『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』

チョーカー

2度目のラストバトル?

 
 無計画。しかし、戦いはいつだって即興劇。

 計画を遂行しなければならないというある種の束縛。

 ベルトは近くに落ちている剣を拾い上げる。 

 誰かが落とした物だろう。 一度、振るって感触を確かめる。

 「うむ……悪くはない」
 
 聖樹の効果だろう。一山いくらの剣に聖剣並の神聖さが付加されていた。

 「行くぞ!」

 ベルトは気合を叫び、竜王ゾンビの体に飛び乗った。

 竜王ゾンビの肉体は液体のようだった。 油断すれば、体が沈んでいく。

 しかし、水中を走るのと同様、右足が沈む前に左足を上げて走ることは可能だ。

 そのまま逆手持ちの剣を竜王ゾンビに突き立て、その肉体を道にして駆けて行く。

 聖属性の剣戟。しかし、振り返ると竜王ゾンビの肉体から特殊魔物ユニークモンスターが生まれている。

 「聖属性の攻撃でもモンスターを生めるのか」

 ベルトはため息混じりに呟くと、その場からジャンプ。空中で反転すると追いかけてくる数十の特殊魔物に対して――――


  ≪魂喰いソウルイーター


 すぐさま殲滅する。

 そのまま竜王ゾンビの体に着地する。 

 だが、竜王ゾンビの肉体は液体のようなもの。そのままなら、ベルトの体は竜王ゾンビの体に溺れてしまう。


 ベルトは≪軽気功≫のスキルを発動させた。

 スキルの効果によってベルトの体から重さが消え去る。 

 着地したベルトの足元から波紋が広がっていく。 
 
 そして、再び剣を足場に突き刺し、移動系スキルを駆使して駆け抜けていく。

 狙いは1つ。
 
 最初に放った≪致命的な一撃クリティカルストライク≫によって得た竜王ゾンビの数値(データ)。

 巨大すぎる肉体のため隅々まで調べる事は不可能だったが、心臓のような箇所と脳のような箇所。

 明確に弱点と言える場所は把握した。


 「そこを、そこさえ破壊すれば――――」 

 
 ベルトの言葉は途中で止まった。

 何かが猛スピードで背後から追いかけてきている。 それに気づき振り返った直後だ。

 ベルトの腰に、何者かが背後から抱きつくような仕草――――強烈なタックルでベルトは引き倒した。

 そのまま、倒れたベルとは液体化している竜王ゾンビの体内へ飲まれていく。

 その最中にベルトは見た。 誰が自分を引き倒したのか? その人物を……

 その人物は、暗黒将軍ルークだった。

 
 「おまえ……死んだはず……」

 「あぁ死んださ。 これが2度目のラストバトルだぜ。 ベルト・グリムよ!」


 今だにベルトの体を話さないルークは、両者共に竜王ゾンビの体内へ飲まれて――――姿を消した。
 

コメント

  • 熊猫

    体を話さないは間違いでは?

    1
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