『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』
幕間②シンラの依頼
鍛え上げられたベルトの鈍感力。
それは勇者パーティの一員として、モテ過ぎるがゆえに身に着けた処世術である。
しかし、それは一体、どういうものなのか?
意図的に異性の好意を事が可能なのか?
――――可能である。
実例であるベルトが存在している以上、反論の余地はあるまい。
しかし、それでは納得できぬ者たちのため、より詳しく説明をしなければならないだろう。
鈍感力。
それはある種の精神コントロール術。
つまりは自己催眠に近しいものである。
……という事は? 自己催眠であるならば……
それが無効化される事もあるという事でもある。
――――しかし、それは、まだ先の話。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「しかし、心当たりがない」とベルトは小首を傾げながら歩いていた。
いくら、鈍感とは言え、気がつかぬまま婚約を結ぶであろうか?
「いや、今まで何度かあったな」
なんせ、モテる男である。
宿舎に泊まる時、なぜかサインを求められ応じてみると、それが婚姻の誓約書だった……なんて事は日常茶飯事だった。
ベルト自身は、普通に接していたつもりが数日後に結婚詐欺師の汚名を着せられた事も……よくあった。
「……しかし、シンラだぞ?」
するとベルトの後ろから――――
「呼んだか?」とシンラが声をかけてきた。
「お前、さっきから独り言が多すぎるぞ。老けてきた証拠だぞ」
「うむ……」
さて、どうしてベルトとシンラは2人きりで歩いているかと言うと――――
―――1時間前―――
「依頼? 俺にお前がか?」
「あぁ」とシンラは頷いた。
「治療を受けて、ある程度の戦闘能力は戻っている自覚はある。しかし、復帰の計画を立てるには、より正確な現状把握が必要になる」
「うむ、なるほど」とベルトは相槌を打つ。
「そこで、手っ取り早く辺境の地で最強の魔物と戦おうと思い立ったのさ」
「……思い立ってしまったのか」
……そんなやり取りがあった。
それから準備と覚悟も程々に、2人で辺境最強の魔物退治に向う事になった。
依頼の内容が内容だけに、今回はメイルは留守番だ。
何か他の2人、シルフィドとマリアと同質の威圧感らしきものを感じたが……気のせいだとベルトは思うことにした。
しかし、男……と思われているシン・シンラと婚約しているという事は、なんらかの弁解をしなければいけないだろう。
その説明を考えてるだけで、どんよりと沈んだ気分になるベルトだった。
「それで、この森にいるのか? 最強の魔物は?」
シンラの質問に「あぁ」とベルトは頷いた。
それから――――
「気づいていると思うが、準備体操の時間だ」
ベルトは剣を抜く。
その動きに合わせて、後ろに下がったシンラは魔術の媒体である札を取り出した。
「久々の連携。ベルトも衰えていないか確かめさせてもらうさ」
その言葉に苦笑しながらベルトは前に出る。目前には魔物が姿を現した。
魔物の正体は――――
ドラゴンの頭部にコウモリの羽。鷲の鉤爪、蛇の尻尾……
それらを併せ持つ魔物と言えば1種類のみ……
そう、それは――――
ワイバーンだ。
それは勇者パーティの一員として、モテ過ぎるがゆえに身に着けた処世術である。
しかし、それは一体、どういうものなのか?
意図的に異性の好意を事が可能なのか?
――――可能である。
実例であるベルトが存在している以上、反論の余地はあるまい。
しかし、それでは納得できぬ者たちのため、より詳しく説明をしなければならないだろう。
鈍感力。
それはある種の精神コントロール術。
つまりは自己催眠に近しいものである。
……という事は? 自己催眠であるならば……
それが無効化される事もあるという事でもある。
――――しかし、それは、まだ先の話。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「しかし、心当たりがない」とベルトは小首を傾げながら歩いていた。
いくら、鈍感とは言え、気がつかぬまま婚約を結ぶであろうか?
「いや、今まで何度かあったな」
なんせ、モテる男である。
宿舎に泊まる時、なぜかサインを求められ応じてみると、それが婚姻の誓約書だった……なんて事は日常茶飯事だった。
ベルト自身は、普通に接していたつもりが数日後に結婚詐欺師の汚名を着せられた事も……よくあった。
「……しかし、シンラだぞ?」
するとベルトの後ろから――――
「呼んだか?」とシンラが声をかけてきた。
「お前、さっきから独り言が多すぎるぞ。老けてきた証拠だぞ」
「うむ……」
さて、どうしてベルトとシンラは2人きりで歩いているかと言うと――――
―――1時間前―――
「依頼? 俺にお前がか?」
「あぁ」とシンラは頷いた。
「治療を受けて、ある程度の戦闘能力は戻っている自覚はある。しかし、復帰の計画を立てるには、より正確な現状把握が必要になる」
「うむ、なるほど」とベルトは相槌を打つ。
「そこで、手っ取り早く辺境の地で最強の魔物と戦おうと思い立ったのさ」
「……思い立ってしまったのか」
……そんなやり取りがあった。
それから準備と覚悟も程々に、2人で辺境最強の魔物退治に向う事になった。
依頼の内容が内容だけに、今回はメイルは留守番だ。
何か他の2人、シルフィドとマリアと同質の威圧感らしきものを感じたが……気のせいだとベルトは思うことにした。
しかし、男……と思われているシン・シンラと婚約しているという事は、なんらかの弁解をしなければいけないだろう。
その説明を考えてるだけで、どんよりと沈んだ気分になるベルトだった。
「それで、この森にいるのか? 最強の魔物は?」
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それから――――
「気づいていると思うが、準備体操の時間だ」
ベルトは剣を抜く。
その動きに合わせて、後ろに下がったシンラは魔術の媒体である札を取り出した。
「久々の連携。ベルトも衰えていないか確かめさせてもらうさ」
その言葉に苦笑しながらベルトは前に出る。目前には魔物が姿を現した。
魔物の正体は――――
ドラゴンの頭部にコウモリの羽。鷲の鉤爪、蛇の尻尾……
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