ギレイの旅
『黒獅子』情報
雑貨店を出た儀礼。帰り道がてら、アナザーにメッセージを送る。
手袋につけた小型のキーを叩き、モニター(色眼鏡)に文字をつづる。
”アナザー、剣の眠る町ってわかる?”
”ドルエド国のトロウって町だろ、『光の剣』が封印されてる。”
すぐに答えが返ってくる。
”そこで行方不明になってる人と、コレクターの老人を調べられない?”
”なんだそれ? 俺は探偵でも警備兵でもないぞ。”
そう言いながらも、今頃検索をかけてくれているのだろう。
”僕はもう、この町を出ないといけないから。”
”また何かやったのか……?”
”……犯人ぽいじいさん眠らして来ちゃったよ。”
”そのまましょっ引け。”
”無茶言うなよ~、アナザ、頼む。”
”どこにいるって?”
”管理局の待合室に寝かせてきた。家は近いって、60超えたじいさん。”
”あぁ、こいつだな。人はわかった。行方不明者は若い女3人と子供1人だな。”
”子供?”
”浮浪児が一人消えたみたいだ。画像が有る、見た目はいいな。”
”……たぶん、蝋人形収集家だ。ごめん、一仕事できたみたい。”
”こらっ! お前、自分も子供だってわかってんのか? 行くの禁止。”
”でも……。子供じゃないし……”
歩いていた足を止め、悔しそうに唇をかむ儀礼。
”俺より10歳も小さいじゃねぇか。今トロウの警備に証拠送って要請出したから。”
”……わかった。サンキュ、アナザー。”
少しほっとしたような顔をする儀礼。
アナザーが、出動要請すっとばして、強制突入にデータ改ざんしたことは儀礼に内緒だ。
”そんで? 仕事料は?”
しっかり請求してくるあたりもアナザーだ。苦笑する儀礼。
再び足を動かしながら、メッセージをつづる。
”情報で、どう? 獅子が光の剣を抜いた。”
口の端から笑みがもれてしまう儀礼。
”・・・は??”
やはり信じられないらしい。
”疑うなよ、本当だって。獅子が抜いちゃったんだよ、『光の剣』。”
”特級情報じゃねぇかよ、いつだ?”
”今日の夕方。獅子はランクBに昇格したよ。ランクBの人型魔物倒したから。”
”……ちょっと待て。まじで待て。何やってんだお前ら。”
宙に浮かぶ文字からでも、アナザーが動揺しているのがわかる。
くすくすと、一人笑う儀礼は、はたから見ると怪しい人だろう。
その横を、物々しい様子で、町の警備兵たちが駆け抜けて行った。
”人型って、悪魔だろ。高位モンスターじゃねぇか。それを獅子が倒したって?!”
”そう。僕も参戦したけどね。”
”……さすが『黒鬼』の子だな。『黒獅子』は伊達じゃないってか。”
”『黒獅子』? って獅子のこと?”
”そ。なんだ、知らないのか? 最近言われてきたんだけどな。ドルエドで武術大会優勝したとか、ランクCの魔物狩りまくってるとか、有望視されてるぜ。”
”へぇ、知らなかった。『黒獅子』か。結構合うかもね。もう二つ名がつくって、すごいな。”
”まぁ、『黒鬼』が有名すぎるからな。ギレイだって、『蜃気楼』持ってんじゃん。”
『蜃気楼』とは、管理局ランクSの儀礼に誰かがつけたものだ。
追いかけても、追いかけても、追いつかない。そんな意味らしい。派遣される護衛を次々巻いているからだろうか。
”もっともあんまり名が売れすぎるのも困り物だけどな。ましてや『光の剣』って……お前ら危ねぇじゃねぇか!!”
語尾の強くなったアナザー。
ちなみに『アナザー』も二つ名だ。ハンドルネームは「穴兎」。
神出鬼没で、掴んだと思っても丸きりの別人だという、ネットの超人。
お互い少々違法ぎりぎり(?)の所にいるが、すでに10年程になるネット仲間だ。
”大丈夫、ちゃんと対処するから。黒獅子の連れって、僕と黒髪の女の子だけ?”
”許婚の長い黒髪少女と、金髪の少女と、金髪の少年だな。”
「そこまで流れてるのか……っていうか金髪の少女って訂正してよ」
つぶやく言葉は独り言になる。まぁ、そっちはどうでもいい。連れと認識されているのがまずい。
”ありがと。そしたらしばらく連絡できないかも”
”わかった。こっちも気が向いたらフォローしとくよ。”
”きっと会いに行くから。その時は名前教えてね。”
”オッケ、気が向いた。待ってるからな。迷子になるなよ。”
”ちょっと待って、何、その扱い……。”
”はは、じゃあな。”
”うん、ありがとう。”
ちょうど、どこかの家と、管理局の待合室での捕り物が終わったところだった。
手袋につけた小型のキーを叩き、モニター(色眼鏡)に文字をつづる。
”アナザー、剣の眠る町ってわかる?”
