ギレイの旅
旅立ち
何年もかけて、儀礼はお金を貯め、車を改造して旅支度をしていた。
十五歳になり、学校の卒業と同時に旅に出ることにする。
頃は三月。春風に桜舞う快晴の日。
両親共少し心配はしたが、儀礼がしっかりしているので送り出すことにした。
「森の南側には最近肉食のねずみが出るらしいから、気をつけてね」
息子を心配そうに見る母は、美しい面立ちをしている。金色の髪に青い瞳で隣国、アルバドリスク人だ。
シエン村は周りを森と山に囲まれているので魔獣や獣が多く出る。
「南側には行かないよ、道を通って町の方へ出るから」
儀礼は笑って応える。
「ちゃんと連絡するんだぞ」
黒い髪と茶色の瞳の父が言う。
彼はここ、黒髪黒瞳のシエン村と茶髪茶瞳のドルエド人のハーフだ。
「うん」
(僕はいったい何人だろう)
短く刈った金髪と、茶色の瞳の少年は沈んだ面持ちで考える。
歴史に名を残す戦士の村に住みながら、シエン人としての特徴を何一つ持たない。黒髪黒瞳の友人達が集まっているのを見る度に、儀礼は孤独を感じた。
ドルエドの町に出かければ余所者として扱われ、母以外のアルバドリスク人には会ったこともない。
儀礼は慣れた動作で薄茶色の色眼鏡をかけ、指先の出る黒い手袋をした。自分の姿を少しでも隠すように。
車に乗り込むと背もたれに寄りかかりふぅ、と息をつく。そして、左手の甲を右の指先で奏でるように叩いた。そこには小さなキーが備え付けられている。
儀礼:"出発する"
ネットで知り合った、会ったことの無い友人にメッセージを送る。
もう、十年にもなる友人。
ネットという環境を理解していない村人には言い出すこともできなかった。
「いってきます」
心を整えて、儀礼は車のハンドルを握った。
笑顔で手を振る両親に儀礼も笑顔を返す。
そうして、車は静かに走り出した。
出発して五分も経たぬ内に、村の友人がやってきた。
「俺も行く」
黒髪に黒い瞳の見るからにシエン人らしい少年。
儀礼の羨望する姿。
「え?」
彼が、儀礼のように村を飛び出す理由が思い浮かばない。
背負う大きめな鞄に荷物を押し込んできたようだ。
獅子倉了こと獅子はその荷物を後部席に放り込む。
「さぁ、出発!」
「ええ~!?」
獅子の唐突な行動が理解できない儀礼。
「どうしたんだよ、突然」
「あんな家、もういられるか! 俺は家出する。お前も一緒だろう、なら旅は道連れって言うだろうが」
獅子は家出してきたようだ。
彼の家は代々格闘の名手で武術の道場をしている。
彼の父が現当主で、世界で名の知れた強さらしい。
「あのくそ親父。俺に家継がせて、自分は修行の旅に出るとかぬかしやがった。冗談じゃない。俺だって卒業したばっかでこれからだってのに」
獅子は怒りに震え顔の前で拳を握り締めている。
「そ、そうなんだ」
家――道場をほったらかして旅に出ようなんて、どんな親だろうか。
(でも、あのおじさんならありえそうだ)
若い頃は世界中旅して、熊型魔獣とも戦ったそうだ。せがれが成長したので、家をまかせて再び旅に出ようとしているらしい。
「そんなことさせるか、俺が先に出てやる。ほれ、出発しろ!」
車に乗り込みながら獅子が言った。
儀礼は慌てて助手席に置いてあった機器類をどかす。
「それ癖だよな」
助手席に座った獅子が笑いながら儀礼の手元を指差した。
儀礼は左手の甲を右手の指で叩いていた。キーのついた手袋を。
言われて、儀礼は口の端をあげる。
ネットの友人宛にメッセージを送っていると理解しなくても、儀礼の行動を知っている。
馴染むほど一緒にいた友人。
