チートじみた転生ボーナスを全て相棒に捧げた召喚士の俺は、この異世界を全力で無双する。

ジェス64

番外編第7話、天衣無縫

「………と言うことを、ミーは思ったんにゃけど…」
 優の仕込みについて、ミーが察することが出来た範囲を全て、リーダーやブタオに話したにゃ。
「…え、天才?wでもそれがマジなら、優殿を見つける手段は、文字通り神頼みってことになるんだがwwwwwww詰んだ?wwwww」
 テンションが上がるブタオに、
「……バレる様に……バレエ……?」
 良く分かってなさそうなリーダー、
「……アチャー」
 最後に、マジかぁ……みたいな、少し引きつった顔をする結女さんで。
 うーん、見事に三者三葉にゃ。まぁブタオにだけ賛同するにゃ。
「そうにゃ!神隠しにゃんだから、解決策は神!目には目を、餅は餅屋ってことにゃ。そして…結女さん、優に関すること、神についてのこと…優に仕込まれてたってことは…きっと、知ってるにゃ?教えて欲しいにゃ」
 ミーに聞かれた結女さんは、困った様な顔を浮かべ、少し悩んでいる様子だったにゃけど、何か諦めた様に、ミー達に話してくれたにゃ。
「えっとねぇ……まぁ…何とか出来そうなヤツは知ってるけど…私、ソイツ嫌いなのよね……」
 想像以上に私的な理由にゃ…!
 結女さんは苦虫を噛み潰したような顔で話してるにゃ、心底嫌そうにゃ。
「中央ど真ん中ストレートwwwwwカワイソスwwwwww」
「いーや、可哀想なんてこと無いのよ、アイツはもう最低ね。身も心も黒いし、平気で嘘はつくし、ことごとく私のヤりたいことは邪魔するし、いやーなヤツよ」
 そう言って、ため息をはく結女さん。マジで嫌ってるみたいにゃ。
「黒い…まさか、チョウのことを言ってるのか?」
「…ふにゃ?リーダー、それ誰にゃ?」
 黒いで連想されるってことは、見た目が松崎し〇"るみたいな人なのかにゃ…。
「ん?あぁ、美依とブタオには話してなかったな。優の友達で、紳士的な優しい男の人だぞ」
 にゃー、そうなんだにゃぁ。
「えぇ〜!?アレを見て紳士的?しかも優しいって…嘘でしょ!?」
 あの、既に矛盾が生じてるんにゃけど、どうしようこれ。
「いやどっちやねんwwwww」
 どっちやねーん。
「あんな小汚い浮浪者が優さんの友達とか、寝言は寝て言って欲しいわ、もう…」
 いや本当に酷い嫌われかたしてるにゃ。何をやらかしたのか、ある意味気になるっちゃー気になるにゃ。
「あぁ、言い忘れていたが…超と言えば今日、この家に来てくれる約束をしていたハズなんだが」
「え?」
 おほー、これ絶対悪口聞かれてるパターンにゃ。ご愁傷さまにゃ。

「……あぁ、ついさっき到着したばかりだ」

「フギャー!?」ビクーン!
 いやはえぇよ!急に背後から渋い男性の声が聞こえて、死ぬほどびっくりした!びっくりしたにゃ!
「うおぉビビったwwwwwインターホンぐらい鳴らしてくださいお願いしますwwwwwwww」
 ブタオもミーの隣の椅子だから、急に来た背後のイケボにビビってるにゃんね…。

