天意転星

GAAMIN

回避

「あんな子供騙しな手でも通用するんだな…。」

流石に見破られると思っていたのだが、いとも容易く騙せた事に拍子抜けしていた。

「助かったの…?」

カラーシャは怯えながらも、直面していた危機が去った事で少し落ち着いていた。

「もう大丈夫みたいだ。騎士達もすぐには帰ってこないだろう。…だがこの村はもうだめだ。奴らに発見されているし、恐らく村を立て直すほどの生存者は見込めないだろう。」

「そんな…。私達、どうしたら…。」

(少し思い出してきた。そういえば最初の村は隣国の騎士に襲われている設定だったんだ。だが[ミラージュ]を使って村人は全員守ったはず…他の作品と間違えたか?)

「とにかく今は安全な場所に行こう。歩けるかい?」

「私は大丈夫だけど、アレクが…。」

弟は身体的には怪我は見られなかったが何らかのショックでまともに会話が出来る様子ではなかった。

「とにかくここから離れよう。乗り物を用意する。弟を連れてこれそうかい?」

「はい、なんとか。」

騎士隊が来た方向は必ず人が住んでいる。だが騎士達に顔が割れている以上近くに拠点を置きたくない。

「ここから近い村はどこにあるかな?」

カラーシャは騎士が来た方向とはほぼ反対の位置を指さした。

「…ここから半日進んだところにここよりも大きい村がある。でもアレクは半日も移動できないと思う…。」

(恐らく騎士達を警戒して反対の村を教えてくれたんだろう。半日程なら魔法を使って陸路で移動するとしよう。)

「一時間で着く。それなら大丈夫かな?」

「…大丈夫、だと思う。でもどうやって…」

「少しここで待っててくれるかな?材料を揃えてくる。」

そう言い残して村の残骸の方へと向かっていった。

「…アレク、大丈夫?しっかりして。これからアリシケ村に向かうからもう大丈夫だよ。」

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