ふぅ、と儀礼は息を吐く。
「ったく、わかったよ」
仕方なく苦笑混じりに言うと、儀礼は車を走らせた。
「まず、近くの町に寄って、ありったけの金を下ろせ」
獅子は強盗のようなセリフを吐いた。
「え~? なんで」
「言ったろ、俺は家出だ。行った先で金下ろしたら居所バレるだろうが」
「いや、僕は旅行のつもりだからいいんだけど」
安全な旅を望む儀礼には、金品狙いの強盗を乗せていくつもりはない。困惑したように獅子を見返す。
「だめだ! あの親父だ、何やかや理由つけて追いかけてくるぞ!」
(だから僕は追われてないって)
「もちろん、金下ろしたら別方向に出発だぞ。方角知られたら意味ないからなぁ」
ニヤリと笑いながら獅子は言う。
儀礼の苦笑など気にも留めていない。
「だいたい何で僕の金を下ろすんだ? 君の口座は?」
「あぁ、親父にふさがれてる。逃げられんようにだろうな。というより、親父が自分の旅の費用として押さえてるっぽいんだけどな」
怒り心頭と言った感じで、拳を握りながらつむぐ。
ゆら、と揺れる様な怒りのオーラで、儀礼の顔もひきつる。
そのまま彼が八つ当たりでもすれば、ほんの数秒でこの車は走行不能になるだろう。
「落ち着いてくれよ、とりあえず」
は、はは、と乾いた笑いと同時に獅子をなだめる。
儀礼は怒った生き物というのはどうも苦手だった。
じりじりと、肌が焼けるような感じがする。
クラスメイト同士の睨み合いでも、そろそろと教室のすみに後退していく程だった。
「だから、同じ家出同士助け合おうぜ。俺は護衛で、お前はまぁ、金出してさ」
「僕は家出じゃないって」
「似たようなもんだろ」
明るく、軽く言ってのける獅子。
たぶん獅子の家出と、儀礼の旅の違いが本気で分かってないのだろう。
 獅子は、武術に関してはそこらの達人のさらに上を行く腕を持っているが、いかんせん、頭が弱い。
小さい頃から武術しかしてこなかったから、とか、頭を打ちすぎたからとか、怪しい薬を飲んだからとかいろいろ言われているが、この弱さは人としてありえないだろう。
何しろ、足し算はともかく、引き算のあたりからあやしい。
掛け算では「九九とは何だ?」と真剣に聞いてくるほど。
何故卒業を許したのか、学校に問いたい。
卒業後も続く苦労に儀礼の心は涙を流す。
 さて、町でお金を下ろした儀礼たちは森へと入っていった。
町を通過して、東の方へ出る予定だったのだが、目くらましだ、と言う獅子に流され、儀礼達は南の森へ入ったのだ。
お金に関しても、小さい頃から貯めた半年分の旅費だったのだが、友人と一緒ではそれも半分だろう。
(何もかもが予定外だ、まったく)
そう思いながらも、言うほど嫌なわけでもない自分にやはり儀礼は苦笑する。
そして、森の中、何かが車の前を横切る。
小さな影だ。ねずみだろうか。
そういえば母が凶暴化したねずみが出ると言っていたのを儀礼は思い出す。
「うっ」
気付けば、大量のねずみに車を取り囲まれていた。
「獅子」
不安気に呼んだ儀礼に、彼、獅子倉了は楽しそうな笑みを浮かべる。
「さっそく俺の出番だな。任せろ儀礼」
獅子は堂々と車を降りる。
すぐにねずみたちが獅子を取り巻く。
「獅子、百匹はいるよ!」
と、ねずみの怒気に気おされながら言う儀礼。本人も情けないとは思いつつ運転席で縮こまる。
「ふむ、十秒で終わる」
ニヤリと笑った獅子。
その計算はどこからはじき出したのだろう。
一秒あたり、十匹だ。
しかし、獅子はあっという間にねずみどもを蹴散らした。
十秒も間違いではなかったろう。
「ほい、終わりだ」
