俺の口に牙がはえた件について
第1話
俺は吸楓 傑、16歳の高校生だ。
家族は、まぁ縁がなかったと言っておこう。
いつも通り登校し、下駄箱に靴を入れ、上履きを履く。
教室に入ろうとして、ふと足を止める。
ドアの横に黒い穴が開いている。
教室の扉よりは小さいが、十分人が通れそうな位の大きさだ。
「誰だ、穴あけた奴。」
クラスメイトの何人かの顔を思い浮かべながら俺はその穴を通り抜けた。
次の瞬間、俺の目に入ってきたのは。
青々と葉の茂った木。緑まぶしく視界を埋め尽くす草。
きらきらと水面の光る池もある。
そして、
ゴゴゴゴゴ……
勢いよく鼓膜を打つ滝の音。
「え?」
思わず視線を上げれば天球の形が分かるほど広い真っ青な空と、ゆったりただよう白い雲。
「え? え? えええええええ~~!!?」
俺の絶叫はむなしく響く。
辺りには誰もいない。
戻ろうと思って後ろを振り返るが、今通った教室の穴がない。
「ちょっと待てよ。嘘だろ? 何だよこれ。」
とりあえず、一度深呼吸。
「きっとこれは夢のはずだ。現実でこんなこと起こるはずがない。目を覚ますには、そうだ、頬をつねるんだ。」
ぎゅう~っ!
「痛い。起きない。現実!? いや、まさかな。」
そうだ、つねるくらいではダメなんだと思い至り、今度は顔を正面から思い切り叩いてみた。
バチンッ
「いてっ」
叩いた顔よりも、手の下辺りの方が痛かった。
「なんだ?今の感触。」
手が、何か硬いものに当たった。
もう一度顔を軽く触って確かめてみる。
口の歯の辺りに違和感がある。
八重歯の辺りがやけに長い。まるで牙のようだ。
「牙?」
俺は近くの池に走った。
水面をのぞくと、そこに映った顔は、牙のするどい吸血鬼だった。
家族は、まぁ縁がなかったと言っておこう。
いつも通り登校し、下駄箱に靴を入れ、上履きを履く。
教室に入ろうとして、ふと足を止める。
ドアの横に黒い穴が開いている。
教室の扉よりは小さいが、十分人が通れそうな位の大きさだ。
「誰だ、穴あけた奴。」
クラスメイトの何人かの顔を思い浮かべながら俺はその穴を通り抜けた。
次の瞬間、俺の目に入ってきたのは。
青々と葉の茂った木。緑まぶしく視界を埋め尽くす草。
きらきらと水面の光る池もある。
そして、
ゴゴゴゴゴ……
勢いよく鼓膜を打つ滝の音。
「え?」
思わず視線を上げれば天球の形が分かるほど広い真っ青な空と、ゆったりただよう白い雲。
「え? え? えええええええ~~!!?」
俺の絶叫はむなしく響く。
辺りには誰もいない。
戻ろうと思って後ろを振り返るが、今通った教室の穴がない。
「ちょっと待てよ。嘘だろ? 何だよこれ。」
とりあえず、一度深呼吸。
「きっとこれは夢のはずだ。現実でこんなこと起こるはずがない。目を覚ますには、そうだ、頬をつねるんだ。」
ぎゅう~っ!
「痛い。起きない。現実!? いや、まさかな。」
そうだ、つねるくらいではダメなんだと思い至り、今度は顔を正面から思い切り叩いてみた。
バチンッ
「いてっ」
叩いた顔よりも、手の下辺りの方が痛かった。
「なんだ?今の感触。」
手が、何か硬いものに当たった。
もう一度顔を軽く触って確かめてみる。
口の歯の辺りに違和感がある。
八重歯の辺りがやけに長い。まるで牙のようだ。
「牙?」
俺は近くの池に走った。
水面をのぞくと、そこに映った顔は、牙のするどい吸血鬼だった。
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