チートじみた転生ボーナスを全て相棒に捧げた召喚士の俺は、この異世界を全力で無双する。

ジェス64

番外編第9話、晩茶

「ふぅ…美依さん、良いですね?私から話を聞きたければ、絶対に私の傍を離れないで下さいね?頼むからメイン盾…いえ、私のシールドになってて下さいね?」
 ……今、ミーの背後には、小さく丸まり、ミーの肩を震える手で掴む、迷惑なアフロさんが居るにゃ。
「同じ意味にゃ、それ…」
 説明するのも面倒にゃんね、これ。


ーーー回想ーーー

「ここが、えと、結女さんの家ですか?魔王城みたいなのを想像してたんですけど、普通…と言うか、結構庶民派なんですね」
 優の家の庭で葉っぱを払い終えて、縁側から茶の間まで歩いて来たアフロさんが、感心半分、驚き半分な様子で話してるにゃ。
 ……ちなみにアフロさんは庭にいた時点で、裸足だったにゃ。靴はどこにやったのにゃ、この人。
「んー…そうね〜、優さんが普通の生活が好きだって言うから、内装は落ち着いた感じになってるわね」
 家の内装決めるのって、結女さんじゃにゃいの?優に合わせてるんだにゃ、意外…。

「にゃるふぁ、所でリーダー何処にゃ?あと、チョーさんも」
 ふと、気になってたことを声に出してみるにゃ。
「え、リーダー?それに、チョーさん?誰ですか、それって?」

「よくぞきいてくれたな!」ヒョコッ
 木の柱の影から、リーダーが飛び出て来たにゃ。お茶目かよ。
「ギャー!」
 え!?そこで驚く!?
「私の名は上月 殺鬼!じゅーろくさいだ!よろしくな!!!」
 おぉ…暑苦しさとアホっぽいのが一瞬で露呈する、完璧な自己紹介にゃ。流石リーダーにゃ。
「よろしくな…じゃないですよ!もー!本当、じゃ、じゅ、じょ、冗談じゃありませんよ、こんな恐ろしい所に居られませんっつーの!私は逃げますからね!」
 ……この人、何に怯えてるのにゃ?そう言えば、結女さんを初めに見た時も、似たようなリアクションを取ってたにゃんね。
 優を見た時も同じ様なリアクションするのかにゃぁ。いや、流石にないかにゃ。
「逃げられては困りますね、えぇ」ザッ
 そう話しながら、チョーさんが通せんぼする様に……え?今何処から出てきたにゃ、この人。ミーが登場シーン見逃しただけかにゃ。
「モルスァ」ポスッ
 アフロさんは、ミーたちの方を見ながら早歩きしてたせいで、道を塞いだチョーさんの身体に激突したにゃ。
「おっと、ちゃんと前を見なさい。怪我しますよ」
「は、はい!すいません…いったー、私のフィー…チラッ…ゲェーッ!!な、た、助けてー!戦場だここ!も、もう無理!無理ですぅ!ゆるひてくりゃひゃ…まさか、金銭…!?ぁ…も、持って無いです…見逃せ……ッ!ひっ、うぅー……!」チラッ
 怯える姿が面白い人だにゃー。表情がコロコロ変わって、Sな人や優の気持ちが今なら分からんでも…ん?何にゃ、こっち見て…。
「匿ってください!お願いします!」ダバダバ
「ん…!?えっ、ミー!?おま、やめろ!」
「ヘルプミー!いや、ヘルプ美依さん!」
 やかましいわ!
「ニャンだこいつ!?おいこっち来んなバカ!腰を掴むにゃ!」
 こ、この野郎、そそくさとミーの背後に避難して来たにゃ……。

ーーー回想終わりーーー



 そして冒頭のシーンにゃ、全く……。
「どうだサキ。見ろ、私の言った通りになっただろう」
 チョーさん……えっ何の話にゃ。ミーたちが居ない間に話してたことかにゃ。
「本当だな。まさかここまで怯えるとは思っていなかったが…」
「何の話ィ!?wwwww」
「……そうか、雌猫と豚には話していなかったな。ついでだ、教えてやろう。私とサキ、ゴミ屑…こほん、クソビッチは、少々特殊な力を持っている。普通は分からんだろうが……まぁ、ソレを見抜ける程度の力は、そこの駄女神は持っていた…と。まぁ、そういう事だ」
 口悪すぎにゃい?と言うか、結女さんについて言い換えるの失敗してる…いや、意図的かにゃ。
 それより、特殊な力って何にゃ。アフロさんが怯えてた原因にゃんだろうけど、リーダーにも有るのは予想外だったにゃー。
「ふにゃー。ねぇねぇリーダー、特殊な力って何にゃ?」
 今明かされるリーダーの衝撃の真実ゥ!
「知らん!私が聞きたいぐらいだ」
「…にゃん…だと……」
 えぇ……。
「……だ、駄女神って、口悪くないですか、この人」
「コイツは昔っからこうよ、諦めなさい」
 昔っから…何だかんだ言ってチョーさんと結女さんは古い付き合いみたいにゃ、ソレを言ったら怒られそうだから言わにゃーけど。
「う、うぇぇ……」ギュッ
 アフロさんが萎縮したせいか、ミーの肩を掴む力がちょっと強くなったにゃ。
「私がわざわざ貴様をムダに怯えさせない為に、身を隠し少し待て…と、サキには伝えていたんだがな。はっ、この小娘は、全く……」
 !…そう言いつつも、チョーさんの口角がほんの僅かに上がってるのを、ミーは見逃さ無かったにゃ。初めてチョーさんの……えと、微笑みとはいえ、笑ってるの見たにゃ。
 でも確かにリーダー、子供のイタズラ程度の、可愛げのある仕草で、お茶目だったにゃもん。微笑ましかったのかにゃ。
「だ、だって、あそこまで驚くとは……私だって……」ブツブツ
 人差し指どうしを胸の前でツンツンさせて、いじけてるにゃ、リーダー。

「…いや待ってwwwww特殊な力持ってるのは分かったけど、さっきから話進んでなくね?www優殿救うんじゃないんすかwwwww」
「にゃんだコイツうるせぇニャ…」
「チッ…豚の分際で……屠殺されたいのか?」
「コメントは控えさせて貰うわ」
「うわわ、地雷踏んだっぽいですね、この人……ご愁傷さまです」
「ファファファのファーwwwwマトモな意見出したのに何で俺総攻撃喰らってんのwwwww理不尽過ぎワロスwwwwww」
 楽しいにゃー。でもまぁ、そろそろ話を本題に移さにゃー駄目にゃんね。
「?」
「あ!ちょ、1人だけフリ分かってないじゃないですか!」
「リーダーは優しいから良いのにゃ」
「………」コク
 目を瞑り無言で頷くチョーさんが、何故だか、割と印象的だったにゃ。

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