勇者時々へたれ魔王
第1節 不親切設計すぎるわっ!
さて、ここはどこか?
僕はいつの間にやらこんなところにいるのか?
不思議でならない。
いや、なにが不思議かと言うとそれを説明するのもちょっと難しいのだが・・・・
まぁとにかく落ち着こう。
落ち着いて状況を整理しようじゃないか。
まず。
身なりはパジャマである。
右腕に付けた覚えの無い黒い手袋。それも二の腕まで生地があるやたら邪魔くさい手袋を除けば・・・寝ていたはずの格好だ。
髪の毛も多少長めの黒色だし、体も特別変わったところは無い160センチ、45キロボディだ。
痩せ気味プラス小ぶりというのがコンプレックス。
まだまだ成長期なのでこれはまぁ、いずれ伸びると信じて疑わない。のが身長を伸ばすためのコツだ!!
そして、ここはどこだ?
周りは薄暗く、中央には・・・というか僕がいるこの場所が中央みたい。
すっごい魔法陣的な魔法陣と言わずして、なんと呼べば良いのか?
そんな感じの紋様が描かれている。
かなり大きく、部屋全体の床を覆ってるようだ。
「なんじゃこら?」
と戸惑いを覚えつつ。
次にこちらを興味深げに見る人々の姿を見る。
・・・・・人間、ですか?
と思わず聞いてしまうような外見ばかりだ。
いや、もちろん人なのだが・・・こ、コスプレだったっけ?
コスプレをしてる人が殆どである。
「あの~。おかしな人と思われるかもですが・・・
僕っていつの間にかここに来てて・・・それで・・・ここがどこなのか分からないのですが・・・・どこでしょう?
ここって。」
とりあえず、一番近くにいるコスプレ美少女に少し気後れしながら聞いてみた。
髪はぞっとするほど深い緑で、大きな目は全てを塗りつぶすような漆黒で彩られている。
服装は・・・なんか凄く仰々しい感じの服装を身につけている。
そして尻尾が・・・・尻尾が動いてるのだが・・・
凄いギミックだな。
そして、その格好よりも特筆すべきはアイドルなんて比にならないレベルの可愛さと可憐さを持っていることだ。
「あ、あなたは私達の勇者としてここに召喚されました。」
「は、はい?」
「あ、あの・・・聞こえませんでしたか?」
「いや、き、聞こえましたけど・・・・ゆ、勇者?」
勇者って何!?
いや、分かるよ?
勇者ってのは、あの勇者?
魔王を打ち倒すのを最終目的とするヒーロー的で英雄的な?
漫画であるよね。
異世界にいつの間にか呼び出されて、勇者として生きるってやつ。
ほかにもファンタジックな世界で、唐突に勇者として目覚める主人公とかさ。
あの勇者?
あの勇者に僕が?
「とりあえず、詳しいお話は謁見の間にて。」
目の前の美少女は「まぁ当然の反応か。」みたいな顔で謁見の間とやらへと僕を案内する。
というか慣れてる感じだ。
雰囲気に飲まれまくってた僕としては・・・情けなくも付いていくしかなかった。
「貴方様が勇者様か?」
謁見の間とやらで王様らしき人に言われた。
王様って言うより、魔王様って感じの服装だけど。
隣には王妃らしき人もいた。
なんとなく胡散臭い人間だ・・・とりあえず、首肯する。
「勇者様の名は?」
「山瀬 響です。」
内心パニクりながらもかろうじて答える。
「申し訳ないのだが・・・・
・・・・響様。
勝手ながら勇者様に願いがある。」
漫画とかで見た展開上はここで、魔王退治を命じられる。
はいはい、分かってますよ。
魔王退治でしょ?
やり尽くされてるんだよ、そのネタは!!
それにさっきから、王様の雰囲気に・・・なんとなく違和感がある。
早く話を済ませてとっととココから去りたい。
「レガート王を討伐してほしい。」
「れ、レガート王ですか?」
「うむ。
憎い憎い東大陸の王だ。」
魔王の名前だろうか?
「拒否権は?」
「あるといえばあるし、無いと言えば無い。
とりあえず力を見せてくれまいか?」
「力?」
「異世界人がこの世界に来たときに宿る特殊な能力のことだ。
主なものは能力が常人よりも遥かに優れていることや強大な魔力を持つなどだ。」
なんと都合の良い。
ただ、憧れるものではある。
王様は”勇者としての力”を見せて欲しいのだろう。
僕の右の二の腕の半ばまである手袋がその力の源とかだろうか?
