僕は過ちを正すため、過去に飛んだ。
第1章ep2止まった時計
時は36年前。隼人がまだ高校3年の時だった。
彼はこのころから異様に勉学ができるようになり、運動ももともとよくできる体であったため文武両道を実現していた。
優れた容姿でもあったため、告白やラブレターも珍しくはなかったが、隼人は父の仕事を継ぐために彼の住んでいる大阪でもトップクラスのo大学に向けて日々勉強に惜しみ、恋愛をする暇もなかったのですべておことわりしていた。
そんな彼のことだから、クラスでとある女子がいじめられていても無視をしていた。助けたいと言う気持ちはあるものの勉強の方が大事だと自分に言い聞かせ見て見ぬ振りをし続けた。
そして、事件は起こった。
時は12月24日。
クリスマスイブにいじめられていた子は自宅で首吊り自殺をした。
手には数えきれない傷跡、部屋には散らばった薬の数々、病院に通い詰めていたのか、診断書も無数に置いてあった。
じつは、一年の頃から隼人とは繋がりのある子で受験のために心を鬼にしていたとはいえ、流石にショックではあった。
しかし、受験間近で忙しかったためにその事件は台風のように過ぎて、時のものとなった。
そして、隼人は無事O大学に進学を果たした。
「…こんな取るに足らない思い出。どうして今思い出すのだろうか。」
汚い地べたに腰をかけながら隼人はそう呟く。今の今まで、記憶から綺麗さっぱり消えていたのである。
思い出したきっかけは、スティックフォンの最初のクレームをした人が当時自殺をした子の母であったからだ。
その子の母は娘をなくしたショックで鬱になり、アルツハイマーまで発症したのにもかかわらず、当時のことを今でも鮮明に話すという。
「俺が選択を間違えたのかな。俺はあの時にどうするべきだったのか」
することのなくなった今だからこそ、見たくなかった過去に振り返ることができる。
いじめを助ければ、標的は自分に変わり、勉強もままならない状況になっていたのか、助けても助けなくても今のことは運命だったのか、それとも、助けたら今とは違った未来があったのだろうか。
「…あれ?」
知らぬ間に、隼人の目に大粒の涙が溢れた。それは一筋の線を描き、頬を伝う。
どうして、今更こんな…
涙は止まることを知らず、まるで滝のように勢いよく流れていく。
「ちくしょう。なんでだよ。なんで今更…」
そして、静かな沈黙が流れた。
周りは夜もくれ、各家族はクリスマスパーティをやっている時間帯。
そのまま街灯も消え、この世が完全な漆黒になる直前。
「あなたの時計は止まったのよ」
何処からか幼げな少女の声が聞こえ、そう言った。
「だ、だれ!?」
あまりの奇妙さに思わず声が上がる。しかし、声の主はそれに返事をせず、こう続けた。
「運命は変わる。貴方は選択を誤った。あり得べからざる今を変える新しい歯車は今、逆回転を始めたわ。」
そう、聞こえたと思った途端、目の前は歪み、意識が遠のく。
きっと裏路地だから他のホームレスに頭でも強く打たれたのだろうか。
いずれにしても、死ぬのが不思議と怖くなかった。
それどころが無意識に体の何処かがそれを受け入れているようで気持ちが悪かった。きっと罰を受けるのだ。
次に生まれた時は悔やむことのないよう頑張ろうと思う。
…悔いだらけの人生だった。
「次は誤らないでね。私を、あの人を救ってね。」
最後にやらかく聞こえたその声で意識は完全に失った。
気がつくと、隼人は見慣れた高校の校庭に立っていた。
彼はこのころから異様に勉学ができるようになり、運動ももともとよくできる体であったため文武両道を実現していた。
優れた容姿でもあったため、告白やラブレターも珍しくはなかったが、隼人は父の仕事を継ぐために彼の住んでいる大阪でもトップクラスのo大学に向けて日々勉強に惜しみ、恋愛をする暇もなかったのですべておことわりしていた。
そんな彼のことだから、クラスでとある女子がいじめられていても無視をしていた。助けたいと言う気持ちはあるものの勉強の方が大事だと自分に言い聞かせ見て見ぬ振りをし続けた。
そして、事件は起こった。
時は12月24日。
クリスマスイブにいじめられていた子は自宅で首吊り自殺をした。
手には数えきれない傷跡、部屋には散らばった薬の数々、病院に通い詰めていたのか、診断書も無数に置いてあった。
じつは、一年の頃から隼人とは繋がりのある子で受験のために心を鬼にしていたとはいえ、流石にショックではあった。
しかし、受験間近で忙しかったためにその事件は台風のように過ぎて、時のものとなった。
そして、隼人は無事O大学に進学を果たした。
「…こんな取るに足らない思い出。どうして今思い出すのだろうか。」
汚い地べたに腰をかけながら隼人はそう呟く。今の今まで、記憶から綺麗さっぱり消えていたのである。
思い出したきっかけは、スティックフォンの最初のクレームをした人が当時自殺をした子の母であったからだ。
その子の母は娘をなくしたショックで鬱になり、アルツハイマーまで発症したのにもかかわらず、当時のことを今でも鮮明に話すという。
「俺が選択を間違えたのかな。俺はあの時にどうするべきだったのか」
することのなくなった今だからこそ、見たくなかった過去に振り返ることができる。
いじめを助ければ、標的は自分に変わり、勉強もままならない状況になっていたのか、助けても助けなくても今のことは運命だったのか、それとも、助けたら今とは違った未来があったのだろうか。
「…あれ?」
知らぬ間に、隼人の目に大粒の涙が溢れた。それは一筋の線を描き、頬を伝う。
どうして、今更こんな…
涙は止まることを知らず、まるで滝のように勢いよく流れていく。
「ちくしょう。なんでだよ。なんで今更…」
そして、静かな沈黙が流れた。
周りは夜もくれ、各家族はクリスマスパーティをやっている時間帯。
そのまま街灯も消え、この世が完全な漆黒になる直前。
「あなたの時計は止まったのよ」
何処からか幼げな少女の声が聞こえ、そう言った。
「だ、だれ!?」
あまりの奇妙さに思わず声が上がる。しかし、声の主はそれに返事をせず、こう続けた。
「運命は変わる。貴方は選択を誤った。あり得べからざる今を変える新しい歯車は今、逆回転を始めたわ。」
そう、聞こえたと思った途端、目の前は歪み、意識が遠のく。
きっと裏路地だから他のホームレスに頭でも強く打たれたのだろうか。
いずれにしても、死ぬのが不思議と怖くなかった。
それどころが無意識に体の何処かがそれを受け入れているようで気持ちが悪かった。きっと罰を受けるのだ。
次に生まれた時は悔やむことのないよう頑張ろうと思う。
…悔いだらけの人生だった。
「次は誤らないでね。私を、あの人を救ってね。」
最後にやらかく聞こえたその声で意識は完全に失った。
気がつくと、隼人は見慣れた高校の校庭に立っていた。
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