平凡な高校生は世界最強?に転生しました

いちごオレ

放課後 ~前章~

 

 4人で行くことになった外食だったが、さっきのこともあって、マリアとは何とも言えない空気が漂っていた。なのに、ギルは何故かルーシェとばかり話していて、4人いるはずなのに2人でいるような感覚だった。
 くそっ、ギルのやつ楽しそうにしやがって!あー、どうすれば良いんだよ。マリアはさっきからずっと下向いてるし……ここはオレが何か言うべきなのか?
 オレが1人で悩んでいると、

「あ、あのさ!ジーク君」
「は、はい!」

 ヤバい怒られる。すぐに土下座出来るようにスタンバイしておこう。

「さっきの事だけど……」
「すみませんでしたぁぁぁああ!」ズザッ
「…え?」

 オレは怒られるの前の少し油断しているタイミングで綺麗な土下座をした。
 よしっ!完璧なタイミングだな。これでマリアはさっきまで考えてたことが吹っ飛んで怒ることを一瞬だけ忘れただろう。ここでさらに追い討ちだ!

「さっきは済まなかった。わざとじゃないとはいえ女子にあんなことをしたんだ。謝るだけじゃ気がすまないのは分かるが、許してくれないか?」

 決まった!これでマリアはオレのことを怒れないだろう。さらに、公衆の面前だ。

「いや、その……怒ってないよ。だから顔を上げて、ね?」

 よっしゃ!成功だ。マリアを怒らしたら何されるか分かったもんじゃないからな。

「ありがとう」

 ふぅ、これで気が楽になったぜ。とゆーか、さっきの冷静になって考えるとちょっと恥ずかしいな。まぁ、命があっただけマシか……
 それにしても、店まで無言っていうのもあれだし、何か話すか。

「そーいや、これから行く店のこと話してなかったよな?」
「あ、うん」

 あれ?まだ少し顔が赤い気がするけど、大丈夫かな?

「マリア、顔赤いけど熱でもあるの?」
「えっ!?べ、別に大丈夫だよ」
「ふーん、気分が悪くなったらいつでも言えよ」
「う、うん」

 本人が言ってるんだから大丈夫だよな?おっと、いかんいかん、話しがそれたな。えーっと、[あそこ]の話しだったよな?いやー、楽しみだな。
 それからオレ達はたわいもない話をしながら店に向かうのだった。
 マリアがいつもと少し違ったのは気のせいだよな?






~数分後〜





「着いた!」

 オレ達は今、目的地の店の前まで来ていた。店の外観はクラシックなカフェ、とでもいう感じだろうか。だが、建ててある場所が場所なだけに近寄り難い雰囲気がある。何処に建ててあるかって?もちろん、裏路地の少し奥まで行ったところさ。
 異世界ではさ、裏路地にある少し変わったレストランは美味しいって相場が決まってるだろ?だから、隠れた名店を探すスキルを作って探してみたらこの店がこの王都で1、2を争う店だったわけよ。(スキルは使ってすぐに消した)
 それで、ギルと話してたらめっちゃ「行きたい!」言い出したから今度行くことになってたんだが………

「ハァ……」
「何ため息ついてんだ?」
「何でもねーよ」

 まさかこんな事になるなんて……しかもあれだ。マリアの反応からして絶対と言っていいほどオレに惚れている。まぁ、さっき押し倒した時のドキドキと今までの会話などで擬似的に起っているものだろう。たぶん、数日で元に戻るはずだ。
 だから、ホントは誘いたくなかったんだけどあそこまで怒らしちゃったからな〜。これで、さらに勘違いするだろうな。あー、めんどくさ。
 そんなことを言っててもしょうがないし、まず店に入るか。

「いつまでもこんな所でつっ立ってるのもなんだし、中に入って座らないか?」
「そうだな、お腹も空いてきたし入ろうか」

 オレが提案するとギルは扉を開けて2人を中へと促す、ルーシェは無言で頷いていたが睨んできたし、マリアは下を向きながら中へ入って行った。
 ハァ……ルーシェには嫌われたかな………
 ま、そんなこと気にしてても仕方ないしせっかくの外食だし、楽しむか。








〜数分後〜

 



 全然楽しくねー! えっ、何? この空気…………てか、ルーシェさん睨まないでください。めっちゃ怖いです。
 それもこれもギルが「じゃあ、ジークはマリアとね。僕はルーシェと座るから」何て言うから、こんな何とも言えない空気になっちゃったんだよ!張本人はずっとニヤニヤしてるし…コイツは1回地獄に行くべきだな。
 ともあれ、何か喋って空気を和らげないと。

「えーっと……き、今日の授業難しくなかった?オレ、全然分からなかったわ〜」
「いえ、別に」
「あっそ」
「.......」
「そっか〜、アハハハハハ」

 リアクション薄っ!何?新手のいじめかなんかなの?ルーシェやマリアはともかく、ギルはもっと反応しろよ!

「そんなことより、2人はこのお店によく来られるんですか?」

 ルーシェ、ナイス!

「いや、僕は初めて来たよ。けど、ジークがオススメって言ってたから期待してもいいと思うよ。なっ、ジーク」
「おっ、おう」

 やっべぇ!ルーシェの笑顔がめっちゃ怖い。母さんが起っている時と同じ笑顔なんですけど。料理よ、早く来てくれ!
 
 そんなオレの切実な願いは叶わず、料理が来たのは10数分後だった。



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