適当に力を込めてみたが・・・なにも出ない。
それから、30分ほど。
あれこれ試したが、うんともすんとも言わない。
とりあえず、力が上がってるなら岩を砕けるだろうとのことで岩を殴らされたが手が痛いだけだった。
魔法が使えるのかと思えば、魔力を感じないとのことだ。
え?
なにコレ?
新手の羞恥プレイですか?
王様やその側近。
さっき案内してもらった美少女を含めて場の人間すべてが呆れの表情で僕を見ていた。
「ああ。こいつだめだな。」と言外に・・・表情で言っている。
表情に出すなよっ!!?
と言ってやりたい。
普通、こういう時って勇者的な補正ですぐさま能力発動。
そのゆえあって「あの力はっ!!伝説のなんちゃら!!」みたいな空気になる。
そして「ぜひとも力をお貸しください。勇者様!」みたいな話になるんじゃないのっ!?
んでもってなぜか、美少女と仲間になる。
恋仲になって、笑いあり恋あり熱血あり・・・みたいな冒険がまってるんじゃないの?
身の毛もよだつ凄く冷めた空気が僕の皮膚を・・・こう、チリッと刺激すると言うか?
す、すごい居たたまれないよ。
王様は隠そうともせずにため息をひとつ。
そして驚くべきことを申し上げやがりました。
「チリン。
こ奴を下げろ。」
勇者様、ないしは響様という敬称が”こ奴”という子悪党向け的な小市民に向けるであろう台詞に変わっていた。
気のせいかな?と思った・・・というか。
あってほしかった。
だが、そんな僕の心境をあざ笑うように王様の態度をとってみても・・・礼節の欠片もなかった。
なんとなく感じた違和感の正体は、普段使わないキャラクターだったからか。
さっきまでの態度は嘘で、ネコを被っていたのだ。
もちろん、勇者の助力を得るためであり・・・
僕は勇者どころか使えるに値しない・・・と判断したとたん手の平を返したわけか。
まぁそれでも良い。
勇者気分を味わいたかったのも少しあるが、勇者ともなれば色々しんどいだろうし・・・
平和な日本から来た僕にそんな重責を背負え得るわけもなし。
ただこれだけは教えてほしかった。
「あ、あの元の世界に帰る方法は・・・」
「戯けがっ!!
貴様を帰すこと程度の小事にいちいち労力を割いてはおれん!!
貴様は・・・一国の王が、要らぬ駒風情に”アレ”を使うと思うておるのか?
恥を知れっ!!」
小事って・・・
要らぬ駒って・・・
恥を知れって言われても・・・この世界に強制的に呼び出されたこの僕には無茶振りが過ぎませんか?
何をすれば恥なのか?アレとやらを使っちゃ駄目なのか?とかいろいろ知らない相手に言う台詞とは思えん理不尽さだ。
あまりのことに呆然としていた僕はチリン・・・もとい、先ほどの緑の髪をした美少女に促されて謁見の間を後にした。
そして謁見の間を出て、早々にこんな話を聞かされた。
「あなたはこれから城を出て行っていただきます。
自分に有益でないものを残しておくほど、あの王は優しくありません。
殺される前に立ち去ったほうがいいです。
死にたければ・・・別ですが。」
とね。
いや、いろいろ怒涛の展開過ぎて付いていけないところはある。
そんなパニクった頭が考えることと言えば、はじめて出会ったこの世界の女の子、しかも美少女・・・なおかつ名前まで判明した相手と恋愛フラグが立つんじゃないかな?そして手助けしてくれちゃったりなんかして・・・などということであったが。
・・・その期待も見事に打ち破られ、ただ言われるままに行動した。
そしてギギィーといいながら閉まっていく城門を背に呆然とするしかない僕だった。
「な、なんで・・・・こんな目に遭わなならんのじゃぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁあああああああっ!!!」
だが、雄たけびをあげておくのを忘れない・・・
理不尽すぎる。
なぜこんなにも理不尽か。
普通、勇者ってもう少し”期待”を受けて迎えられるのではないだろうか?
いや崇拝、偶像視に近い”期待”なんて重荷以外の何者でもないんだけども。
もう少し情けをかけてくれてもいいじゃないか。と思う。
だって、今の僕って最底辺状態ですよ?
