『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』

チョーカー

ダンジョンコアになった勇者

 「ダンジョンコア……そんな、体と一体化してるなんて……」

 驚きの声をあげるメイル。しかし、彼女は躊躇することなく、固体化しているカムイの体にペタペタとさわり始めた。

 「う~ん、魔力の結晶化という事なら、相当な純度の高さになるはずですが……」

 『いやはや、遠慮のないお嬢さんだ。 一応、僕の体なんだけどね』

 「はっ! し、失礼しました。 つい珍しくて」

 『いやいや、構わないさ。 ベルトと対等の女の子は、そうじゃないとね?』

 顔を赤く染めるメイル。 ベルトは彼女に聞こえないように「多分、いい意味じゃないぞ」と呟いた。それから――――

 「話をまとめると、勇者候補が6人現れた。俺たちはそいつらを勇者に相応しいか見極めて、この場所に連れてくると……それで? お前の体は、次の勇者が決まったら、元に戻るのか?」

 『う~ん、どうだろうね? 僕自身が次の勇者を決めるための舞台装置……比喩じゃなくて、本当に舞台装置になってしまってるからね』

 「元には戻れないのか?」と再び返すベルト。

 『さぁ? 少なくとも、僕の先代は人に戻れなかったけど……』

 「――――ッ!?」

 『でも、それで諦めるような君や僕じゃないはずだろ?』

 その言葉に、一瞬だけ呆けるような表情を見せたベルトだったが、

 「そうだったな。この程度の困難なら、笑いながら通り過ぎてきたよな、俺たちは?」

 そう言って2人は笑った。

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 それから、6人の勇者候補について詳しい話になった。

 新たに勇者が生まれる。 

「それは、勇者と対になる魔王が再誕するという事なのか?」とベルトは聞いたが、必ずしも、そうなるわけではない……らしい。

『僕ら勇者の存在は、世界のバランサーみたいな者だけど……世界の意思みたいな者が、最近の僕の様子を見て、コイツで大丈夫か? 心配になったみたいだね』

「……確かに、魔王に乗っ取られたからな、お前」

『あはははっ、酷い言われようだ』

ベルトは、笑いごとではないと思ってた。

「その6人の居場所は?」

『もちろん、わかっているさ。 すぐに地図を作るよ』

「……そうか。それから報酬は? 正直に言うと本業を長期間の留守にするんだ。安くはないぞ」

『大丈夫だよ。僕はダンジョンの意思だよ? ベルトが欲しそうな貴重な薬草を望むだけ用意できるさ』

「よし! この依頼、請け負った」

『一応、伝説級の武器や防具も……あっ、うん。わかってるよ。薬草を優先するのは君らしいね』

カムイは苦笑した。

「なんていうか……久々に話した気がするな」

『そうだね。不思議と僕らは、話さなくても理解ができていた。でも、それじゃダメだった。今は、少しだけ反省しているよ』

「あぁ、それは俺も……俺たちもそうだったな」

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