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鬼の魔法使いは秘密主義

瀬戸暁斗

衝突

「明智志乃さんを生徒会書記に、結城蒼真君を生徒会副会長に任命します!」


 一瞬の沈黙の後、一彦が口を開いた。


「これで決まりだな。俺は仕事があるからもう出ていいか?」


「ええ。部費の予算会議だったわね。よろしくね、一彦君。」


 一彦は生徒会室を出て行った。
 そして恵は蒼真と志乃に向かって言葉を発した。


「無愛想に見えるけど、結構後輩の面倒見は良いのよね。一彦君。」


「そうなんですね」


 恵のそんな言葉にも志乃は律儀に相槌を打った。


「早速だけど、2人共明日から仕事を始めて貰おうと思ってるんだけど大丈夫かしら?」


「大丈夫ですが役職の方はあれで決定なんですか?」


「そうよ。どうして?」


「いえ、これという事は無いのですが—」


「なら明日からお願いね」


 蒼真が言い切らないうちに、そう言って恵も生徒会室を出て行った。


「会長も強引ですねぇ。今年も大変そうですぅ。私達はどうしますかぁ?」


「そうだな。アタシ達の仕事は残ってないしな。帰るか」


「君達はどうするんですかぁ? 一緒に帰りますぅ?」


「いえ、俺は友人と待ち合わせをしていますので」


「私もです」


 4人は生徒会室を出て、別れた。
 蒼真は修悟と直夜がいる図書館へと向かった。








 蒼真が図書館に着くと、澪も合流していた。


「澪、用事は終わったのか?」


「ええ。ちょっと風紀委員会の会議室までね」


「風紀委員? お前風紀委員に入ったのか?」


「本当は嫌だったんだけどね。しかも不知火君も一緒だから…」


 そう言うと、澪は少し暗い表情をした。


「まぁ全員揃った事だし帰ろう」


 話題を変えるように修悟が言った。
 そして4人は図書館を出て、帰ろうとした。


「そういえば今日は志乃は一緒じゃないんだな」


 ふと思いついたように直夜が尋ねた。


「今日は誰かと待ち合わせをしているみたいだ」


「そうか。社交的だし、友達多そうだしな」


 そして歩いていると、校門付近で人だかりができていた。よく見ると、前日に蒼真達に絡んできた炎珠達だった。
 それに気づいた直夜が、


「またあいつらやってるぞ。あれ? 真ん中にいるの志乃じゃないか?」


 と言った。
 確かに囲まれているのは志乃だった。しかも、彼女は嫌がっているように見える。
 それを見た修悟がそこへ向かって走り出した。


「やめてあげなよ! 嫌がってるじゃないか!」


「お前は細見とかいう結城にくっついている奴か。お前には関係のない事だ。早く帰れ」


「友達が嫌がってるのに関係ないっておかしいじゃないか!」


 蒼真達は、初めて修悟が怒っているのを見た。


「不知火君は風紀委員に選ばれたんだろ? なら、何で自分が風紀を乱すような事をするんだよ!」


「風紀を乱してなんかいない! 『無元素』の連中は俺達『副元素』に従っておけばいいんだ! 身の程を教えてやる!」


 炎珠はそう言って修悟に向かって魔法を発動させようとした。
 それを見た蒼真が


「直夜! 火属性の魔法だ。修悟を守ってやれ」


 と静かに直夜に指示を出した。


「了解」


 直夜はそう短く頷くと修悟の前まで走って行った。そこへ炎珠の魔法が2人に向かって発動された。


「くらえ! 『火炎流弾フレイムバレット』!」


 しかし、その魔法が2人に届く事はなかった。
 炎珠の火の魔法を上回る水の魔法が横から放たれたのである。


「何をしているんだ!」


 声の主は先程帰ったと思われていた香織だった。


「一体何があったんだ?結城君に明智さんまでいて…」


「すみません、副会長。私が不知火君を怒らせてしましまして…」


 志乃は、なるべく場がややこしくならないようにそう言った。


「へぇ。優秀そうな明智さんでもそういう事があるんですねぇ。びっくりですぅ。でもこの後始末ってどうしますぅ?」


「そうだな…。普通だったら会長に報告だが…」


 それを聞いた炎珠は顔を引きつらせた。


「でも面倒ですねぇ。今回は不問という事でいいんじゃないですかぁ」


「そうだな。まぁアタシの方でなんとかしておくよ。一応明智さんと結城君にも手伝って貰おうかな」


「わかりました」


「それより君、不知火君だね。校内での魔法の発動は許可がない限り禁止になっているから以後気をつけるように。今回に限って見逃すけど、次は無いと思っておきな」


「あと、魔法が発動されるのに向かって行ったそこの君ぃ。危ないからやめておきなよぉ」


 そう言って2人は帰って行った。


「おい蒼真。あの2人は?」


 直夜が尋ねた。


「2年の生徒会役員だ。副会長と庶務の」


「あの2人が生徒会役員だと…。じゃあ手伝ってもらうって、まさか貴様生徒会に…」


「ああ。そうだがそれがどうした」


 この言葉で炎珠は蒼真と志乃が成績トップ2だという事がわかった。
 生徒会にどういう人物が入るかを知っていたのだ。


「くそっ。そのうち必ず貴様を蹴落としてやる。覚悟しておけ」


 彼はそう言い残して、数人の取り巻きと共に帰って行った。
 その輪の中から残されたのは、志乃と1人の金髪の少女だった。


「ごめんね志乃。私のせいで」


 その少女は志乃が待ち合わせをしていると言っていた友人なのだろう。


「いいのよ。気にしないで」


「皆さんも助けてくれて、ありがとう! 怪我は無い?」


「大丈夫だよ。それより君って同じクラスにいたよね?」


 修悟はその少女が誰かわかったらしい。


「ええ。私は輝山きやまリサ。シノとは幼馴染なの」


「あれ? リサって今日はおとなしくない?」


「だって初対面の人がいるんだから緊張するじゃん…」


「気にしないでいいよ。僕は細見修悟。後ろにいるのが結城蒼真、百瀬直夜、茨木澪だよ」


「よろしくね! シューゴ! みんなも!」


 新しくリサを含めた6人は、前日と同じように家路についたのであった。

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