「おっと失礼…私の名はチョウ・ピンフ。チョウと呼んでくれて構いません」
 声を聞きながら振り向くと、執事っぽい黒い服を着た、身長180cmぐらいの褐色のイケメンが居たにゃ。黒いショートヘアーで、頬に独特な…ピエロみたいな……えっと、メイク?がされてるにゃ。
 メイクと言っても白一色の、影絵みたいな簡略化されたヤツにゃけど。1本の剣に2匹の蛇が絡まっている、割とカッコイイメイクにゃ。
 チョウ…ピンフ?平和ピンフ?名前が独特過ぎるけど、何処出身の人なんだろうにゃー。
「超、来てくれたか!優についてのことは…」
 いやだから年上には敬語を使えにゃ、リーダー。
「問題ない。イグから話は聞いている。だが……」ギロッ
 イグ?ぐぬぬ……また知らない人の名前にゃ。
「何故このクソビッチがここに居るんだ、サキ。今すぐ切り捨てろ」
 うわぉ、開口一番にこれって仲悪すぎにゃい?
「サキさん、そこの知性が感じられない悪意の化身みたいな汚物の首を飛ばしてくれない?まるで屍喰鬼グールと話してるみたいで、気分が悪いわ」
「にゃ、にゃ……」タジッ
 ………こ、怖い!え?何でこんなバチバチしてる人達の間にミーは挟まれてるにゃ?
「ん…妙だな、寝言は寝て言うんじゃなかったのか?」
「まぁ!いつの間に盗聴してるなんて、流石女性に這い寄るストーカーなだけありますわね、穢らわしい…」
「おい!!やめやめろ!2人とも、喧嘩はそこまでだ!」
 やめろ!だけで良くにゃい?
 睨み合っていた2人だったけど、リーダーの制止の声に目を覚ましたみたいだったにゃ。
「「ふん……」」
 いや覚まして無かったにゃ。仲は依然として悪そうにゃ。

「でもこれリーダーがキチンと2人に伝えてたら、ダブルブッキングすること無かったんじゃないかにゃ?……あっ」
 ほぼ無意識に突っ込んでたにゃ。ミーは悪くないにゃ。
「ファーwwwww何で言うのwwww」
「くっ、口が勝手に…」
 ミーは悪くねぇ!ミーは悪くねぇ!
「ブッキング……?」
 リーダーが意味深に呟いてるけど、絶対ブッキングの意味分かってないだけにゃ、コレ。
 (なぜ急に本の王…?)とか思ってる顔にゃ………すまねェ、今のは適当言ったにゃ。
「……そう言えば、確かにそうね。この生乾き男が来るって知ってたら、私は絶対に今日はこの家に居なかったわ」
「そうだな。これを機に、この家から永久に追放されたらどうだ?黒い噂も無くなるし、汚い濡れ女も居なくなる。良いことだらけじゃないか?」
 何気に煽りあいのセンスが凄まじくてちょっと面白くなって来たにゃ、これがいいぞもっとやれって感情かにゃ。
 たださっきから、家の中なのに周囲に微風が吹いてて、置いてある食器がカチャカチャ震えてて、命の危険を感じるんにゃけど。
「はぁ……あのね、ここは元凶のサキさんを責めるべき場面でしょ?詐欺師のクセに空気が読めないのかしら?」
「サキはお前の様な肥溜めよりも下劣なクソビッチとは違って、わざとやった訳では無いだろうからな。私は許そう。それと少しでも空気が読めるなら今すぐここから居なくなって欲しいのだが……駄目か?」
「アハハ……イイ加減、殺そうかしラ…?☽
「!?」
 ひにゃっ…!?結女さんの目が、真っ赤に染まっ…!

