『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』
30階層主 出現
西のダンジョン攻略失敗事件。
この事件は、後世の歴史家たちが頭を抱える事になる。
なぜ、ダンジョン攻略に精通していたはずの勇者たちが斥候や兵站を軽視したのか?
明らかな無謀。成功率は限りなく皆無。
まして、考案者は稀代の天才軍師と言われるシン・シンラ。
不可解。
しかし、これはいくら机を前に天才たちが知恵をひねり出してもわからないだろう。
シン・シンラ考案とされる『疾風迅雷陣』
これにはれっきとした前例があった。
勇者たちの常識を狂わせるほど、日常的にその男は役割をこなしていた。
スピードを重視して、最低限の装備と兵站。
単騎でダンジョン内を駆け回る男が1人。
罠を解除し、情報を入手し、雑魚を蹴散らして進む男がいた。
そして、場面は戻り――――
現代
その男はダンジョンに帰って来た。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
≪魂喰い≫
暗殺者唯一の最強魔法。
ベルトはメイルを抱えた状態。まるで何かを蹴り上げるようなモーションで放つ。
「足で魔法を! そんな事が!」
最近、驚いているばかりのメイルに対して「加速する。あまり喋ると舌を噛むぞ」と淡々を言うベルト。
さらに進行速度を速め、自身が放った魔法攻撃と並走を開始した。
僅かに先行する魔法攻撃が通路内にいるモンスターを切り裂いていく。
ベルトたちはモンスターが消滅した後の道を走り抜けていけばいいだけ……
いや、違った。
一体、いつ停止したのか? 急加速からの急停止だったはず。
それなのに、停止による惰性もなく、慣性が乱れたように……
ピタッ
とベルトは停止した。
その目前、斬と音が鳴り巨大な刃物がスイングされた。
「罠が…… どうして、わかったのですか!」とメイル。
ダンジョンでは罠の位置や種類が一定ではない。どういった原理なのか解明はされていないが、常に変化し続けている。
「臭いだ」
「臭い!?」
「さび付いた鉄の臭いに油の臭い……それに古い血の臭いが嗅ぎ分けれれば、回避できない罠は少ない」
そう言うと、ベルトは前方を指差した。
「俺が合図した防御魔法を頼む。あの場所は左右から矢が放たれる罠がある」
「え? あっ! はい!」
メイルの返事と共に再加速。そして――――
「今だ!」
「はい!」
≪深緑の防御壁≫
2人を緑色の光が包む。
対物理効果があるメイルの防御魔法だ。
そしてベルトの予言どおり、左右に空いた小さな穴から大量の矢が放たれる。
大量の矢の雨。
その中を一気に駆け抜ける。
「防御壁が展開される時間は10秒だけです!」と叫ぶようにメイル。
「半分でも十分だ」とベルトは笑う。
数十メートルの通路を通り抜けたベルトの表情には笑み。余裕すら感じられた。
そのまま10階層、20階層と通路を通過して階段と駆け下りていく。
しかし、2人の快進撃は途中で止まる。
最短距離を通り、罠の解除にモンスターの排除を最高率で駆け抜けてきたベルトの足が止まる。
場所は30階層。
階層主が出現していた。
ダンジョン研究者の間に階層主の法則性というものがある。
なんでも奇妙な法則があり、5階層、10階層、15階層……と5の倍数の階層主は他の階層主たちに比べて、明らかに強化されているという法則性だ。
原因は分かっていない。 だが、紛れもない事実であり――――
30層の階層主も例外から漏れぬ強者だった。
ボスの名前はトータスゴーレム。
ゴツゴツとした岩でできた体のゴーレム。
ゴーレム種は、どこかに魔力が込められた呪文が刻印されていて、そこが弱点とされている。
トータルゴーレムの弱点は明白だ。背中に刻まれている。
しかし、その背中にはまるで亀の甲羅のような高密度の岩で弱点を隠されている。
背中を攻撃して、甲羅を剥ぎ取り、弱点を突く――――
はっきり言うと正面から攻撃した方が効率的である。
つまり、トータスゴーレムには弱点がない。
この事件は、後世の歴史家たちが頭を抱える事になる。
なぜ、ダンジョン攻略に精通していたはずの勇者たちが斥候や兵站を軽視したのか?
