魔王に召喚された真祖で偽な吸血鬼!種族チートで世界最強~

カモメ

第24話 班決め

 「さて、お前ら!今回は五人一組になり、勇者殿達と一緒に行動してもらう。まぁだが、いきなりということもあるからな。今回は同じクラスの中でグループを作っても良いぞ。出来るだけ親交を深めてもらいたいがな」

  担任であるサークレット先生がそう言うと先生の後ろが急に歪んだ。そこから、聖真を筆頭にぞろぞろと現れる。恐らくは転移ではないが勇者の誰かの空間魔法だろう。俺はあまり驚かなかったが、Sクラスの皆はかなり驚いたようだ。驚愕の表情をし、ガヤガヤと騒がしくなった。その内容はだいたい「見て、あの方が輝夜聖真様よ!」「噂に違わずカッコイイわね」だとか、「おい、あれが氷の女王の白咲凛々咲様だ」「・・・踏まれてぇな」という内容が多かった。最後のは少し特殊だが。ちなみに本人達は慣れているかのように聖真は軽く手を振って、白咲さんはゴミを見るかのような目で男子を見ていてその表情は笑顔を知らないようだった。・・・それにしても白咲さん、あんな表情するんだな。氷の女王って案外ピッタリなのかもしれない。

 「賢人さん、一緒に行きませんか?」

 「ん?アルか。もちろんだ。丁度誘おうと思ってたしな」

  あと三人か・・・。正直、誰でも良いからそれはそれで迷うな。とりあえず白咲さんでも誘おうか。
  そうして俺が白咲さんの所に歩いていくと何やら「あ、あいつ、白咲凛々咲様の所に歩いていくぞ」などという騒音が聞こえてくるが気にしない。

 「ねぇ、白咲さん。アルもいるんだけど一緒に行かない?」

 「本当!?もちろん!ありがとう、誘ってくれて!!」

 「「「...「え!?」...」」」

  ―あ、あの白咲様が!?―
  ―名前の方で呼んでたぞ!?―
  ―王女に女王まで・・・呪い殺すぞ!!―

  白咲さんがパアッと花のような笑顔を浮かべて俺の提案を快諾した。
  すると、まぁなんとなく予想はついていたが周囲は唖然としている。それに、呪い殺すぞって怖過ぎない?

 「・・・け、賢人」

  俺達が周囲の反応に困っていると歩み寄ってくるイケメンが一人、聖真が俺に声をかけてきた。

 「・・・何だ?」

  多分、聖真は謝りに来たんだろう。コイツは元々良い奴だ。昨日会った時からうまく時間を作ろうとしているのは何となくわかる。だから、あえて俺は声をさげ冷たく聞く。この程度でビビって何もしないのならば帰って謝られた方が迷惑だ。これ以上ぎこちのない関係ならばいっそ壊れてしまった方が良いくらいだ。

 「っ!・・・・・・その、済まなかった、本当に」

 「・・・・・・聖真、俺はお前の何だ?」

  俺はまだ友達だと思っているが、鬼崎の件で聖真が何も感じないわけは無い。それを踏まえた上で俺の事を今どう思っているのかという質問だ。

 「・・・今までの事を考えるとふざけるなって話だと思うけど、賢人は、賢人のことは親友だと思ってるし、親友でいたいと思ってる」

  親友・・・・・・か。そこまで思ってくれてたとはな。

 「そうか。だが、流石に今までの事は許すつもりは無い」

 「そう、だよな」

 「だから、次は無いぞ。・・・俺の親友としてな」

 「ッッ!! ああ!もちろんだ!!」

  俺は少し甘いかもしれない。でも、コイツらは勇者だ。その中でも聖真はリーダー的存在だろう。利用する訳では無いがいざという時の後ろ盾と普通にまた仲良くしたい、それだけで許す理由は十分だ。

 「じゃあ聖真も一緒に行くか?」

 「ああ!!」

  さて、これで4人っと。余ってるのは・・・・・・あれ?アイツって確か。よし、誘うか。

 「なぁ余ってるんだろ?一緒に行かないか?」

  俺が話しかけたのは昨日、俺に卑怯だとか難癖を付けてきた朱色のポニーテールに真紅の瞳でアルにリナと呼ばれていた少女だ。

 「・・・あなた、本気で言ってるの?」

 「ああ、大真面目だ」

  悪いが俺は卑怯と呼ばれたまま学校を過ごすつまりはない。

 「話にならないわ。生憎だけど実力もないくせに卑怯な人に背中なんて預けられないもの」

 「それなら仕方ないか。俺はともかく勇者達の実力が分かる良いチャンスなんだけどな」

  すると、好奇心なのか少女は体をピクリと動かす。なんたって勇者様だぞ?知りたいに決まってるだろ。

 「それとも卑怯な俺がお前より強いと分かるのが怖いだけか?」

  こういう相手は煽っていくスタイルで案外乗ってくれるはずだ。まぁそこまでちょろくないかもしれないが。

 「し、仕方ないわね。そこまで言うならあなた達の実力を見てあげようじゃないの。私の名はエリナよ」

  ちょろかったーーー!!いやはや、流石異世界のツンデレキャラと言うべきか?

 「よし!班決めは終わったようだな。これからダンジョンに入る訳だが、一層からだと相手にはならないだろうから20層から行く。ダンジョンに着いたら今から配る転移石で各自、攻略して行ってくれ。だが、30層のボス部屋には入るなよ。あそこは危険だ」

  サークレット先生がそう言って配られたのはいつぞやの紫色の光る石だった。

 「では、着いてこい」

  こうして、俺達のダンジョン攻略は始まるのだった。
  

コメント

  • おバカな死神

    更新楽しみにしてます!

    4
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