パンパンと、服の砂ぼこりを払った獅子。
「ねぇ、このねずみどかせない? 車でひいちゃうんだけど」
このまま進むとあまりにも気持ちの悪い感触を味わうだろう。
(いやだ)
車も汚れるし、と儀礼は顔をしかめる。
「はぁ? 面倒だな、細かいこと気にしなけりゃいいだろ」
「細かくないよ」
仕方なく、面倒くさそうに獅子はねずみを拾い始めた。自分も手伝おうと儀礼は車を降りる。
そして、まだ温かいねずみたちの死がいに触れた。
「ねぇ、獅子。この子達さ、せめて埋めてあげようよ」
「はぁ?!」
あきれたような顔で儀礼を見た獅子。
「この辺に穴掘ってさぁ」
言いながらも、儀礼は手で土に穴を掘り始めている。
「あ~、ったくしょうがないなぁ。どけ、遅い!」
頭をかきながらそう言うと、獅子は儀礼を押しのけて地面を見る。
「ーーっ、はぁ!!」
気合と同時に拳を振り抜くと、地面に小さなクレーターができあがった。
「集合墓地だ。ま、いいだろ。ここに埋めてやれ」
ほいほいほい、とねずみたちを運んでいく。
ぽんぽんと土をかぶせると、儀礼はとりあえず花をそえる。
手を合わせ、冥福を祈る。
「おいおい」
凶暴ねずみを墓に埋め、手を合わせている儀礼を見て獅子は頭に汗を一つ。それらを殺したのは獅子である。
「獅子……」
儀礼は手を合わせたまま口を開いた。
「何だ? まだなんかあるのか?」
なかばヤケクソ気味に言う獅子。
「ありがと」
振り返って儀礼は言った。子供のような無垢な笑顔。
「あー、まぁ、気にすんな」
その顔に毒気を抜かれ、ぽりぽりと頬をかきながら獅子は応える。
そして、二人は車に乗った。
「さ、仕切り直して出発だな」
「了解、発進します」
プチッと、儀礼がボタンを押すとオート運転で車は動き出す。
とりあえず、平和な出発である。
こうして、儀礼と獅子の家出の旅は始まった。
十五歳になり、学校の卒業と同時に旅に出ることにする。
頃は三月。春風に桜舞う快晴の日。
両親共少し心配はしたが、儀礼がしっかりしているので送り出すことにした。
「森の南側には最近肉食のねずみが出るらしいから、気をつけてね」
息子を心配そうに見る母は、美しい面立ちをしている。金色の髪に青い瞳で隣国、アルバドリスク人だ。
シエン村は周りを森と山に囲まれているので魔獣や獣が多く出る。
「南側には行かないよ、道を通って町の方へ出るから」
儀礼は笑って応える。
「ちゃんと連絡するんだぞ」
黒い髪と茶色の瞳の父が言う。
彼はここ、黒髪黒瞳のシエン村と茶髪茶瞳のドルエド人のハーフだ。
「うん」
(僕はいったい何人だろう)
短く刈った金髪と、茶色の瞳の少年は沈んだ面持ちで考える。
歴史に名を残す戦士の村に住みながら、シエン人としての特徴を何一つ持たない。黒髪黒瞳の友人達が集まっているのを見る度に、儀礼は孤独を感じた。
ドルエドの町に出かければ余所者として扱われ、母以外のアルバドリスク人には会ったこともない。
儀礼は慣れた動作で薄茶色の色眼鏡をかけ、指先の出る黒い手袋をした。自分の姿を少しでも隠すように。
車に乗り込むと背もたれに寄りかかりふぅ、と息をつく。そして、左手の甲を右の指先で奏でるように叩いた。そこには小さなキーが備え付けられている。
儀礼:"出発する"
ネットで知り合った、会ったことの無い友人にメッセージを送る。
もう、十年にもなる友人。
ネットという環境を理解していない村人には言い出すこともできなかった。
「いってきます」
心を整えて、儀礼は車のハンドルを握った。
笑顔で手を振る両親に儀礼も笑顔を返す。
そうして、車は静かに走り出した。
