僕は過ちを正すため、過去に飛んだ。
第1章EP4偽りの笑顔
授業終了後、早希結衣は、小鳥遊と、津田に隼人の書いたノートを渡していた。
やはり、早希の顔からは多少の恐怖が読み取れた。
隼人の記憶だけでは心配だったが、これで早希がいじめを受けているということは確定したようなものだった。
そして、ノートを渡し終えた早希はトテトテとぎごちなく走りながら隼人の方に寄ってきた。
「西峰くん!ありがとう!」
安堵しきった満面の笑みで隼人にお礼の言葉を言った。
「大した事じゃない。これからも分からないことがあったら聞いてくれ。お隣同士だしな」
「うん!」
そうしてまたトテトテとどこかへ走り去る。
よし、好感度アップ成功した。このまま信頼まで勝ち取っておけば俺が彼女を守る口実も出来そうだ。
そうして、隼人の中にある作戦の第1ステージを突破し、次の作戦に移動しようとした…その矢先。
成績のために引き受けた学級委員長の仕事を終え、時刻は5時を回り、一人帰ろうとして玄関に向かう途中、美術室を通りかかった時に嗚咽とともに鳴き声が聞こえ、中を覗くと、
「う、んん。」
痛みを我慢するように声を押し殺し、彼女は慣れた手つきでカッターを自分の手の上で滑らせる。
 鮮やかな朱色の血が姿をあらわす。涙をたくさん流し、嗚咽は止まらず、とても苦しそうに見えた。
隼人の体は無意識に動き、気がつくと彼女の手を掴み、言っていた。
「何、やってんだよ…」と
「…」
彼女、早希は答えようとしない。
だが、抵抗するそぶりも見せなかった。
そのまま再び流れる大量の涙が全て流れるまで隼人はそのままその場に立っていた。
その後、美術室の片付けを済ませ、一人で帰らせるのは少し怖かったのと、どうしてこうなったのかを聞くために一緒に帰ることを提案し、早希も静かに頷いた。
そして、帰り道、口を閉ざしっぱなしだった早希が理由を話し始めた。
「西峰君と別れてすぐ、小鳥遊君に呼ばれて男子トイレの中に呼ばれて、この問題が間違えてる、字が汚い、生意気って言われてお腹とか足とか蹴られたの。顔にも強いビンタを、されて。」
なるほど。
さっきまではひどい泣き顔で気付くことが出来なかったがよく見ると左頬が腫れている。腕にはリストカットの跡以外目立ったものは見えない。
しかし、理由は分かった。そして、現状理解した隼人の口から出た言葉は
「それ、間違いなく俺のせいじゃね」
問題が間違えたのも、字が汚かったのも間違いなく隼人の責任だ少なくとも早希に非はない。
「いや!西峰君は悪くないよ!私が確認しなかったのが悪いし!」
やばい。早希の顔見れない。申し訳なさすぎる。
「おれ、字を綺麗に書くように心がけるね。ごめんなさい」
隼人は精一杯の懺悔を込めて謝った。それに早希は軽く微笑むと
「いいよ!謝ってくれただけでそれだけでいいの。
素直に謝ることができる事って生きている全ての人にとって一番大事なことだもん!」
思わず泣きそうになってしまった。
今、誰よりも辛く悲しい思いをしてる人が言葉なんて薄ってぺらいものなんかで苦しみを耐え、根源を作った人を許そうとしている。
つくづく、思い知らされた。
人って素晴らしいのだと。それを知らずに生きてきた自分が恥ずかしかったのだと。
「えっと、じゃあ私帰るねっ!今日は本当に色々ありがとうね!」
「あ、いやむしろ何もしてな…」
早希は隼人の返事を聞かずに走り去っていく。その背中はか細く、とても弱々しかった。
笑顔を、ここまで信じられないことも生まれて初めてだった。
やはり、早希の顔からは多少の恐怖が読み取れた。
隼人の記憶だけでは心配だったが、これで早希がいじめを受けているということは確定したようなものだった。
そして、ノートを渡し終えた早希はトテトテとぎごちなく走りながら隼人の方に寄ってきた。
「西峰くん!ありがとう!」
安堵しきった満面の笑みで隼人にお礼の言葉を言った。
「大した事じゃない。これからも分からないことがあったら聞いてくれ。お隣同士だしな」
「うん!」
そうしてまたトテトテとどこかへ走り去る。
よし、好感度アップ成功した。このまま信頼まで勝ち取っておけば俺が彼女を守る口実も出来そうだ。
そうして、隼人の中にある作戦の第1ステージを突破し、次の作戦に移動しようとした…その矢先。
成績のために引き受けた学級委員長の仕事を終え、時刻は5時を回り、一人帰ろうとして玄関に向かう途中、美術室を通りかかった時に嗚咽とともに鳴き声が聞こえ、中を覗くと、
「う、んん。」
痛みを我慢するように声を押し殺し、彼女は慣れた手つきでカッターを自分の手の上で滑らせる。
 鮮やかな朱色の血が姿をあらわす。涙をたくさん流し、嗚咽は止まらず、とても苦しそうに見えた。
隼人の体は無意識に動き、気がつくと彼女の手を掴み、言っていた。
「何、やってんだよ…」と
「…」
彼女、早希は答えようとしない。
だが、抵抗するそぶりも見せなかった。
そのまま再び流れる大量の涙が全て流れるまで隼人はそのままその場に立っていた。
その後、美術室の片付けを済ませ、一人で帰らせるのは少し怖かったのと、どうしてこうなったのかを聞くために一緒に帰ることを提案し、早希も静かに頷いた。
そして、帰り道、口を閉ざしっぱなしだった早希が理由を話し始めた。
「西峰君と別れてすぐ、小鳥遊君に呼ばれて男子トイレの中に呼ばれて、この問題が間違えてる、字が汚い、生意気って言われてお腹とか足とか蹴られたの。顔にも強いビンタを、されて。」
なるほど。
さっきまではひどい泣き顔で気付くことが出来なかったがよく見ると左頬が腫れている。腕にはリストカットの跡以外目立ったものは見えない。
しかし、理由は分かった。そして、現状理解した隼人の口から出た言葉は
「それ、間違いなく俺のせいじゃね」
問題が間違えたのも、字が汚かったのも間違いなく隼人の責任だ少なくとも早希に非はない。
「いや!西峰君は悪くないよ!私が確認しなかったのが悪いし!」
やばい。早希の顔見れない。申し訳なさすぎる。
「おれ、字を綺麗に書くように心がけるね。ごめんなさい」
隼人は精一杯の懺悔を込めて謝った。それに早希は軽く微笑むと
「いいよ!謝ってくれただけでそれだけでいいの。
素直に謝ることができる事って生きている全ての人にとって一番大事なことだもん!」
思わず泣きそうになってしまった。
今、誰よりも辛く悲しい思いをしてる人が言葉なんて薄ってぺらいものなんかで苦しみを耐え、根源を作った人を許そうとしている。
つくづく、思い知らされた。
人って素晴らしいのだと。それを知らずに生きてきた自分が恥ずかしかったのだと。
「えっと、じゃあ私帰るねっ!今日は本当に色々ありがとうね!」
「あ、いやむしろ何もしてな…」
早希は隼人の返事を聞かずに走り去っていく。その背中はか細く、とても弱々しかった。
笑顔を、ここまで信じられないことも生まれて初めてだった。
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