『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』
2日目 スタート
―――2日目 スタート地点――――
スポーツなどのエンタメで行われる観客数の水増し。
人気があるように見せるため、地元の有力企業に無償でチケットを配る。
実際の観客数を何倍も増やす主催者発表なんてのも珍しくない。
しかし、この日は違った――――
「な、なんだか、初日よりも観客が多くなっていませんか?」
メイルの言う事は正しい。
明らかに2日目は初日のスタート時よりも観客が増えていた。
「そうね……これを見てよ」とマリア。
彼女の手には、丸い水晶が握られていた。
「これは、映像を送る魔道具か?」
「えぇ、流行っているのよね。まだ高いけれども、頑張れば手に入る金額で売られていて……」
マリアは、チラリと自分のいない主催者席に目をやる。
(まさか、この競技を広めるために赤字覚悟で市場にばら撒いている……ってのは考え過ぎかしら?)
そんな湧き上がる考えを封じながら、
「昨日の競技を様子を編集した映像が、人気で公開されているのよね、ほらっ!」
確かに水晶の魔道具には、深紅のワイバーンの勇姿が映し出されていた。
ベルトとメイルが聖騎士団と戦う様子も収められている。
「……これ、どうやって撮影したんだ?」と流石のベルトも考えた。
おそらくは、予め最短距離で飛んだ場合のコースを予想して、映像係の魔術師を地上に設置させていたのだろう。しかし――――
「そうなのよね」とマリアは頭を抱えた。
「高速で飛翔するワイバーンの騎手まで撮影できる魔術師を何人用意しているのか……金額を想像するだけで頭が痛くなってくるわ」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
競技が始まった。
2日目は初日のタイムによってスタートする順番が決められている。
つまり、初日優勝者であるベルト&メイル組が最初にスタート。
ベルトたちとほぼ時間差がなかった2位のフォルス団長&アレク組がすぐに続けてスタートする。
メイルが振り返り、ベルトに言う。
「フォルス団長にアレクさん、すぐに仕掛けてくる……と思っていましたが、スピードを抑えて飛んでいますね」
「そうみたいだな。おそらく、仲間たちの合流を優先しているのだろう。なんせ、ここは――――」
ベルトは正面を見る。
低空飛行だ。足元には森が広がっていた。
時々、ワイバーンのタロウが高い木で足が当たり、ガサガサと音を鳴らしている。
「ほぼ、クロスカントリみたいなルールになるからな」
初日は上空で直進する(比較的には)短距離レースに対して、2日目からは距離が長くなる。
加えて、決められたチェックポイントをクリアして行かなければならない。
正確にポイントを通過するためには地図で現在地と目的を正確に把握。
そのため、高度を上げて高速で飛翔するよりも、ある程度は速度を犠牲にしても低空飛行に徹した方がいい。
チェックポイントを見落として、コースを逆走する事になれば目も当てられない大失敗だ。
「どうして、2日目からルールが変わるのでしょうか?」
メイルは、足元を―――― タロウが足を木にぶつけながらも飛んでいるのをハラハラした様子で(タロウ本人は物ともしてしていないが)聞いて来た。
「おそらくだけど……不正防止のためだと思う」
「不正防止……ですか?」
「これは長距離を飛ぶ競技。ならば、幾つか不正の方法が思いつくだろう?」
「えぇっと……」とメイルは首を捻りならばも考えた。
「騎手やワイバーンの替え玉。 有力選手妨害のために、仲間をコース上に潜ませていたり……」
「マリアが見せてくれた映像……魔術師たちが競技を撮影しているのは不正防止って意味もあるんだろうなぁ」
そんな事を話しながら、2つ、3つ……チェックポイントを通過。
4つ目のチェックポイント前。 初日を思い出させるように左右には切り立つ崖。
そこで――――
「後続が近づいてきている。このプレッシャーは……殺意か!」
ベルトは警戒を強める。
(この競技の裏で何か……何者が動いている。それが、ついに牙を向けて来たのか?)
だが、違った。 接近してきたワイバーンの正体――――いや、それはもはやワイバーンですらなかった。
それは――――プラテノドンだ!