出発して五分も経たぬ内に、村の友人がやってきた。
「俺も行く」
黒髪に黒い瞳の見るからにシエン人らしい少年。
儀礼の羨望する姿。
「え?」
彼が、儀礼のように村を飛び出す理由が思い浮かばない。
背負う大きめな鞄に荷物を押し込んできたようだ。
獅子倉了こと獅子はその荷物を後部席に放り込む。
「さぁ、出発!」
「ええ~!?」
獅子の唐突な行動が理解できない儀礼。
「どうしたんだよ、突然」
「あんな家、もういられるか! 俺は家出する。お前も一緒だろう、なら旅は道連れって言うだろうが」
獅子は家出してきたようだ。
彼の家は代々格闘の名手で武術の道場をしている。
彼の父が現当主で、世界で名の知れた強さらしい。
「あのくそ親父。俺に家継がせて、自分は修行の旅に出るとかぬかしやがった。冗談じゃない。俺だって卒業したばっかでこれからだってのに」
獅子は怒りに震え顔の前で拳を握り締めている。
「そ、そうなんだ」
家――道場をほったらかして旅に出ようなんて、どんな親だろうか。
(でも、あのおじさんならありえそうだ)
若い頃は世界中旅して、熊型魔獣とも戦ったそうだ。せがれが成長したので、家をまかせて再び旅に出ようとしているらしい。
「そんなことさせるか、俺が先に出てやる。ほれ、出発しろ!」
車に乗り込みながら獅子が言った。
儀礼は慌てて助手席に置いてあった機器類をどかす。
「それ癖だよな」
助手席に座った獅子が笑いながら儀礼の手元を指差した。
儀礼は左手の甲を右手の指で叩いていた。キーのついた手袋を。
言われて、儀礼は口の端をあげる。
ネットの友人宛にメッセージを送っていると理解しなくても、儀礼の行動を知っている。
馴染むほど一緒にいた友人。
ふぅ、と儀礼は息を吐く。
「ったく、わかったよ」
仕方なく苦笑混じりに言うと、儀礼は車を走らせた。
「まず、近くの町に寄って、ありったけの金を下ろせ」
獅子は強盗のようなセリフを吐いた。
「え~? なんで」
「言ったろ、俺は家出だ。行った先で金下ろしたら居所バレるだろうが」
「いや、僕は旅行のつもりだからいいんだけど」
安全な旅を望む儀礼には、金品狙いの強盗を乗せていくつもりはない。困惑したように獅子を見返す。
「だめだ! あの親父だ、何やかや理由つけて追いかけてくるぞ!」
(だから僕は追われてないって)
「もちろん、金下ろしたら別方向に出発だぞ。方角知られたら意味ないからなぁ」
ニヤリと笑いながら獅子は言う。
儀礼の苦笑など気にも留めていない。
「だいたい何で僕の金を下ろすんだ? 君の口座は?」
「あぁ、親父にふさがれてる。逃げられんようにだろうな。というより、親父が自分の旅の費用として押さえてるっぽいんだけどな」
怒り心頭と言った感じで、拳を握りながらつむぐ。
ゆら、と揺れる様な怒りのオーラで、儀礼の顔もひきつる。
そのまま彼が八つ当たりでもすれば、ほんの数秒でこの車は走行不能になるだろう。
「落ち着いてくれよ、とりあえず」
は、はは、と乾いた笑いと同時に獅子をなだめる。
儀礼は怒った生き物というのはどうも苦手だった。
じりじりと、肌が焼けるような感じがする。
クラスメイト同士の睨み合いでも、そろそろと教室のすみに後退していく程だった。
「だから、同じ家出同士助け合おうぜ。俺は護衛で、お前はまぁ、金出してさ」
「僕は家出じゃないって」
「似たようなもんだろ」
明るく、軽く言ってのける獅子。
たぶん獅子の家出と、儀礼の旅の違いが本気で分かってないのだろう。
 獅子は、武術に関してはそこらの達人のさらに上を行く腕を持っているが、いかんせん、頭が弱い。
