俺の許嫁は幼女!?

白狼

50話 怒られました

 優奈side


 花火大会を終え、陽一君と散歩をした後、急いで家へと帰ってきた。
 陽一君は、家に泊めてあげるとお母さんが言ったけど麗華ちゃんが怒るからと言って帰って行った。
 その後、私とお母さんは、2人で陽一君が、見えなくなるまで外にいた。そして、家に入った途端、お母さんから質問攻めされた。


「ねぇ、優奈!あんた、こんな時間ってことはもう告白くらいはしたんでしょ!?それでイチャイチャしててこんな時間になったんでしょ!?」
「ち、ちが………」
「え!?あんた、まさか告白してないの!?はぁ!?ありえない!!」
「お、お母さん!お父さんが起きちゃうから!」
「大丈夫よ、あの人ったら寝たら朝まで起きないから。それで、本当に告白さてないの!?」
「……………私は、したつもりだったんだけど………」


 私は、今さっきまでの陽一君との会話の内容をお母さんに話した。


「はぁ〜、そういうこと。あんたは、告白したつもりだったけど陽一君にはそれは自分への想いとは分からなくて他の人だと勘違いしてるってことよね?」
「う、うん……多分そうだと思う。」
「はぁ、陽一君は、こういうことには鈍いと思ってたけどここまでとは……まぁ、鈍い陽一君も悪いけどそんな誤解させる言い方をしたあんたも悪いわよ。」
「う、うぅ……わ、私的には精一杯頑張ったつもりなんだけどな……」


 私は、なぜか瞳から涙が零れてしまった。その涙に込められていた想いは………不安。


「うぅ……ひっく……うぅぅぅ………陽一君に誤解されたままなんて嫌だよ〜……うぅ……私、このままじゃ嫌だよぉ〜………」


 私は、今までこんなにも泣いたことがあるだろうかと思うくらいに号泣してしまった。
 すると号泣している私を慰めるようにお母さんが私を抱きしめてきた。


「もう、失恋したんじゃないんだから泣かないの……ちゃんと話せば分かってもらえるわよ。次は、ちゃんと陽一君に伝えなさい。あんたの気持ちを……」
「つ、伝わるかなぁ〜……うぅ……」
「大丈夫、陽一君ならちゃんと分かってくれるはずよ。」
「で、でも……もうそんな勇気……出ないよぉ〜……」
「はぁ、そんなの勇気出すしかないでしょ!そこまでは誰も見てあげられないわよ!」
「ずず………」
「大丈夫、あんたの陽一君の好きな気持ちを言葉にすればいいだけなんだから。そんなの考えなくてもすっと出てくるもんだよ。」
「陽一君の好きな気持ちを言葉に………うん!頑張る!」
「ふふっ、頑張りなさい。陽一君のことを想う気持ちじゃあんたは、誰にも負けてないんだから!だから………取られるんじゃないわよ!」
「取られる?どういう意味?」
「いえ、なんでもないわ!それより、私、そろそろ眠くなってきちゃった。私、もう寝るわね。おやすみ〜。」
「あ、うん、おやすみ。」


 お母さんは、寝室の部屋へと入って行った。
 お母さんの言ってた取られるって意味が少し分からなかったけど私ももう眠たいからお風呂に入ってぐっすりと眠った。
 ちゃんと陽一君に伝えたい。この気持ち。


 陽一side


「ふぁ〜、ねむ……」


 俺は、あくびをしながら朝食を食べる。
 そして、俺の向かい側の席でまだ怒っている麗華も朝食を食べている。


「お兄ちゃん、食事中にあくびはどうかと思うよ。」
「ご、ごめん……それと…まだ怒ってる?……よな……」
「もう怒ってないよ……」


 麗華は、そう言いつつも頬を膨らませている。その姿に俺は、可愛いと思ってしまった。いま、まぁ、可愛いんだけど。


「昨日のことは俺が悪かったって。何度も謝ってるだろ?」


 俺がそう言うと麗華は、箸をテーブルにバンッと置き勢いよく席を立ち俺に怒鳴った。


「謝って済むことじゃない!あんな遅くに帰ってきて!私、すごい心配したんだから!お兄ちゃん、もしかしたら交通事故にでもあったんじゃないかって!すごい心配したんだから!」


 麗華は、目の端に涙を溜めてそう言い放った。
 俺は、それを受け止めるしか出来ない。俺に反論することがないからだ。
 でも……こんなに怒ったのはいつぶりだろうか……


「本当に悪かったって。今度から遅くなら場合は連絡するから。」
「………分かった。今回はそれで、許してあげる。でも、次破ったは門限つけるから!」
「も、門限……わ、分かった。」


 門限か……何時くらいに設定されるんだろうか。それが分からないから怖いな。ちゃんと連絡しないとな。


「………お兄ちゃん、早くご飯食べよ。じゃないと冷めちゃうよ。」


 麗華は、今さっきの怖い雰囲気から一転していつもの優しい雰囲気に変わった。
 俺は、その麗華を見てホッと胸をなでおろした。


「ああ、悪い。」


 俺は、残っていた朝食を食べる。


「ごちそうさまでした。」
「お兄ちゃん、お皿洗うの手伝ってね。」
「ああ、分かった。」


 俺は、自分の使った食器を食器洗い場に持っていき麗華と二人で食器を洗う。
 こういうときに麗華か俺を頼るのは空いてしまった距離感を戻すために行っている。
 かと言って麗華から話しかけてくることはあまりないので俺から話しかける必要がある。
 俺は、洗った皿を麗華に見せるようにして話しかける。


「麗華、こんなもんでいいか?」
「………あ、ここがまだ汚れてるよ。ちゃんと洗ってよね。みんなが使う食器なんだから。」
「わ、悪い。………やっぱり麗華は、偉いな。こんな面倒なことを毎日やってるんだから。」
「そ、そんなことないよ。誰かがやらないといけないことなんだし………それに………」
「それに?」
「う、ううん!なんでもない!それよりも口を動かさず手を動かす!」
「は、はい!」


 俺は、麗華に急かされて食器を洗う手を動かす。
 それからは、普通通りに接することができた。

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