チートじみた転生ボーナスを全て相棒に捧げた召喚士の俺は、この異世界を全力で無双する。
第6話、反転する世界
太陽寮を出て10分ぐらい歩いた時点で、僕は異世界の実家に帰りたくなっていた。
「今日は周囲から視線を感じるな…」
結論から言うと、リサさんはモテモテだった。主に若い女性に。少数だけど男性からも。遠くからリサさんを見たであろう人の嬉しそうな話し声が聞こえて来る度、この人を心配していた自分が愚かに感じる。
視線を感じると話し、無駄な警戒をしている隣の人は、明らかな好意の視線を一体どう感じ取っているんだろう。
「ソウダネー」
茶番でしょ。
「失礼しましゅ、リサ隊長!」
2人で軍の敷地内っぽい所を歩いてると、後ろからハキハキとした若い女性の声が聞こえた。噛んでたのはスルー。
僕とリサさんはほぼ同時に振り返る。
「何だ、リリー。私に何か報告があるのか?」
リサさんが凛とした態度で受け答えをする。
「あっ…名前、覚えててくれたんですね、えへへ…」
リリーと呼ばれた小柄な女性(僕よりは背がある、160cmぐらいかな)は、頬を軽くかいて、嬉しそうに照れていた。
「…リリー」
リサさんが呆れながら名前を呼び、彼女を現実に引き戻した。
「…ハッ!す、すみません!あの、その、隣の少年は…ど、どういう関係なの!?」
…あっそうか。リサさんと手を繋いだままだった。リリーさんはかなり焦った様子で聞いてきた。敬語が崩れたのはスルー。
「少年では無い。彼は、優だ」
少年でも良くない?
「内津 優だよ。よろしくね。リサさんとは普通の友だちだよ」
軽く自己紹介をする。
「私はリリー・ペルシア…あの、さっきからずっと手を繋いでるのは……」
さっきからずっと繋がった手をガン見してる。この人リサさんを凄く気にしてる。
まぁ、此処からリサさんとはぐれようが無いし、繋いでる理由も無いね。一声掛けて、手を離そう。
「リサさ」
「あぁ、確かに繋いでいるが、何か問題があるのか?」
うわー。
「え…その…ごめんなさい、私には過ぎたことでした……」
諦めないで欲しいなぁ。
「話はそれだけか?」
リサさん何か語気強くない?
「リサさん、察してあげようよ…」ヒソヒソ
軽く手を握る力を強めて、リリーさんの伝えたいであろう事をリサさんに察させる為に、小声でやんわりと話す。
「優……?ふっ、そうか」
リサさんが僕から手を離す。よかった。
「…さぁ来い!」
よくなかった。リサさんが姿勢を低くして僕を誘導する。おぶって欲しいわけじゃないんだけどなぁ。と言うか何を察したの?
「行かないよ。リリーさん、少しリサさんについて聞いても良いかな」
リサさんをスルーして、リリーさんに話を聞く。
「えっ…はい、構いませんよ、私が知ってることなら…」
親切でよかった、話は順調に進みそうだ。
「リサさんについて、どんな性格か、とか、周囲からの評判について教えてくれるかな?」
隣でリサさんが悲しそうな目で僕を見ている。
「ふふ、何と言ってもリサ隊長はカッコ…あっ!…その…」
…あぁ、察した。
「リサさん」
本人がいる前じゃ話しづらいよね。リサさんに声を掛け、催促する。
「……?」
うん。
「リサさん、少し席を外して欲しいんだけど」
「ごめんなさい、隊長…」
「そ、そうか…私は、向こうに居るからな。話が終わったら伝えに来てくれ」
訓練場の隅、素振りをしてる訓練兵が沢山居るところにリサさんは歩いて行った。
「じゃあ、リサさんの性格について教えてくれる?」
近くのベンチに座って、リリーさんと2人になる。
「はい。リサ隊長はですね、何と言ってもクールで凛としてて、カッコよくて!でも家事はダメダメな所が…あー、養いたい!!…あぁぁ言っちゃった、今のは忘れてください!それより、本当に優しくて…私、騎士団に入ったばかりの頃はドジでのろまで…皆に笑われていた、恥ずかしい過去があったんですけど、リサ隊長が個人指導をしてくれて…えへ…それで、この人に恥ずかしい姿は見せられないと思って、訓練を頑張って自主練も欠かさず頑張って…今じゃ、リサ隊長ファンクラブのNo.3に認定されて、リサ隊長の為にご飯を作る権利が貰える立場まで…!もう本当にリサ隊長がカッコよくて…今日もさっき覚悟して、話し掛けようとして、噛んじゃったのが死ぬ程恥ずかしくって…でも、優さんがリサ隊長とそんな関係じゃなくて良かったぁ……もし、万が一って関係だったら…ふふっ、覚悟しておいて下さいね?私、容赦しませんから」
怖い。これでNo.3って所が最高にクレイジーだね、ファンクラブ。
「そ、そうなんだ…」
「リサ隊長の評判もとっても良くて…私、リサ隊長の為なら何でも出来ます…!だって、あぁ、もう本当にカッコよくて、可愛くて…好き……あ、分かってるでしょうけど、リサ隊長は太陽よりも眩しく月光よりもクールで、何処に出しても恥ずかしくない立派な方ですよ!」
助けて。何時リサさんが刺されるか心配なレベルでリサさん好かれてるんだけど。これ友だちに逆になれない奴でしょ。
「あ…でも、リサ隊長を嫌ってる人も…居るのは、事実です……」
居るんだ……その人ってファンから殺されたりしない?