”ドルエド国のトロウって町だろ、『光の剣』が封印されてる。”
すぐに答えが返ってくる。
”そこで行方不明になってる人と、コレクターの老人を調べられない?”
”なんだそれ? 俺は探偵でも警備兵でもないぞ。”
そう言いながらも、今頃検索をかけてくれているのだろう。
”僕はもう、この町を出ないといけないから。”
”また何かやったのか……?”
”……犯人ぽいじいさん眠らして来ちゃったよ。”
”そのまましょっ引け。”
”無茶言うなよ~、アナザ、頼む。”
”どこにいるって?”
”管理局の待合室に寝かせてきた。家は近いって、60超えたじいさん。”
”あぁ、こいつだな。人はわかった。行方不明者は若い女3人と子供1人だな。”
”子供?”
”浮浪児が一人消えたみたいだ。画像が有る、見た目はいいな。”
”……たぶん、蝋人形収集家だ。ごめん、一仕事できたみたい。”
”こらっ! お前、自分も子供だってわかってんのか? 行くの禁止。”
”でも……。子供じゃないし……”
歩いていた足を止め、悔しそうに唇をかむ儀礼。
”俺より10歳も小さいじゃねぇか。今トロウの警備に証拠送って要請出したから。”
”……わかった。サンキュ、アナザー。”
少しほっとしたような顔をする儀礼。
アナザーが、出動要請すっとばして、強制突入にデータ改ざんしたことは儀礼に内緒だ。
”そんで? 仕事料は?”
しっかり請求してくるあたりもアナザーだ。苦笑する儀礼。
再び足を動かしながら、メッセージをつづる。
”情報で、どう? 獅子が光の剣を抜いた。”
口の端から笑みがもれてしまう儀礼。
”・・・は??”
やはり信じられないらしい。
”疑うなよ、本当だって。獅子が抜いちゃったんだよ、『光の剣』。”
”特級情報じゃねぇかよ、いつだ?”
”今日の夕方。獅子はランクBに昇格したよ。ランクBの人型魔物倒したから。”
”……ちょっと待て。まじで待て。何やってんだお前ら。”
宙に浮かぶ文字からでも、アナザーが動揺しているのがわかる。
くすくすと、一人笑う儀礼は、はたから見ると怪しい人だろう。
その横を、物々しい様子で、町の警備兵たちが駆け抜けて行った。
”人型って、悪魔だろ。高位モンスターじゃねぇか。それを獅子が倒したって?!”
”そう。僕も参戦したけどね。”
”……さすが『黒鬼』の子だな。『黒獅子』は伊達じゃないってか。”
”『黒獅子』? って獅子のこと?”
”そ。なんだ、知らないのか? 最近言われてきたんだけどな。ドルエドで武術大会優勝したとか、ランクCの魔物狩りまくってるとか、有望視されてるぜ。”
”へぇ、知らなかった。『黒獅子』か。結構合うかもね。もう二つ名がつくって、すごいな。”
”まぁ、『黒鬼』が有名すぎるからな。ギレイだって、『蜃気楼』持ってんじゃん。”
『蜃気楼』とは、管理局ランクSの儀礼に誰かがつけたものだ。
追いかけても、追いかけても、追いつかない。そんな意味らしい。派遣される護衛を次々巻いているからだろうか。
”もっともあんまり名が売れすぎるのも困り物だけどな。ましてや『光の剣』って……お前ら危ねぇじゃねぇか!!”
語尾の強くなったアナザー。
ちなみに『アナザー』も二つ名だ。ハンドルネームは「穴兎」。
神出鬼没で、掴んだと思っても丸きりの別人だという、ネットの超人。
お互い少々違法ぎりぎり(?)の所にいるが、すでに10年程になるネット仲間だ。
”大丈夫、ちゃんと対処するから。黒獅子の連れって、僕と黒髪の女の子だけ?”
”許婚の長い黒髪少女と、金髪の少女と、金髪の少年だな。”
「そこまで流れてるのか……っていうか金髪の少女って訂正してよ」
つぶやく言葉は独り言になる。まぁ、そっちはどうでもいい。連れと認識されているのがまずい。
”ありがと。そしたらしばらく連絡できないかも”
”わかった。こっちも気が向いたらフォローしとくよ。”
”きっと会いに行くから。その時は名前教えてね。”
”オッケ、気が向いた。待ってるからな。迷子になるなよ。”
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