異世界生活は突然に〜いきなりチートになりました〜

カズヤ

ゴールドルーキーは突然に⑩

ギルドへ着いて早速登録するべくカウンターの列に並ぶ。
列には俺だけ並びに2人とバカ1匹はギルドの隅で待っていて貰う。
相変わらずバカ狼はノビたままだ。

少し待ってようやく俺の番が来た。

さぁ登録しようと前へ出た瞬間、俺の前へ1人の男が割って入る。

かなりの大柄でカシンといい勝負だろう。
全身筋肉の鎧に覆われているといった感じで如何にも強者たる雰囲気を出している。

「ちょ、俺の番だろ!順番守れよ!」

列に割り込むなんてマナー知らずもいいとこである。俺も流石にイラッと来て男に対して文句を言う。

「あぁ?なんだお前?なんか文句あんのかよ!?」

「当たり前だろ!俺の後ろにも並んでる人がいるんだからちゃんと1番後ろから並び直せよ!」

悪怯れる様子のない男が更なる悪態をついて来たので堪らず言い返した。

「へぇ、お前いい度胸してんな。俺が誰だか知ってんのか?知っててそんな態度してるんならタダじゃおかねぇぞ!」

「知らねぇよ、お前みたいな奴。いいから後ろへ並べてって言ってんだよ!」

そうやって言い合いをいていると、俺の後ろにこれまた大柄な男の雰囲気を感じた。

「ちょっと兄ちゃん、そんぐらいにしときや。このお方にナメた口聞くとお前こそ今日でこの世とおさらばすることになるで。」

バカ狼が目を覚まして俺の後ろに立っていた。
鬱陶しいのがもう1人、いや1匹増えたなと少しげんなりしていると目の前の男の態度が急変する。

「あ、あんた銀翼のカシンか?最近見ないと思ったら、そうか、お前こいつの用心棒か!?ちっ、分かったよ。だけどお前!覚えてろ!俺様にこんな悪態をついたこと、いずれ必ず後悔させてやるからな!」

そう言いながらギルドから出て行く大男。
いや、悪態をついて来たのはお前だろ。
しかしこのバカ狼、結構有名人なんだな。銀翼のカシンだっけ?なんかかっこいい二つ名まで付いてるし。

「ふん、命拾いしたんはお前やっちゅうねん。さ!兄者空きましたぜ!登録して下さい!」

今回はこのバカ狼に助けられた。正直こんな初っ端から揉め事に巻き込まれるのは御免だからな。

「ありがとな。助かったよ。」

そう言ってお礼を言った途端、バカ狼が大粒の涙を流し始めた。

「あ、兄者に感謝されてもうた!!もう末代までの誉れやー!!」

やっぱりお前、鬱陶しわ。

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