魔王に召喚された真祖で偽な吸血鬼!種族チートで世界最強~

カモメ

第10話 【前世】

  家は貧乏だが別に友達がいなかった訳じゃない。転校してもまた、俺なら上手くやれるそう思っていた。でもそれがいかに甘く愚かな考えだと一人の男によって思い知らされた。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



  キーンコーンカーンコーン。

 「ええと、何と!このクラスに転校生が来ました!!夜風君、中に入って!」

 「はい。皆さん初めまして新しくこの学校に来た夜風賢人です!小中高全て男子校で共学は慣れていませんが、これから仲良くしたいと思ってるのでよろしくお願いします!!」

  パチパチパチ。不良のような見てくれの男から一つだけ大きな拍手が鳴る。

 「あれぇ〜、お前ら拍手しねぇのか?おい!転校生!!お前、歓迎されてないってよ!!はははははは!!残念だったなぁ」

  おいおい、何だ?コイツ。本当に見た目通りだな・・・。仕方ないここは笑顔だ、笑顔!!

 「そうみたいだね。本当に残念だったよ」

 「・・・ちっ!生意気なヤツめ!先生ぇ、気分が悪いんで早退しま〜す」

  そう言って不良は帰った。ニヤリとこちらを笑いながら。

 「そ、それじゃあ夜風君は白咲さんの隣に座ってね」

  白咲さんって言うのかあの一際可愛い子。

 「はい。よろしくね、白咲さん!」
 
 「よ、よろしく」

 「じゃあこれでホームルームを終わります」

  ガラガラガラ。そう言って先生は退出した。

 「なぁ夜風君だっけ?僕は【輝夜かぐや  聖真せいま】。この学校について知らないと思うから放課後案内してあげるよ。それと、さっきの不良は【鬼崎きざき  天馬てんま】といって、あまり近寄らない方がいい」

 「ああ、分かった。ありがとう!」

 「私も案内していいかな?」

 「ん?君は白咲さんだよね」

 「うん。私は【白咲しろさき  凛々咲りりさ】だよ。よろしくね、夜風君」

 「うん、よろしく!」

  それから、オタク仲間だがとても明るい【坂木さかき  一斗かずと】など白咲さんや聖真などを加え4人でよく話した。

   あとから知ったが、白咲さんはやはりあの美貌と性格から学年のマドンナ的存在で、聖真はイケメンなのでよく白咲さんとうわさになったりしていた。自己中心的な考えはあったが悪い奴ではない。

  事件は俺が転校してから半年後に起こった。
  俺が学校に行くと滅多に来ない鬼崎が登校していた。俺は嫌な気分になったが、気にせず席につこうとしたが、そこには何も無かった。
  俺は一斗や聖真、白咲さんを見る、しかし誰も目を合わせようとはしない。唯一白咲さんはとても苦々しい顔をしていたが、一斗は冷や汗が尋常ではない。

 「おいおい、どうしたんだ?おやぁ?夜風君の席がないなぁ。そういえば坂木が運んでるのをみたんだけど?」

 「な!?そ、それは!き、君が!!」

 「あ?俺がどうしたって!?おい!坂木ぃ!」

 「くッッ!!なんでも・・・ない・・・」

 「だよなぁ!?おい!夜風!グランドにあるから取ってこいよ」

 「お前がやらせたんならお前が取ってくれば良いじゃないか!!」

 「あぁ!!てめぇ今なんて言った!?」

 「だからお前が取ってこいよ!」

 「クククっ!俺のことお前知らねぇもんなぁ。・・・グランドに来な!!俺の怖さ教えてやるよ」

 「ああ、分かった。相手になってやる」

 「・・・けっ!早く来いよ!」

  そう言って鬼崎はグランドに出ていった。

 「や、止めなよ!鬼崎君、すっごい強いんだよ?」

 「ゴメン、白咲さん。でも俺の友達にこんなことさせる人は許せないんだ」

 「夜風君!!」

 「それじゃ、行ってくる」

  俺は一応空手をやっているから、そんな直ぐには負けないだろう。もしかしたら勝てるかもしれないが、慢心せずに頑張ろう。

 「来たか・・・夜風!」

 「ああ、じゃあやろうか」
 (なんかめっちゃ漫画みたい)

 「うぉおおお!!っらぁッ!」

  鬼崎はいきなり俺の顔面目がけてパンチしてくる。俺は頬にかすめながらもギリギリよけ、みぞおち目がけて正拳突きをする。しかし、すんでのところで弾かれた。

 「・・・ちっ!空手かめんどくせぇな」
 (しかもかなりの使い手だなこりゃ、俺が掴む余裕もないなんて)

 「よそ見するな!はぁっ!」

 「ぐふっ!」

  俺は隙があったので思い切り蹴った。
  その一撃で鬼崎は倒れ、この件は終わったと思っていた。そうあの時までは・・・



  鬼崎との一件で転校してそうそう停学になってしまい、ついに登校出来る日が来た。
  皆、今まで通り話せてくれるかと不安を抱えて・・・。しかし、それは悪い意味で的中してしまった。

 「聖真、おはよう!」

 「・・・もう、俺に関わらないでくれ・・・ボソッ(俺から色んなものを奪っておいて)」

  俺は学校に着くと下駄箱にいた聖真に挨拶した。
  しかし、聖真はそう言ってせっせと教室に行った。
  
 「え?・・・最後なんて言ったんだ?」

 「あ!夜風君、おはよう!!やっと来れたんだね!!待ってたよ!!」

 「ああ、白咲さん。おはよう!・・・なぁなんか聖真が変なんだが」

 「・・・あまり、輝夜君や坂木君とは話さない方がいいよ。・・・鬼崎君がちょっとね」

 「あいつ・・・まだそんなことを!」

 「だから、これからは私とだけ●●話してね?」

 「?うん」
 
  正直、白咲さんの様子もなにかおかしい。
  まぁ良いか。本気でそう思っていた。だが、教室に行き、それは不安から現実へと変わっていることに気づいた。

  俺が教室のドアを開けるとそこにはこちらに向かって来る一斗の姿があった。
  さっき、白咲さんからあまり関わるなと言われたが挨拶ぐらいはいいだろう。

 「や、やぁ、一斗、久しぶり」

 「・・・おい、もう話しかけるな。お前の存在が迷惑なんだよ」

 「・・・は?おいそれどういうことだよ!?なんでそんなこと言われなくちゃいけないんだ!?」

 「お前が!鬼崎に手を出したせいで!!俺は!・・・くっ!もういい、関わらないでくれ」

 「どういうことだ!おい!一斗!」

 「ね?だからやめといた方が良いって言ったでしょ?」

 「・・・ああ、そうだな」

  それからというものの俺は関わらないようにしたが、そんなことは関係なく俺は白咲さん以外のクラスの人全員から虐められた。

  ある日いつもどおりグランドから机を広い教室で眠り、目を覚ますとそこは何も無い空間だった。



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コメント

  • 兄猫

    ふむ…白咲、あれだな?

    2
  • 電脳世界の住人

    あるあるだよな。主人公のいじめられてた過去

    0
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