「どんな人?」
まぁ予想はついてるけど。
「1部のクズ…いえ、男達です。訓練兵や、恥ずかしいことに指揮官でリサ隊長を毛嫌いする男…いえ、ゴミ屑も居るのは、太陽の騎士団最大の汚点です……」
今言い直すの間違えなかった?気の所為かな。
兎に角、予想通りだった。どうやらリサさんは女性のファンが圧倒的に多いみたいで…男の人からしたら面白く無いよね。それで妬まれてる…って感じだろうね。
「汚点なのに、清掃…いや、その男の人達は始末しないの?」
ストレートに聞いてみよう。
「はい、出来ればズタズタにしたいのですが…騎士団の誓いで仲間や同士を裏切る行為全般は、固く禁止されているのです」
へぇ…いい事聞いた。これは嬉しい情報だぞ、やったー。
「裏切りはダメなんだね。リサさんに嫌われちゃうかも知れないし、始末したくても出来ないって事なんだよね?」
「えぇ、そうです…」
悔しそうに返事をするリリーさん。なるほどね。
よし、聞きたいことはほとんど聞けたし、最後にちょっと確認してみようかな。
「リリーさんは…もし、リサさんに嫌われちゃったらどうする?」
「死にます」
本物だなぁ。
「今日は周囲から視線を感じるな…」
結論から言うと、リサさんはモテモテだった。主に若い女性に。少数だけど男性からも。遠くからリサさんを見たであろう人の嬉しそうな話し声が聞こえて来る度、この人を心配していた自分が愚かに感じる。
視線を感じると話し、無駄な警戒をしている隣の人は、明らかな好意の視線を一体どう感じ取っているんだろう。
「ソウダネー」
茶番でしょ。
「失礼しましゅ、リサ隊長!」
2人で軍の敷地内っぽい所を歩いてると、後ろからハキハキとした若い女性の声が聞こえた。噛んでたのはスルー。
僕とリサさんはほぼ同時に振り返る。
「何だ、リリー。私に何か報告があるのか?」
リサさんが凛とした態度で受け答えをする。
「あっ…名前、覚えててくれたんですね、えへへ…」
リリーと呼ばれた小柄な女性(僕よりは背がある、160cmぐらいかな)は、頬を軽くかいて、嬉しそうに照れていた。
「…リリー」
リサさんが呆れながら名前を呼び、彼女を現実に引き戻した。
「…ハッ!す、すみません!あの、その、隣の少年は…ど、どういう関係なの!?」
…あっそうか。リサさんと手を繋いだままだった。リリーさんはかなり焦った様子で聞いてきた。敬語が崩れたのはスルー。
「少年では無い。彼は、優だ」
少年でも良くない?
「内津 優だよ。よろしくね。リサさんとは普通の友だちだよ」
軽く自己紹介をする。
「私はリリー・ペルシア…あの、さっきからずっと手を繋いでるのは……」
さっきからずっと繋がった手をガン見してる。この人リサさんを凄く気にしてる。
まぁ、此処からリサさんとはぐれようが無いし、繋いでる理由も無いね。一声掛けて、手を離そう。
「リサさ」
「あぁ、確かに繋いでいるが、何か問題があるのか?」
うわー。
「え…その…ごめんなさい、私には過ぎたことでした……」
諦めないで欲しいなぁ。
「話はそれだけか?」
リサさん何か語気強くない?
