『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』
ラストバトル前の遺言と依頼
「それで話は終わりか?」とベルト。
魔王を少し考える。 考えてかれ――――
「私はこれから死ぬ事になるだろう。だから、これは遺言……というか死の間際の頼みごとなんだが……」
「本当にこれが最後の言葉なら聞いておく」
「聞くだけじゃなくて叶えて欲しいのだが……冗談さ。そんなに怖い顔をするなよ。さて……頼みごとと言うよりも依頼さ」
「依頼?」と魔王の言葉に眉を顰めるベルト。
「そう、冒険者に対する依頼さ。私の痕跡を探してほしい」
「……どういう意味だ?」
「元々、私は魔王が復活するための媒体。まさか、本物の魔王も強靭な精神と肉体の持ち主を選んだ結果、逆に乗っ取られるとは思ってもみなかっただろうね……おっと話がそれた。 まぁ、依頼というのは、魔王を乗っ取る前の私は、どんな存在だったのか。それを調べて欲しい」
「魔王を乗っ取る前のお前を調べる? なんのために?」
「ただの自己満足さ。 昔の私が、どんな少女だったのか? どんな場所で暮していたのか? もう、昔過ぎて記憶が抜け落ちていてね……はぁはぁん。その顔は、これから死ぬ人間がどうして知りたがるのか? 不思議がっている顔だね」
「……」とベルトは無言で肯定する。
魔王は死ぬ。
それなのに自身の過去を調べて欲しいとの依頼。 困惑するのも無理はない。
「どうしてかなぁ? 最後に知ってほしいのかもしれないね。 自分が殺した人間がどこの誰だったのか? 君にとっては後味の悪くなる事は間違いなしの意地悪な依頼だけれども……
私が誰だったのか? この世界に1人くらいは知ってる人がいる。
そう思うと、少しだけ……ほんの少しだけ安心して死ねると思うんだ」
再びベルトは沈黙するも、「わかった」と短く返事をした。
「そうかい。よかった…… 報酬は、君の近所にあった私の屋敷。 玄関から正面を歩き、ジャンプして天井を突き破ると隠し部屋がある。 大抵は呪われた魔王の遺産だが……君や聖女には役に立つ物だと思うよ」
そういうと、魔王は脱力させた肉体に力をこめていく。
これで本当に…… 最後の戦い。
ラストバトルは開始される。
・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
初手は両者共に――――
≪魂喰い≫
命を刈り取る鎌の如き、刃の魔法。
互いにぶつかり合い……そして相殺。
その威力の余波により、砂煙が舞い上がりベルトと魔王の姿を隠す。
両者共に最上位の暗殺者。
通常、暗殺者同士の戦いは背後の取り合い……しかし、その攻防には運の要素が入り込む。
ほんの僅かなズレ。 タイミングが、位置が、呼吸がズレたら、不利有利が生まれてしまう。
2人は、この戦いが運の要素で決まる事を嫌い、移動系スキルを多様できぬように砂煙で視界を殺したのだ。
この状態で先に動いたのベルトだった。
≪致命的な一撃≫
拳を放ったのは目前の空間。 分散していく衝撃を利用し、魔王の位置を探ろうとしたのだ。
だが、ベルトに取って予想外の自体が起きる。
前方。眼と鼻の先。
衝撃を弾いて魔王が現れる。
ベルトは放ったのは、通常の≪致命的な一撃≫ではない。
衝撃波を体内に流し込み体を破壊する凶悪なスキルではなく、索敵目的に放った≪致命的な一撃≫。
魔王に取ってみれば弾くのは容易いようだ。
そのまま、魔王はベルトへ組み付く。 まるで組技系の格闘技のように――――
しかし、その行為は対ベルトにおいて有効だ。
ベルトは密着した相手に有効な攻撃方法がないわけではない。
だが、それは暗殺者同士では効果のない毒を利用した攻撃スキル。
