『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』
不可侵なる壁
≪魂喰い≫
暗殺者の魔法。 魔力の刃であるはずのそれ……
しかし、詠唱による強化は、魔法の刃を別物へ変化させていた。
真正面に立つカレンとエルマの2人から見る光景。
まるで黒い壁が迫ってくるような――――
闇が世界を浸食しながら向かってくるような感覚。
原始的な恐怖。
現時点で世界最高峰とも言える戦闘能力を有する両者でも恐怖心から逃げれない。
回避という行動が選択肢から消え去っていく。
精神に異常を付加させていく。 これがベルトが放つ≪魂喰い≫を完全に再現――――
「いいえ、させません。拒絶させていただきます」
黒い黒い闇だったはず――――
視覚も聴覚も封じされてかのように精神の破壊から始まる攻撃だったはず――――
ならば、誰の声か?
ならば、なぜ闇の中で光が生じているのか? それは――――
≪不可侵なる壁≫
それは完全防御の壁。
その周辺が1つの領域。 1つの聖域と言ってもいい。
だから、通さない。 闇を帯びた攻撃こそ――――例え、それが現存する人類最強の一撃だとしても通さない。
当然、その光の壁を顕現させたのは――――
「俺っちの――――ベルト・グリムの一撃すら防ぎきるのかお嬢さん」
冥王が言う通り、防御魔法を展開させたのはメイルだ。
彼女は、杖を構えカレンとエルマを庇うように立っている。
しかし、消耗が激しいのか? 顔を顰め、乱れた呼吸から激しく肩を上下に動かしていた。
それでも――――
「カレン姉さん、エルマさん、大丈夫ですか?」
2人に気をかける。そして、こう続けるのだ。
「少しだけ我慢していてください。今、この人を倒して、義兄さんを取り戻します!」
その言葉に2人は、折れていた魂を揺さぶられた。
戦意不能まで追い込まれたはずの2人は立ち上がり――――
「大丈夫、わたしたちも――――」
「そう、私たちもまだ戦える」
3人は冥王を鋭い視線を飛ばす。 それに対して冥王は、
「見事なものだな。お嬢さん方……あらためて名前を聞きたい」
最初にメイルは――――
「私はメイル・アイシュ。聖女であり、新しい勇者候補になっています」
次にカレンは――――
「カレン・アイシュ。メイルの姉であり、ベルト・グリムの後継者――――一応、配偶者です」
最後にエルマは――――
「エルマだ」とボソリと告げる。それから、
「暗殺者……ベルト・グリムの師であり、かつては――――いや、それはまた別の話だ」
「うむ、良い名乗りだ。ならば俺っちも応じる!」と冥王は声を張り上げた。
「俺っちは、冥王ハーデス。俺っちの心臓を奪ったベルトの体に顕現した。俺っちの目的は地上を冥界の領土にするため――――だから、真の強者と見受けた貴様らをここで葬らさせてもらう」
冥王の黒い体は、より黒く。 重圧が増し、黒いオーラが舞い上がる。
もう決着をつけるつもりなのだろう。獲物を前に獰猛な笑みを浮かべる野生動物のような凶暴さを浮かべ、前へ――――しかし、それはできなかった。
冥王の足が止まる。
「何が、何者かがいる。しかし、どこに? 俺っちの領土で認識できない存在……だと?」
冥王は何かを感じた。
最強の暗殺者が持つ知覚能力を超える存在。そんなものがいるはずはない。
もしも――――
「もしも、仮にいるとしたら、ソイツは――――」
「ご名答」
冥王の背後に立つ影。 その手には輝き煌めく剣が握られている。
それが何か知らない者はいない。
その剣は聖剣だ。そして、聖剣を持つ存在は、この世に1人しかいない。
「剣の勇者カムイ――――推して参る」
暗殺者の魔法。 魔力の刃であるはずのそれ……
しかし、詠唱による強化は、魔法の刃を別物へ変化させていた。
真正面に立つカレンとエルマの2人から見る光景。
まるで黒い壁が迫ってくるような――――
闇が世界を浸食しながら向かってくるような感覚。
原始的な恐怖。
現時点で世界最高峰とも言える戦闘能力を有する両者でも恐怖心から逃げれない。
回避という行動が選択肢から消え去っていく。
精神に異常を付加させていく。 これがベルトが放つ≪魂喰い≫を完全に再現――――
「いいえ、させません。拒絶させていただきます」
黒い黒い闇だったはず――――
視覚も聴覚も封じされてかのように精神の破壊から始まる攻撃だったはず――――
ならば、誰の声か?
ならば、なぜ闇の中で光が生じているのか? それは――――
≪不可侵なる壁≫
それは完全防御の壁。
その周辺が1つの領域。 1つの聖域と言ってもいい。
だから、通さない。 闇を帯びた攻撃こそ――――例え、それが現存する人類最強の一撃だとしても通さない。
当然、その光の壁を顕現させたのは――――
「俺っちの――――ベルト・グリムの一撃すら防ぎきるのかお嬢さん」
冥王が言う通り、防御魔法を展開させたのはメイルだ。
彼女は、杖を構えカレンとエルマを庇うように立っている。
しかし、消耗が激しいのか? 顔を顰め、乱れた呼吸から激しく肩を上下に動かしていた。
それでも――――
「カレン姉さん、エルマさん、大丈夫ですか?」
2人に気をかける。そして、こう続けるのだ。
「少しだけ我慢していてください。今、この人を倒して、義兄さんを取り戻します!」
その言葉に2人は、折れていた魂を揺さぶられた。
戦意不能まで追い込まれたはずの2人は立ち上がり――――
「大丈夫、わたしたちも――――」
「そう、私たちもまだ戦える」
3人は冥王を鋭い視線を飛ばす。 それに対して冥王は、
「見事なものだな。お嬢さん方……あらためて名前を聞きたい」
最初にメイルは――――
「私はメイル・アイシュ。聖女であり、新しい勇者候補になっています」
次にカレンは――――
「カレン・アイシュ。メイルの姉であり、ベルト・グリムの後継者――――一応、配偶者です」
最後にエルマは――――
「エルマだ」とボソリと告げる。それから、
「暗殺者……ベルト・グリムの師であり、かつては――――いや、それはまた別の話だ」
「うむ、良い名乗りだ。ならば俺っちも応じる!」と冥王は声を張り上げた。
「俺っちは、冥王ハーデス。俺っちの心臓を奪ったベルトの体に顕現した。俺っちの目的は地上を冥界の領土にするため――――だから、真の強者と見受けた貴様らをここで葬らさせてもらう」
冥王の黒い体は、より黒く。 重圧が増し、黒いオーラが舞い上がる。
もう決着をつけるつもりなのだろう。獲物を前に獰猛な笑みを浮かべる野生動物のような凶暴さを浮かべ、前へ――――しかし、それはできなかった。
冥王の足が止まる。
「何が、何者かがいる。しかし、どこに? 俺っちの領土で認識できない存在……だと?」
冥王は何かを感じた。
最強の暗殺者が持つ知覚能力を超える存在。そんなものがいるはずはない。
もしも――――
「もしも、仮にいるとしたら、ソイツは――――」
「ご名答」
冥王の背後に立つ影。 その手には輝き煌めく剣が握られている。
それが何か知らない者はいない。
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