小さい頃から武術しかしてこなかったから、とか、頭を打ちすぎたからとか、怪しい薬を飲んだからとかいろいろ言われているが、この弱さは人としてありえないだろう。
何しろ、足し算はともかく、引き算のあたりからあやしい。
掛け算では「九九とは何だ?」と真剣に聞いてくるほど。
何故卒業を許したのか、学校に問いたい。
卒業後も続く苦労に儀礼の心は涙を流す。
 さて、町でお金を下ろした儀礼たちは森へと入っていった。
町を通過して、東の方へ出る予定だったのだが、目くらましだ、と言う獅子に流され、儀礼達は南の森へ入ったのだ。
お金に関しても、小さい頃から貯めた半年分の旅費だったのだが、友人と一緒ではそれも半分だろう。
(何もかもが予定外だ、まったく)
そう思いながらも、言うほど嫌なわけでもない自分にやはり儀礼は苦笑する。
そして、森の中、何かが車の前を横切る。
小さな影だ。ねずみだろうか。
そういえば母が凶暴化したねずみが出ると言っていたのを儀礼は思い出す。
「うっ」
気付けば、大量のねずみに車を取り囲まれていた。
「獅子」
不安気に呼んだ儀礼に、彼、獅子倉了は楽しそうな笑みを浮かべる。
「さっそく俺の出番だな。任せろ儀礼」
獅子は堂々と車を降りる。
すぐにねずみたちが獅子を取り巻く。
「獅子、百匹はいるよ!」
と、ねずみの怒気に気おされながら言う儀礼。本人も情けないとは思いつつ運転席で縮こまる。
「ふむ、十秒で終わる」
ニヤリと笑った獅子。
その計算はどこからはじき出したのだろう。
一秒あたり、十匹だ。
しかし、獅子はあっという間にねずみどもを蹴散らした。
十秒も間違いではなかったろう。
「ほい、終わりだ」
パンパンと、服の砂ぼこりを払った獅子。
「ねぇ、このねずみどかせない? 車でひいちゃうんだけど」
このまま進むとあまりにも気持ちの悪い感触を味わうだろう。
(いやだ)
車も汚れるし、と儀礼は顔をしかめる。
「はぁ? 面倒だな、細かいこと気にしなけりゃいいだろ」
「細かくないよ」
仕方なく、面倒くさそうに獅子はねずみを拾い始めた。自分も手伝おうと儀礼は車を降りる。
そして、まだ温かいねずみたちの死がいに触れた。
「ねぇ、獅子。この子達さ、せめて埋めてあげようよ」
「はぁ?!」
あきれたような顔で儀礼を見た獅子。
「この辺に穴掘ってさぁ」
言いながらも、儀礼は手で土に穴を掘り始めている。
「あ~、ったくしょうがないなぁ。どけ、遅い!」
頭をかきながらそう言うと、獅子は儀礼を押しのけて地面を見る。
「ーーっ、はぁ!!」
気合と同時に拳を振り抜くと、地面に小さなクレーターができあがった。
「集合墓地だ。ま、いいだろ。ここに埋めてやれ」
ほいほいほい、とねずみたちを運んでいく。
ぽんぽんと土をかぶせると、儀礼はとりあえず花をそえる。
手を合わせ、冥福を祈る。
「おいおい」
凶暴ねずみを墓に埋め、手を合わせている儀礼を見て獅子は頭に汗を一つ。それらを殺したのは獅子である。
「獅子……」
儀礼は手を合わせたまま口を開いた。
「何だ? まだなんかあるのか?」
なかばヤケクソ気味に言う獅子。
「ありがと」
振り返って儀礼は言った。子供のような無垢な笑顔。
「あー、まぁ、気にすんな」
その顔に毒気を抜かれ、ぽりぽりと頬をかきながら獅子は応える。
そして、二人は車に乗った。
「さ、仕切り直して出発だな」
「了解、発進します」
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