ギレイの旅
儀式魔法
「儀礼、儀式魔法って分かるか?」
コルロが聞く。
「わかりません」
儀礼は首を横に振る。
「お前、本当に魔法初心者なんだな。それでよくSランクになれたよなぁ」
不思議そうにコルロが言う。そんなこと、儀礼の方が聞きたいくらいだが。
「魔法には、特大の魔法があってさ。人数集めたり、大掛かりな魔方陣用意したりして使う魔法なんだけど、転移陣ならわかるよな」
もう一度、コルロが聞く。
「はい。それなら」
ワルツに教えてもらったばかりのそれなら儀礼にもわかる。どうなっているのかその仕組みまでは知らないが。
「転移陣ってのは、移転魔法を誰でも使えるようにしたもんだ。特別な魔方陣を描いて、複数の魔法使いが詠唱と共に魔力を込めて作る。一回作ると数十年はそのまま魔力がもって、誰でも決まった呪文を唱えれば本人に魔力がなくても使えるってのが特徴だな」
その転移陣を作る作業が儀式魔法というものらしい。
儀礼は頷く。
「転移陣は一回作れば何度でも使えるが、儀式魔法には他に、強大な威力で一回限りの攻撃魔法とか、鉄壁の防御とか、精霊や悪魔を呼び出す召喚魔法ってのもあるな。古代の文献から人体蘇生のような超特殊な物もあるって言われてるけど、今のところその方法は発見されてない。理論上は可能だって話だけどな」
「一回限りの大技と、長期間誰でも使える大魔法。そういうのが儀式魔法なんですね」
コルロの説明に、儀礼は感心するように頷く。
「そうそっ。それでさ、その儀式魔法に革命起こした奴がいるんだ。20年以上前になるけどな」
楽しそうな笑みを浮かべてコルロが続ける。
「儀式魔法の革命ですか?」
儀礼は真剣な表情になる。
「ああ。それまで、大掛かりな陣を描く作業と、大々的な魔力を込める詠唱が必要だったそれを、たった一人で扱えるようにしたって言う奴がな」
口元の笑みを深くしてコルロは言う。
「すごい、大発見じゃないですか。誰なんですか?」
詰め寄る儀礼に、コルロはさぁ、と腕を広げる。
「それがわからないんだ。まったくの不明。その研究を発表した直後にぱたりと消息が切れちまってな。死亡説まで出た。だが、そいつの発表したものまでほとんど消えちまったんだ。管理局のデータからもな」
コルロが目つきを鋭くする。
「ありえない。管理局から消えた?」
儀礼は眉根を寄せる。それは、管理局が何らかの理由で残せない記録と判断したか、管理局のデータに直接アクセスして誰かが消したことになる。前者の可能性はほぼない。後者なら可能性はあるが、20年以上も前に、『アナザー』のような腕を持つ者が存在しただろうか。
「まぁ、儀式魔法に革命起こしたような天才なら、そんなことができてもおかしくはないよな」
どこか遠くを見るように、天井を見上げてコルロは言った。
「名前とか、二つ名とかまったく残ってないんですか?」
魔法の革命と言うほどのことを成したのなら、誰かが覚えているはず。いや、覚えてない方がおかしい。
コルロは首を横に振った。
「本当に二つ名が出る前に消えたんだよ。一瞬で。でも、一応仮の二つ名として、『儀式魔法の巨星』って呼ばれてる。すぐに消えたところまで星みたいだろ」
ニッとコルロは笑う。そして、続けた。
コルロが聞く。
「わかりません」
儀礼は首を横に振る。
「お前、本当に魔法初心者なんだな。それでよくSランクになれたよなぁ」
不思議そうにコルロが言う。そんなこと、儀礼の方が聞きたいくらいだが。
「魔法には、特大の魔法があってさ。人数集めたり、大掛かりな魔方陣用意したりして使う魔法なんだけど、転移陣ならわかるよな」
もう一度、コルロが聞く。
「はい。それなら」
ワルツに教えてもらったばかりのそれなら儀礼にもわかる。どうなっているのかその仕組みまでは知らないが。
「転移陣ってのは、移転魔法を誰でも使えるようにしたもんだ。特別な魔方陣を描いて、複数の魔法使いが詠唱と共に魔力を込めて作る。一回作ると数十年はそのまま魔力がもって、誰でも決まった呪文を唱えれば本人に魔力がなくても使えるってのが特徴だな」
その転移陣を作る作業が儀式魔法というものらしい。
儀礼は頷く。
「転移陣は一回作れば何度でも使えるが、儀式魔法には他に、強大な威力で一回限りの攻撃魔法とか、鉄壁の防御とか、精霊や悪魔を呼び出す召喚魔法ってのもあるな。古代の文献から人体蘇生のような超特殊な物もあるって言われてるけど、今のところその方法は発見されてない。理論上は可能だって話だけどな」
「一回限りの大技と、長期間誰でも使える大魔法。そういうのが儀式魔法なんですね」
コルロの説明に、儀礼は感心するように頷く。
「そうそっ。それでさ、その儀式魔法に革命起こした奴がいるんだ。20年以上前になるけどな」
楽しそうな笑みを浮かべてコルロが続ける。
「儀式魔法の革命ですか?」
儀礼は真剣な表情になる。
「ああ。それまで、大掛かりな陣を描く作業と、大々的な魔力を込める詠唱が必要だったそれを、たった一人で扱えるようにしたって言う奴がな」
口元の笑みを深くしてコルロは言う。
「すごい、大発見じゃないですか。誰なんですか?」
詰め寄る儀礼に、コルロはさぁ、と腕を広げる。
「それがわからないんだ。まったくの不明。その研究を発表した直後にぱたりと消息が切れちまってな。死亡説まで出た。だが、そいつの発表したものまでほとんど消えちまったんだ。管理局のデータからもな」
コルロが目つきを鋭くする。
「ありえない。管理局から消えた?」
儀礼は眉根を寄せる。それは、管理局が何らかの理由で残せない記録と判断したか、管理局のデータに直接アクセスして誰かが消したことになる。前者の可能性はほぼない。後者なら可能性はあるが、20年以上も前に、『アナザー』のような腕を持つ者が存在しただろうか。
「まぁ、儀式魔法に革命起こしたような天才なら、そんなことができてもおかしくはないよな」
どこか遠くを見るように、天井を見上げてコルロは言った。
「名前とか、二つ名とかまったく残ってないんですか?」
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コルロは首を横に振った。
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