他には――――
ないと言ってもいい。
魔王を少し考える。 考えてかれ――――
「私はこれから死ぬ事になるだろう。だから、これは遺言……というか死の間際の頼みごとなんだが……」
「本当にこれが最後の言葉なら聞いておく」
「聞くだけじゃなくて叶えて欲しいのだが……冗談さ。そんなに怖い顔をするなよ。さて……頼みごとと言うよりも依頼さ」
「依頼?」と魔王の言葉に眉を顰めるベルト。
「そう、冒険者に対する依頼さ。私の痕跡を探してほしい」
「……どういう意味だ?」
「元々、私は魔王が復活するための媒体。まさか、本物の魔王も強靭な精神と肉体の持ち主を選んだ結果、逆に乗っ取られるとは思ってもみなかっただろうね……おっと話がそれた。 まぁ、依頼というのは、魔王を乗っ取る前の私は、どんな存在だったのか。それを調べて欲しい」
「魔王を乗っ取る前のお前を調べる? なんのために?」
「ただの自己満足さ。 昔の私が、どんな少女だったのか? どんな場所で暮していたのか? もう、昔過ぎて記憶が抜け落ちていてね……はぁはぁん。その顔は、これから死ぬ人間がどうして知りたがるのか? 不思議がっている顔だね」
「……」とベルトは無言で肯定する。
魔王は死ぬ。
それなのに自身の過去を調べて欲しいとの依頼。 困惑するのも無理はない。
「どうしてかなぁ? 最後に知ってほしいのかもしれないね。 自分が殺した人間がどこの誰だったのか? 君にとっては後味の悪くなる事は間違いなしの意地悪な依頼だけれども……
私が誰だったのか? この世界に1人くらいは知ってる人がいる。
そう思うと、少しだけ……ほんの少しだけ安心して死ねると思うんだ」
再びベルトは沈黙するも、「わかった」と短く返事をした。
「そうかい。よかった…… 報酬は、君の近所にあった私の屋敷。 玄関から正面を歩き、ジャンプして天井を突き破ると隠し部屋がある。 大抵は呪われた魔王の遺産だが……君や聖女には役に立つ物だと思うよ」
そういうと、魔王は脱力させた肉体に力をこめていく。
これで本当に…… 最後の戦い。
ラストバトルは開始される。
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初手は両者共に――――
≪魂喰い≫
命を刈り取る鎌の如き、刃の魔法。
互いにぶつかり合い……そして相殺。
その威力の余波により、砂煙が舞い上がりベルトと魔王の姿を隠す。
両者共に最上位の暗殺者。
通常、暗殺者同士の戦いは背後の取り合い……しかし、その攻防には運の要素が入り込む。
ほんの僅かなズレ。 タイミングが、位置が、呼吸がズレたら、不利有利が生まれてしまう。
2人は、この戦いが運の要素で決まる事を嫌い、移動系スキルを多様できぬように砂煙で視界を殺したのだ。
この状態で先に動いたのベルトだった。
≪致命的な一撃≫
拳を放ったのは目前の空間。 分散していく衝撃を利用し、魔王の位置を探ろうとしたのだ。
だが、ベルトに取って予想外の自体が起きる。
前方。眼と鼻の先。
衝撃を弾いて魔王が現れる。
ベルトは放ったのは、通常の≪致命的な一撃≫ではない。
衝撃波を体内に流し込み体を破壊する凶悪なスキルではなく、索敵目的に放った≪致命的な一撃≫。
魔王に取ってみれば弾くのは容易いようだ。
そのまま、魔王はベルトへ組み付く。 まるで組技系の格闘技のように――――
しかし、その行為は対ベルトにおいて有効だ。
ベルトは密着した相手に有効な攻撃方法がないわけではない。
だが、それは暗殺者同士では効果のない毒を利用した攻撃スキル。
他には――――
ないと言ってもいい。
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