明らかな無謀。成功率は限りなく皆無。
まして、考案者は稀代の天才軍師と言われるシン・シンラ。
不可解。
しかし、これはいくら机を前に天才たちが知恵をひねり出してもわからないだろう。
シン・シンラ考案とされる『疾風迅雷陣』
これにはれっきとした前例があった。
勇者たちの常識を狂わせるほど、日常的にその男は役割をこなしていた。
スピードを重視して、最低限の装備と兵站。
単騎でダンジョン内を駆け回る男が1人。
罠を解除し、情報を入手し、雑魚を蹴散らして進む男がいた。
そして、場面は戻り――――
現代
その男はダンジョンに帰って来た。
・・・
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≪魂喰い≫
暗殺者唯一の最強魔法。
ベルトはメイルを抱えた状態。まるで何かを蹴り上げるようなモーションで放つ。
「足で魔法を! そんな事が!」
最近、驚いているばかりのメイルに対して「加速する。あまり喋ると舌を噛むぞ」と淡々を言うベルト。
さらに進行速度を速め、自身が放った魔法攻撃と並走を開始した。
僅かに先行する魔法攻撃が通路内にいるモンスターを切り裂いていく。
ベルトたちはモンスターが消滅した後の道を走り抜けていけばいいだけ……
いや、違った。
一体、いつ停止したのか? 急加速からの急停止だったはず。
それなのに、停止による惰性もなく、慣性が乱れたように……
ピタッ
とベルトは停止した。
その目前、斬と音が鳴り巨大な刃物がスイングされた。
「罠が…… どうして、わかったのですか!」とメイル。
ダンジョンでは罠の位置や種類が一定ではない。どういった原理なのか解明はされていないが、常に変化し続けている。
「臭いだ」
「臭い!?」
「さび付いた鉄の臭いに油の臭い……それに古い血の臭いが嗅ぎ分けれれば、回避できない罠は少ない」
そう言うと、ベルトは前方を指差した。
「俺が合図した防御魔法を頼む。あの場所は左右から矢が放たれる罠がある」
「え? あっ! はい!」
メイルの返事と共に再加速。そして――――
「今だ!」
「はい!」
≪深緑の防御壁≫
2人を緑色の光が包む。
対物理効果があるメイルの防御魔法だ。
そしてベルトの予言どおり、左右に空いた小さな穴から大量の矢が放たれる。
大量の矢の雨。
その中を一気に駆け抜ける。
「防御壁が展開される時間は10秒だけです!」と叫ぶようにメイル。
「半分でも十分だ」とベルトは笑う。
数十メートルの通路を通り抜けたベルトの表情には笑み。余裕すら感じられた。
そのまま10階層、20階層と通路を通過して階段と駆け下りていく。
しかし、2人の快進撃は途中で止まる。
最短距離を通り、罠の解除にモンスターの排除を最高率で駆け抜けてきたベルトの足が止まる。
場所は30階層。
階層主が出現していた。
ダンジョン研究者の間に階層主の法則性というものがある。
なんでも奇妙な法則があり、5階層、10階層、15階層……と5の倍数の階層主は他の階層主たちに比べて、明らかに強化されているという法則性だ。
原因は分かっていない。 だが、紛れもない事実であり――――
30層の階層主も例外から漏れぬ強者だった。
ボスの名前はトータスゴーレム。
ゴツゴツとした岩でできた体のゴーレム。
ゴーレム種は、どこかに魔力が込められた呪文が刻印されていて、そこが弱点とされている。
トータルゴーレムの弱点は明白だ。背中に刻まれている。
しかし、その背中にはまるで亀の甲羅のような高密度の岩で弱点を隠されている。
背中を攻撃して、甲羅を剥ぎ取り、弱点を突く――――
はっきり言うと正面から攻撃した方が効率的である。
つまり、トータスゴーレムには弱点がない。
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