そして、騎乗している2人組は――――
「なっ! レオンと……プリエ!? なんでチームを組んで!」
かつてのベルトと共に戦った旧友とも言える2人だった。
スポーツなどのエンタメで行われる観客数の水増し。
人気があるように見せるため、地元の有力企業に無償でチケットを配る。
実際の観客数を何倍も増やす主催者発表なんてのも珍しくない。
しかし、この日は違った――――
「な、なんだか、初日よりも観客が多くなっていませんか?」
メイルの言う事は正しい。
明らかに2日目は初日のスタート時よりも観客が増えていた。
「そうね……これを見てよ」とマリア。
彼女の手には、丸い水晶が握られていた。
「これは、映像を送る魔道具か?」
「えぇ、流行っているのよね。まだ高いけれども、頑張れば手に入る金額で売られていて……」
マリアは、チラリと自分のいない主催者席に目をやる。
(まさか、この競技を広めるために赤字覚悟で市場にばら撒いている……ってのは考え過ぎかしら?)
そんな湧き上がる考えを封じながら、
「昨日の競技を様子を編集した映像が、人気で公開されているのよね、ほらっ!」
確かに水晶の魔道具には、深紅のワイバーンの勇姿が映し出されていた。
ベルトとメイルが聖騎士団と戦う様子も収められている。
「……これ、どうやって撮影したんだ?」と流石のベルトも考えた。
おそらくは、予め最短距離で飛んだ場合のコースを予想して、映像係の魔術師を地上に設置させていたのだろう。しかし――――
「そうなのよね」とマリアは頭を抱えた。
「高速で飛翔するワイバーンの騎手まで撮影できる魔術師を何人用意しているのか……金額を想像するだけで頭が痛くなってくるわ」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
競技が始まった。
2日目は初日のタイムによってスタートする順番が決められている。
つまり、初日優勝者であるベルト&メイル組が最初にスタート。
ベルトたちとほぼ時間差がなかった2位のフォルス団長&アレク組がすぐに続けてスタートする。
メイルが振り返り、ベルトに言う。
「フォルス団長にアレクさん、すぐに仕掛けてくる……と思っていましたが、スピードを抑えて飛んでいますね」
「そうみたいだな。おそらく、仲間たちの合流を優先しているのだろう。なんせ、ここは――――」
ベルトは正面を見る。
低空飛行だ。足元には森が広がっていた。
時々、ワイバーンのタロウが高い木で足が当たり、ガサガサと音を鳴らしている。
「ほぼ、クロスカントリみたいなルールになるからな」
初日は上空で直進する(比較的には)短距離レースに対して、2日目からは距離が長くなる。
加えて、決められたチェックポイントをクリアして行かなければならない。
正確にポイントを通過するためには地図で現在地と目的を正確に把握。
そのため、高度を上げて高速で飛翔するよりも、ある程度は速度を犠牲にしても低空飛行に徹した方がいい。
チェックポイントを見落として、コースを逆走する事になれば目も当てられない大失敗だ。
「どうして、2日目からルールが変わるのでしょうか?」
メイルは、足元を―――― タロウが足を木にぶつけながらも飛んでいるのをハラハラした様子で(タロウ本人は物ともしてしていないが)聞いて来た。
「おそらくだけど……不正防止のためだと思う」
「不正防止……ですか?」
「これは長距離を飛ぶ競技。ならば、幾つか不正の方法が思いつくだろう?」
「えぇっと……」とメイルは首を捻りならばも考えた。
「騎手やワイバーンの替え玉。 有力選手妨害のために、仲間をコース上に潜ませていたり……」
「マリアが見せてくれた映像……魔術師たちが競技を撮影しているのは不正防止って意味もあるんだろうなぁ」
そんな事を話しながら、2つ、3つ……チェックポイントを通過。
4つ目のチェックポイント前。 初日を思い出させるように左右には切り立つ崖。
そこで――――
「後続が近づいてきている。このプレッシャーは……殺意か!」
ベルトは警戒を強める。
(この競技の裏で何か……何者が動いている。それが、ついに牙を向けて来たのか?)
だが、違った。 接近してきたワイバーンの正体――――いや、それはもはやワイバーンですらなかった。
それは――――プラテノドンだ!
そして、騎乗している2人組は――――
「なっ! レオンと……プリエ!? なんでチームを組んで!」
かつてのベルトと共に戦った旧友とも言える2人だった。
コメント