絶対神の異世界チートハーレム無双!?

guju

失踪

白塗りの扉を開き、ゼロは宿に戻る。
エントランスには人がほとんど居ないようだ。
チラホラと見えるものの、その者達は己を守る防具を身につけることも無く、武器を携えることもしていない。
寧ろ戦いとは無縁の、気品溢れる仕立てのいい服を着用している。

彼らは商人だろう。
下級の宿ならば、まだ身なりの揃っていない駆け出しの商人が殆どだろうが、今回はそこそこいい宿に泊まっている。
故に、そこに泊まる人達の敷居も高いようだ。

俺は、その広いエントランスをぬけ、ルーシェが待つ部屋へと足を運んだ。

カチャと、ドアノブを捻る音がそのしずな空間に響き渡る。
だが、なんの反応も帰ってこなかった。

この部屋は、部屋の入口になる部分はベッドの上からでも確認出来る配置になっている。
距離もそう無く、寝てでも居ない限り何らかの反応が帰ってくる筈だ。
故に、寝ているのか? と思考を巡らせるが、その可能性はあるにはあるが限りなく低い。

彼は、昨日多量の酒を飲んだため、今日は二日酔いである。
さらに、彼は別段酒に弱いらしく、その頭痛は彼が持っていた市販の頭痛薬では治まらないほどだ。
それほどの強い頭痛に晒されていた彼が、そう易々と眠れるはずがない。
その証拠に、昨夜は彼の唸り声が部屋に響いていたのだから。

異変に気づいたゼロは、慌てて部屋を確認する。
もしかすれば、御手洗や脱衣所に居るかもしれないと。

だが、彼は部屋のどこにもいなかった。

「どこに行ったんだ……」

ゼロは、引き返すように宿のエントランスへと戻って行った。

しかし、戻ったもののなんの手がかりもない。
情報捜査に長けている八咫烏は、先程ゼロが下した命により、今は恐らく女の保管作業に入っているだろう。

まだまだ眷属は居るものの、神界では俺が出てきていることは極秘である。
自室に居た八咫烏程度ならば居なくなってもそうそうバレる恐れは無いものの、それ以外の場所で待機している者達が抜ければ、このことがバレるリスクが格段に上がるだろう。

つまり、今、この世界で八咫烏以外の眷属を使うことは出来ないと考えた方がいいだろう。

「さて、どうしたものかな」

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