『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』
幕間② 天上の尖兵
ベルトとシンラが陸クジラを覆うように走り、札を落とした位置。
もしも、仮に上空から見れば、魔力の線が札同士に繋がり、五芒星を描いているが分かるだろう。
五芒星の点となる場所は、それぞれ五大元素魔法を表している。
東方の五大元素魔法では『木』『火』『土』『金』『水』の5つ。
敵を結界に閉じ込め、それらの5つの属性魔法を時間差で攻撃するのが―――――
結界方術 ≪伽藍堂世界≫
既に5つの魔法が発動。
それら5種類の属性は交じり合い――――音もなく敵を消し去る。
――――そのはずだった。
魔力の残滓が残る中、巨体の影が動いた。
「仕留め切れなかった……だと!?」
驚きの声はシンラのもの。
事前に魔力を込めた札で敵を囲み、結界と共に放たれる自身の最強魔法。
いくら、桁外れの耐久力を持つ陸クジラとは言え葬り去るには十分の威力だったはず……
「すまないベルト。やはり『呪詛』による弱体化の影響が残って……」
「いや、違う。違うぞシンラ!」
ベルトは、いまだ動き続けている陸クジラを指差す。
「あいつ、何かに寄生されている」
「な、なにを? なにを言ってるんだ? ベルト!」
混乱するシンラ。
しかし、確かに良く見れば、動き続けている陸クジラの肉体は崩れ始めている。
「気をつけろ! 本体が出てくるぞ」
崩れた肉体の隙間より金色の光が溢れ出る。
それを直視した直後……陸クジラは崩壊した。
中に潜んでいた者が現れる。
そいつは金色の光に包まれ、背中には純白の翼が4つ。
それは人類よりも上位の存在。
「馬鹿な……どうして天使がこんな所に!」
天使――――それは神の使いであり、天上の尖兵。
「うむ……この生物は寝ていても栄養を届けてくれる出来の良い住処であったのだが……」
陸クジラを家代わりにして住んでいた。それだけでも十分な衝撃発言。
しかも、ベルトとシンラは天使の家を破壊してしまったのだ……
「戦闘必至……回避は無理か……」とシンラは呟いた。
しかし、天使は――――
「うむ……許そう」
予想外の言葉に「えっ?」とシンラは声を漏らす。
「呆けるな人間よ。我等は寛大である。謝罪の言葉があれば素直に受け取ろう」
その表情は慈悲が浮かんでいた。嘘ではなく本当に許そうというのだ。
「た、助かる……のか? いや、すまなかった。貴殿の家を破壊したのは本当に申し訳ない事を――――ぎゃぁ!!」
頭を深々と下げ、地面に膝をついて謝罪するシンラの首をベルトが掴み、強引に立ち上がらせたのだ。
「な、何をする! いや、謝罪の最中に邪魔をするなどと、天使さまに不敬であろう!」
そんな抗議の声を上げるシンラをベルトは一瞥もせず、天使から視線を外さない。
そして、こう告げた。
「すまない、シンラ。 すでに攻撃を入れちまった」
「……はぁ? はぁ!?」
すぐに視線を天使に戻す。 すると天使の様子がおかしい。
自分自身を抱きしめるように体を抑えかと思うと、苦しみ始めた。
「貴様、貴様、貴様貴様貴様……人の身でありながら天に唾を吐くか!?」
それは人の上位存在である天使の優雅さを殴り捨て、獰猛な野獣のような低い恫喝。
――――いや、獰猛な野獣と言うよりも手負いの猛獣。
「ベルト! お前、まさか!」
「あぁ」とベルトは頷き、それからこう続けた。
「天使にも毒って通じるんだな」
もしも、仮に上空から見れば、魔力の線が札同士に繋がり、五芒星を描いているが分かるだろう。
五芒星の点となる場所は、それぞれ五大元素魔法を表している。
東方の五大元素魔法では『木』『火』『土』『金』『水』の5つ。
敵を結界に閉じ込め、それらの5つの属性魔法を時間差で攻撃するのが―――――
結界方術 ≪伽藍堂世界≫
既に5つの魔法が発動。
それら5種類の属性は交じり合い――――音もなく敵を消し去る。
――――そのはずだった。
魔力の残滓が残る中、巨体の影が動いた。
「仕留め切れなかった……だと!?」
驚きの声はシンラのもの。
事前に魔力を込めた札で敵を囲み、結界と共に放たれる自身の最強魔法。
いくら、桁外れの耐久力を持つ陸クジラとは言え葬り去るには十分の威力だったはず……
「すまないベルト。やはり『呪詛』による弱体化の影響が残って……」
「いや、違う。違うぞシンラ!」
ベルトは、いまだ動き続けている陸クジラを指差す。
「あいつ、何かに寄生されている」
「な、なにを? なにを言ってるんだ? ベルト!」
混乱するシンラ。
しかし、確かに良く見れば、動き続けている陸クジラの肉体は崩れ始めている。
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それは人類よりも上位の存在。
「馬鹿な……どうして天使がこんな所に!」
天使――――それは神の使いであり、天上の尖兵。
「うむ……この生物は寝ていても栄養を届けてくれる出来の良い住処であったのだが……」
陸クジラを家代わりにして住んでいた。それだけでも十分な衝撃発言。
しかも、ベルトとシンラは天使の家を破壊してしまったのだ……
「戦闘必至……回避は無理か……」とシンラは呟いた。
しかし、天使は――――
「うむ……許そう」
予想外の言葉に「えっ?」とシンラは声を漏らす。
「呆けるな人間よ。我等は寛大である。謝罪の言葉があれば素直に受け取ろう」
その表情は慈悲が浮かんでいた。嘘ではなく本当に許そうというのだ。
「た、助かる……のか? いや、すまなかった。貴殿の家を破壊したのは本当に申し訳ない事を――――ぎゃぁ!!」
頭を深々と下げ、地面に膝をついて謝罪するシンラの首をベルトが掴み、強引に立ち上がらせたのだ。
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そんな抗議の声を上げるシンラをベルトは一瞥もせず、天使から視線を外さない。
そして、こう告げた。
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「……はぁ? はぁ!?」
すぐに視線を天使に戻す。 すると天使の様子がおかしい。
自分自身を抱きしめるように体を抑えかと思うと、苦しみ始めた。
「貴様、貴様、貴様貴様貴様……人の身でありながら天に唾を吐くか!?」
それは人の上位存在である天使の優雅さを殴り捨て、獰猛な野獣のような低い恫喝。
――――いや、獰猛な野獣と言うよりも手負いの猛獣。
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