僕は過ちを正すため、過去に飛んだ。
1章EP8動き出した歯車
「はぁ、はぁ」
隼人は結衣と別れると、とにかく東山財閥へ向かった。
 今回、本当の未来のような爆発事件なんて起こるかは分からないが、不安の種は消しておく必要があった。
 隼人は具体的な解決策は思いついていないが、とりあえず東山吹雪に会ってみることにした。
隼人の記憶は完全ではない。
 仕事熱心な男であったため、当時の彼には自分の会社以外の周りのことに目が届いていなかったのだ。
さっき思い出した記憶。これは自分の力で思い出したと隼人は思っていない。
 恐らく、何かしらの力が隼人の過去をほじくったと考えている。
 その何かしらというものが何なのかは定かではない。
罪を償うために隼人は過去へと戻っていった。つまり、この事件を食い止められるのは彼にしかすることができないことだった。
その事がプレッシャーとして隼人に重くのしかかる。
実のところ、この爆破事件の犯人にもあてがない。
 思えば思うほど、当時自分がいかに周りに興味を持っていなかったのか、たくさんしてきた後悔がまた込み上げてくる。
付け足すのであれば、記憶に出てきた女の人も、仁君というのも記憶にない。
テレビで見た記憶か?とも思ったが、よく考えれば、テレビがそんなに生々しいわけがない。
あれは一体なんなのだろうか。
「はぁ、はぁ…ついたか。」
息を切らせながら目の前にそびえ立つ巨大な建物。東山財閥の名前が強調された看板が見える。
この建物が崩れ落ちるのかと思うと、流石の隼人も身震いをする。
そこで、携帯を取り出し、数少ない連絡先の中の東山吹雪をタップする。
プルルルル
電話の着信音が鳴り響く。2コール。3コールと。そして
「もしもしぃ」
無邪気な声で相手、東山吹雪は着信を受け取った。
「いきなり電話ごめん。俺、今日少し暇だったから吹雪と遊びたくて。」
まずは、彼に怪しまれないように会う事が大事だったので思ってもいないことを言う。
「お、おお。いいぜ。俺も暇だからな。」
そして、隼人は電話を通信オンのまま、一階のロビーに入る。
例のごとく、警備員に話しかけられる。
隼人は通話中の携帯を警備員の耳に当てる。
すると、警備員は血相を変えて隼人に頭を下げる。
「申し訳ありませんでした!吹雪様のお友達様と言う事で、私て知らなくて。ご無礼をお許しください!」
そのまま、隼人の背中を押し、エレベーターまで送られた。
「どうぞ、ごゆっくりと…」
エレベーターが閉まる時、警備員は隼人に向けてニッコリと笑い何か言った。
まぁ、最後の方は聞こえなかったのだが。
そのまま、最上階に着く。
エレベーターが開くと部屋の前に立っていたのはメイドのような格好をした女性だった。
上品な顔立ち。身長も女性にしてはやや高く、スレンダーな体型だ。モデル級と言ってもいい。
「西峰隼人様ですね?」
「はい」
隼人はその女性の顔を見れずに答えた。見惚れてしまいそうだ。
「でしたら、こちらを曲がった先が坊ちゃんの部屋です」
言われるがままにその部屋へとたどり着く。
「ごゆっくりと」
そうして、軽く会釈した女性。隼人も軽く頭を下げる。
ふと気づいた事だが、その女性の名札には「美穂」と書かれてあった。
その、美穂の声にどこか違和感を感じた隼人だったが、結局あまり気にすることもなくドアを開け中に入った。
さて、今からが本番だ。
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