「やめやめろ!!!」
 ピタッ……と、両者と、ビリビリとした空気の振動が、止まった気がするにゃ。
「まずは、優を救うべきだ!!良いか、どちらが悪いか正しいかは、優が誰よりも公正に分かる!喧嘩は優の目の届く所でやれ!」
「……私は、それに賛成だ。暖簾に腕押しするのも、馬鹿らしい…」
「フフ、フフフ……実家に腐ったイカを送ってやるわ…覚えておきなさいよ…?」
 やべぇマジで怖いにゃ…ミーの手先がプルプル震えてるけど、周囲にはバレない様に、テーブルの下にコッソリ隠すにゃ。
 リーダーもそうにゃし、優の周りの人って何だか不思議な迫力を持ってる人ばかりな気がするにゃ、これが天才は引かれ合うって奴かにゃ……。
「いやー部長すげぇわwww一生付いて行くっスwwwww」
 こ、コイツ…この状況でも何時も通り軽口を叩く余裕が有るとか、ちょっとビビってるミーがバカみたいにゃ。
「私では無い、優が凄いのだ。わ、私はそこまで尊敬される様な人間では……」テレテレ
 …嬉しそうにゃ、リーダー。
「にゃーもう!話進まにゃし、チョーさん!優について話して下さいにゃ!」
 結女さんが言うにゃぁ、神らしいし…いや流石にチョーさんが神ってことを、はいそうですにゃって信じてはいないけど。
「はい、良いですよ。彼を助け出す方法から、迎えに行く術まで、好きなだけ教えてあげましょう」
「にゃ……!?い、良いの?」
 めっちゃ丁寧に話しかけられて、ちょっとドキッとしてしまったにゃ……。
 だって仕方無いにゃ!良く見たら…と言うか、めちゃくちゃイケメンにゃし、しかも高身長、加えてミー好みの渋い声にゃし。
「ほーら来るわよ、コイツの嫌ぁーな所……」ボソボソ
 結女さんが呆れた様なジト目で、チョーさんを見てるにゃ。
 え…チョーさんって力の代償とかを求めるタイプの人だったにゃ?ただし条件が……とか言ってくる奴にゃ?
「言いませんよ。ですがたったひとつだけ、話を聞かせる前に確認しておきたいことがあるので、良いでしょうか」
 ん!?
「ふぁっ……み、ミー、声に出てたにゃ?ご、ごめんなさいにゃ」
 余りにもナチュラルに心の声(?)に答えられたから、ちょっと焦ってしまうにゃ。
 にゃ、そうじゃなくて、返事しなきゃ。
「えと、か、確認って何ですにゃ?」
「おい、何か如何わしいことをミーに聞くつもりなら許さんぞ、超」
「部長それは流石に無いでしょwwwww無いよな…www」
「有るかも知れないわね…」
 丁寧に話してくれてるのにクソ失礼にゃ、コイツら…。
 まぁミーもちょっと如何わしいオーラを感じたけども。
「私を何だと思ってるんですかね。それに、確認を取るのは一人ではありません。そこの草男と雌猫、後はサキ、お前らに簡潔に聞きます」
 口調が丁寧なのと雑なので混ざってるにゃ……いや、そうニャ、名前からして見ても外国人っぽかったにゃし、少し日本語に慣れて無いのかも知れないにゃ。
 でも人のこと雌猫呼ばわりはやめて欲しいニャ……。
「怖ぇwwwww」
「超!ミーを雌猫呼ばわりはやめろ!草男は別に良いが…」
 良いんだ…。
「騒がしいな…全く、優が居なければこのザマか……静かにしろ。今から聞くと言っているモノを、何度言えば分かる?」
 おわー!や、やばいにゃ、チョーさん、流石に怒ってきてるにゃ、穏便に進ませにゃいと。
「良いからさっさと話しなさいよ、ボロ雑巾の精霊さん?」
 にゃめろー!
「…け、ケンカはダメにゃ!ブタオは黙れ!結女さんも、言い過ぎはダメにゃ、流石に自重するべきにゃ!」
「………w」
「ちぇー、はーい」
 よし、2人は抑えたにゃ。
「わ、私はどうしていれば」オロオロ
「リーダーは純粋に声量がうるさいからしばらく黙っててにゃ」
「ぐっ……!?」ガーン
 これで良しにゃ。
「にょし、チョーにゃ…さん」チラッ
 ミーを見て感心してるチョーさんに、視線で話を促すにゃ。うーん、我ながらリーダーよりリーダーしてるにゃ、優の敏腕っぷりには勝てにゃいけど。

「見事…良いでしょう。さて、アナタ達は、今の生活を全て失ってでも…優を助けたいですか?私が聞きたいのはそれだけです」
 全て……って、え?どういう事にゃ。
「無論だ。私はその為にここに居るんだ」
 うわ、カッコいい〜…じゃにゃい、リーダー、返答まで早すぎにゃ。もうちょっと考えてからでも…。
「覚悟は有るけど、俺は美依殿に合わせるわwwwww」
 え、ブタオ!?
「…お、お前ェ!ミーに便乗して優を助けるつもりにゃ?最低にゃ!」
 見損なったにゃ!でも便乗して気を楽にしたい気持ちは分からんでも無いニャ!
 何はともあれ自爆したから、ブタオはもうどんな言い訳するにしても苦しい状況にゃ、自業自得にゃ。