「リサさん、察してあげようよ…」ヒソヒソ
軽く手を握る力を強めて、リリーさんの伝えたいであろう事をリサさんに察させる為に、小声でやんわりと話す。
「優……?ふっ、そうか」
リサさんが僕から手を離す。よかった。
「…さぁ来い!」
よくなかった。リサさんが姿勢を低くして僕を誘導する。おぶって欲しいわけじゃないんだけどなぁ。と言うか何を察したの?
「行かないよ。リリーさん、少しリサさんについて聞いても良いかな」
リサさんをスルーして、リリーさんに話を聞く。
「えっ…はい、構いませんよ、私が知ってることなら…」
親切でよかった、話は順調に進みそうだ。
「リサさんについて、どんな性格か、とか、周囲からの評判について教えてくれるかな?」
隣でリサさんが悲しそうな目で僕を見ている。
「ふふ、何と言ってもリサ隊長はカッコ…あっ!…その…」
…あぁ、察した。
「リサさん」
本人がいる前じゃ話しづらいよね。リサさんに声を掛け、催促する。
「……?」
うん。
「リサさん、少し席を外して欲しいんだけど」
「ごめんなさい、隊長…」
「そ、そうか…私は、向こうに居るからな。話が終わったら伝えに来てくれ」
訓練場の隅、素振りをしてる訓練兵が沢山居るところにリサさんは歩いて行った。
「じゃあ、リサさんの性格について教えてくれる?」
近くのベンチに座って、リリーさんと2人になる。
「はい。リサ隊長はですね、何と言ってもクールで凛としてて、カッコよくて!でも家事はダメダメな所が…あー、養いたい!!…あぁぁ言っちゃった、今のは忘れてください!それより、本当に優しくて…私、騎士団に入ったばかりの頃はドジでのろまで…皆に笑われていた、恥ずかしい過去があったんですけど、リサ隊長が個人指導をしてくれて…えへ…それで、この人に恥ずかしい姿は見せられないと思って、訓練を頑張って自主練も欠かさず頑張って…今じゃ、リサ隊長ファンクラブのNo.3に認定されて、リサ隊長の為にご飯を作る権利が貰える立場まで…!もう本当にリサ隊長がカッコよくて…今日もさっき覚悟して、話し掛けようとして、噛んじゃったのが死ぬ程恥ずかしくって…でも、優さんがリサ隊長とそんな関係じゃなくて良かったぁ……もし、万が一って関係だったら…ふふっ、覚悟しておいて下さいね?私、容赦しませんから」
怖い。これでNo.3って所が最高にクレイジーだね、ファンクラブ。
「そ、そうなんだ…」
「リサ隊長の評判もとっても良くて…私、リサ隊長の為なら何でも出来ます…!だって、あぁ、もう本当にカッコよくて、可愛くて…好き……あ、分かってるでしょうけど、リサ隊長は太陽よりも眩しく月光よりもクールで、何処に出しても恥ずかしくない立派な方ですよ!」
助けて。何時リサさんが刺されるか心配なレベルでリサさん好かれてるんだけど。これ友だちに逆になれない奴でしょ。
「あ…でも、リサ隊長を嫌ってる人も…居るのは、事実です……」
居るんだ……その人ってファンから殺されたりしない?
「どんな人?」
まぁ予想はついてるけど。
「1部のクズ…いえ、男達です。訓練兵や、恥ずかしいことに指揮官でリサ隊長を毛嫌いする男…いえ、ゴミ屑も居るのは、太陽の騎士団最大の汚点です……」
今言い直すの間違えなかった?気の所為かな。
兎に角、予想通りだった。どうやらリサさんは女性のファンが圧倒的に多いみたいで…男の人からしたら面白く無いよね。それで妬まれてる…って感じだろうね。
「汚点なのに、清掃…いや、その男の人達は始末しないの?」
ストレートに聞いてみよう。
「はい、出来ればズタズタにしたいのですが…騎士団の誓いで仲間や同士を裏切る行為全般は、固く禁止されているのです」
へぇ…いい事聞いた。これは嬉しい情報だぞ、やったー。
「裏切りはダメなんだね。リサさんに嫌われちゃうかも知れないし、始末したくても出来ないって事なんだよね?」
「えぇ、そうです…」
悔しそうに返事をするリリーさん。なるほどね。
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