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僕は過ちを正すため、過去に飛んだ。

黒山羊

EP23 狂気のその先

「はぁ、はぁ…」

 隼人は件の公園から離れ大通りに出るとすぐ近くに止まっていたタクシーに飛び乗って秋田駅に向かってくれるよう頼んだ。

 途中、公園がタクシーの中から見ることが出来たので身をドアで隠しながら覗くようにして様子をうかがった。
 しかし、公園はもぬけの殻のようだった。

「やはり、不自然だな。」

 とりあえず、一度落ち着くことが出来たので今の状況を整理することにした。

 まず、隼人が秋田に来ることは分かっていたという仮説はあっていたと考えていいだろう。そして、先程も考察したとおりで公園での恵との接触も偶然などではないはずだ。
 現に隼人の場所を浩二たちに報告していた。これが何よりの証拠だ。

実際、東京駅内でも誰かから見られている視線は感じていた。あそこは人通りも多いし、ただの自意識過剰かと思っていたが、隼人の行動を浩二たちが監視していたとなると自意識過剰では済まされないだろう。

 問題は、隼人が秋田に来ることがなぜわかったのかということだ。

 隼人が秋田へ行くことを決めたのは今朝だ。この決めた時点でバレていたというのは流石にないだろうと信じたい。家の中に盗聴器や盗撮のカメラがなければだが。
 例え、あったとしていても、可能性が薄いことに変わりはない。
実は、隼人は今朝起きてからすぐに携帯で東北新幹線のきっぷを購入していたのだ。
 そのため、隼人はとても早い便で秋田まで来ることが出来ている。だが、浩二たちに現場で会ったときには彼らからなぞの余裕を感じた。つまり、隼人よりも早い時間に到着できていて尚且公園の位置も把握できていて仕込みに成功したということ。

「うまく出来すぎているんだよな」

 そう、すべてが完璧すぎるのだ。実際、今の彼らはほぼ完璧に予定をこなせているだろう。完全に完璧でないと思う理由は、件の公園で隼人が闘争に成功できたところと言った感じだろうか。正直、あそこで隼人を逃がすメリットというのが存在しない。お腹の空いた獣が目の前の獲物逃がすというレベル。

 今回の隼人の逃走まで想定内なら流石にお手上げだ。

 隼人は少し疲れて一呼吸する。今日はいろんなことがありすぎた。

 目をつぶって一旦考えることを放棄しようと思った隼人だったが、一つの可能性が頭に浮かび再び脳を稼働させ始める。

 その可能性とは【初めから仕込まれていた可能性】だ。

 恐らくだが、浩二たちの会話を聞く限り隼人が未来から来ていることをあの二人は知っているだろう。そう考えれば、東山財閥の“スティックフォン”の発売が納得できるのだ。
 浩二がスティックフォンの作り方等を教えたというところだろうか。

 そう仮定するなら、浩二は隼人が東山財閥と接触を図ることは分かっていたはずだ。ここからすでに仕組まれていた事になる。

 「秋田に来ることも向こうの想定内だってわけね」

 隼人はその後、ネットでグランドペアレンツケアについてネットで調べてみたが、分かった情報は一つもない。明らかに不自然だ。今朝はこんな不自然なことにも気が付かなかったのだから怖い。

 その後、秋田駅に着いた隼人だったが、驚くべき事態となった。
 車両の事故と、大雨の警報が流れ便が完全に欠航されたようだった。

 仕方がなく、駅の近くのホテルに泊まることにした。本当はこんな怖いところから早く出たかったが仕方がないと咀嚼した。

~別地点にて


 「嗚呼。なんで貴方はこんなに残酷でいて、とても美しいのでしょうか?」

  教会らしきところから聞こえる女の声。

「私の恨み。怨念。願いに嫉妬心。孤独に自由。これら全てに対し私は敬意を払いましょう。神(悪魔)よ。私の亡き肉体にこれらの敬愛すべき感情に臓器をすべて献上いたします。この私の汚い腕で勘弁してください。私にはもう払えるものがございません」

 女は狂気に狂った目をし、口は避けるほどに開きながら悪魔【サタン】の銅像にヒザマ付いていた。

「全てはあいつ(西峰 隼人)の物語をバッドエンドにするために」

 彼女のそんな声が協会に木霊するのだった。


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