「違う、美依殿。俺は美依殿を1人にしたくないだけだ……っ。うわやべwwww口説いてるみたいになったwww俺恥ずかし過ぎかよ忘れてwwww」
 ……ぉ、おぅふ…急に……あ、焦るなミー…こんな奴を変に意識してるとか周囲に思われたら末代までの恥ニャ、いつも通り軽口でスルーするにゃ……。
「ゃ…にゃ、なら、ひ……1人にさせんなよ、ばか……」ボソボソ
 やばいブタオの戯言をサラッと流そうとしたのに、どもりすぎてめちゃくちゃ意識してるみたいになったにゃ…!

「…はい?モゴモゴと何を…今のは優を助けるのに同意したのですか?俯いて小声で、ちょっと何言ってるか分からなかったんですが」
 聞こえてにゃいんかーい。ミー、想像以上に小声になってたみたいにゃ。
 正直助かったにゃ…。
「美依、すまないがもう1回言ってくれるか?聞こえなかったな」
「嫌にゃ!!」
 殺す気か!(羞恥心で)
「…いや何て言ったんすかwwwwwまァ、きっっっしょ!とか小声で言われてたら、立ち直れないから、やっぱり言わなくて良いですwwwwww」
「黙れにゃ!きっっっしょ!」
 ブタオ風情が調子に乗りやがって…まぁ……べ、別にさっきのセリフ自体はそこまで悪くなかったけどにゃ?
 何て思ってることを態度には出さずに、あくまで冷静に行くにゃ、ミーは賢いからにゃ。
「泣けるぜ…」
「グダグダと飽きずによくもまぁ…良いでしょう。草男は兎も角、そこの猫。早く答えなさい。結局、優を助ける覚悟は有るのですか?」
 うぐ…面と向かって言われると、実際困るにゃ。
 だって、今の生活を全て失ってでもって…要は、優を助けるためには、この世界でのミーを無くすってことにゃ。言い換えれば神隠し、或いは失踪にゃ……ミーには優しいママンも、頼れるパパンも居るにゃ。
 2人を心配させたく無いにゃ…だけど勿論、優は助けたいにゃし…。
「う、うにゃ……」オロオロ
 どうするべきにゃ、ミーは…でも…決まってるにゃ!

「ミーは…優を助けたいにゃ。チョーさん、教えて下さいにゃ、優を助ける方法を」
 ……本当は、悩む必要なんて何処にも無いにゃ。ただ少し、ミーが親不孝者になるだけにゃ。
 覚悟を決めて、チョーさんを真っ直ぐ見ながら、返答したにゃ。
「うっし、俺も美依殿に乗るわwww」
 こ、この野郎…でも、良いけどにゃ。基本味方は多い方が良いにゃ。当然、無能は除くけどにゃ。
 その点で考えれば、ブタオの機械の才能はきっと、優を助けるのに役立つハズ…だと思うにゃ。

「それで良いんですよ。教えてあげましょう、優の居る世界への行き方をーー」

「ーーهل حان الوقت لإزعاج ترجمة هذه الأماكن؟……」
 チョーさんはそう言うと、ブツブツと何か日本語じゃにゃい別の言語で、呪文みたいな何かを唱え始めたにゃ。
 えっ、怖いんにゃけど。何が起こってるんにゃ、これ。

『……きゃぁぁぁぁぁぁ!?!!?』

 ーーガサガサガサバキッドサッ!!

「今の何の音ォ!?wwwww」
「にゃっ!?」
 …そ、外で女の人の悲鳴が聞こえたんにゃけど。続けて、優の家の庭に、何か落ちて来た様な音が聞こえたんにゃけど。
 ……い、嫌にゃ!何かしらの事件の関係者になるのは嫌にゃー!!

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