよう、太輔。」
「おはよう、後藤くん。」


 俺たちは、そんな当たり障りのない挨拶を済ませ太輔も話に加わった。そしてそれから康介と麻美がやって来ていつものメンバーとなった。


「なぁ、みんな、今週の日曜暇か?」


 太輔が唐突にそんな話をしてきた。


「俺は、暇だよ。」
「私も暇ね。」


 康介と麻美は、すぐに返事をした。
 確か今週の日曜日は、美優の運動会のある日だったな。


「悪い、俺はその日、用事があるんだ。」
「そっか〜、陽一は無理か〜。」


 俺が無理だと知ると太輔が少しため息を吐いた。


「あ、私もその日、用事があるの。」
「水城もか?」
「2人そろって用事があるなんて………これは何かあるのかな?」
「ま、麻美ちゃん!?な、何言ってるの!?」
「いや〜、だって、2人そろってなんて怪しくない〜?」
「あ、怪しくないよ!普通に私は家族の方で用事があるの!」
「あはは、そうだったんだ。ごめんね、からかい過ぎちゃった。」
「もう〜……」


 優奈と麻美がふざけ合っている一方で太輔が何かのチケットを取り出していた。


「太輔、なんだ、それ?」
「動物園の無料チケット。父さんから貰ったんだけどみんなの分あるからみんなで行こうと思ってたんだ。」
「あ、そうなんだ。悪いな。」
「いや、まぁ、このチケットの有効期限もまだまだ平気だから、大丈夫だ。みんな、来週の日曜はどうかな?」


 来週の日曜は、何も用事が入ってないので俺は大丈夫だと伝える。他のみんなも大丈夫そうだ。


「それじゃ、来週の日曜にみんなで行こうぜ。」
「動物園なんて久しぶりだな。」
「そうだね………昔は、よく私の家族と陽一君の家族で行ってたんもんね。」
「ああ、確かにそうだな。懐かしいな。」
「へぇ〜、2人は一緒に動物園に行くほど仲がいいんだ。」
「ま、麻美ちゃん!?また、ニヤニヤしてるよ!?」


 確かにニヤニヤしてる。なぜだ?
 そんなことを考えている間にチャイムが鳴りるみちゃんがやって来た。


「それじゃ、詳しいことはまた今度な。」


 太輔は、そう言って自分の席へ戻っていった。みんなも自分の席へ戻っていった。
 それから普通に学校生活を送った。
 そして、夕方になり帰りのホームルームを終えると俺は体をほぐすように伸びをした。


「陽一君、帰ろ〜。」
「そうだな〜………ふわぁ〜」
「陽一君、また最後の授業で寝てたでしょ?」
「うっ、なぜバレてる………」
「全く……はい、これノート。」
「本当にいつも悪いな。………なぁ、優奈、今度から授業中、俺が寝てたら起こしてくれないか?」
「え!?ど、どうしたの?起こしてなんて……前は授業中寝るのは俺の生きがいなんだよ!って言ってたのに。」
「いや、そこまで言ってないよ!?」
「でも、そう思ってたでしょ?」
「うぐっ………」


 優奈には本当に隠し事ができないような気がしてきた。


「……ちゃんとしないといけないと思い始めたんだよ。」
「へぇ〜、そうなんだ。まぁ、ちゃんとすることはいいことだと思うよ。なら、今度から起こすね。でも、起こしたからって怒らないでよ?」
「怒らない怒らない。逆に1回起こしてもらう事に優奈の言うことなんでもひとつ聞いてあげるよ。」
「なんでも!?」
「あ、なるべくお金を使わない方向でお願い。」
「そ、そんなの分かってるよ!…………でも……なんでもなんて………なんでも………ふふっ」


 優奈さんがだいぶ怪しい笑を浮かべているのですが………何をお願いされるんだろう……だいぶ怖いです。


「そ、それじゃ、ノート借りておくな。明日には返すから。」
「あ、うん、分かった。」


 俺は、優奈から借りたノートをバックの中に入れる。


「それじゃ、帰るか。」
「あ、帰る時に買い物もしたいんだけど………」
「なに、遠慮してんだよ。いつも付き合ってあげてるだろ?」
「う、うん、そうだよね。ありがとう。」
「今日は、スーパーの方か?」
「ううん、今日は市場の方でお買い物。」
「そっか、なら、行くか。」
「うん。」


 俺たちは、自分のバックを持って市場へと向かった。

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