今現在はパジャマ。しかもイチゴの柄が入ったもの。「ファンシーすぎるでしょ」と引かないで。単純にイチゴが好きなだけだし、人の目に触れるわけじゃないから・・・。(今触れてるじゃんというツッコミは無しの方向で)もちろんのこと財布など無い。ついさっきまでベッドで寝てたし。
あったとしても日本の通貨はまず通じないだろう。
武器、防具・・・といったものも、もちろんない。これまた寝てたから。
いや、寝てなかったら装備していたのか?と問われれば、否となるけれど。
強いていうなれば鍛え上げたこの筋肉と、己の魂を込めた拳だ!
(鍛え上げたといっても・・・たるまない程度にだし、己の魂を込めたところで打撃の威力が上がるわけでもない。)
なんというか・・・絶望状態だ。
王にいきなり呼び出されて、即追い出され。手持ちもゼロ。
字も読めなければ特殊な能力もないらしい。
大抵のゲームにおける最弱防具「レザーアーマー」を越すさらなる最弱防具「イチゴ柄パジャマ」を携え、さびた剣すら持たない。
ただの素手。
今ならスライムにも負ける自身がある。
そして切実に・・・現実って厳しいなと思う。
ここはゲームじゃない。
はっきりいえる。
小説でも漫画でも、ましてや夢でもない。
これまたはっきり言える。
そういった類のものなら・・・もう少し主人公が恵まれてるはずだから・・・。
何よりきついのが・・・”一人ぼっち”。
さらに言えば、深夜のようで町明かりすらない。
人気も無く・・・孤独感が半端ないんです!!
かなり泣きそうになりながらその日は野宿した。
僕はいつの間にやらこんなところにいるのか?
不思議でならない。
いや、なにが不思議かと言うとそれを説明するのもちょっと難しいのだが・・・・
まぁとにかく落ち着こう。
落ち着いて状況を整理しようじゃないか。
まず。
身なりはパジャマである。
右腕に付けた覚えの無い黒い手袋。それも二の腕まで生地があるやたら邪魔くさい手袋を除けば・・・寝ていたはずの格好だ。
髪の毛も多少長めの黒色だし、体も特別変わったところは無い160センチ、45キロボディだ。
痩せ気味プラス小ぶりというのがコンプレックス。
まだまだ成長期なのでこれはまぁ、いずれ伸びると信じて疑わない。のが身長を伸ばすためのコツだ!!
そして、ここはどこだ?
周りは薄暗く、中央には・・・というか僕がいるこの場所が中央みたい。
すっごい魔法陣的な魔法陣と言わずして、なんと呼べば良いのか?
そんな感じの紋様が描かれている。
かなり大きく、部屋全体の床を覆ってるようだ。
「なんじゃこら?」
と戸惑いを覚えつつ。
次にこちらを興味深げに見る人々の姿を見る。
・・・・・人間、ですか?
と思わず聞いてしまうような外見ばかりだ。
いや、もちろん人なのだが・・・こ、コスプレだったっけ?
コスプレをしてる人が殆どである。
「あの~。おかしな人と思われるかもですが・・・
僕っていつの間にかここに来てて・・・それで・・・ここがどこなのか分からないのですが・・・・どこでしょう?
ここって。」
とりあえず、一番近くにいるコスプレ美少女に少し気後れしながら聞いてみた。
髪はぞっとするほど深い緑で、大きな目は全てを塗りつぶすような漆黒で彩られている。
服装は・・・なんか凄く仰々しい感じの服装を身につけている。
そして尻尾が・・・・尻尾が動いてるのだが・・・
凄いギミックだな。
そして、その格好よりも特筆すべきはアイドルなんて比にならないレベルの可愛さと可憐さを持っていることだ。
「あ、あなたは私達の勇者としてここに召喚されました。」
「は、はい?」
「あ、あの・・・聞こえませんでしたか?」
「いや、き、聞こえましたけど・・・・ゆ、勇者?」
勇者って何!?
いや、分かるよ?
勇者ってのは、あの勇者?
魔王を打ち倒すのを最終目的とするヒーロー的で英雄的な?
漫画であるよね。
異世界にいつの間にか呼び出されて、勇者として生きるってやつ。
ほかにもファンタジックな世界で、唐突に勇者として目覚める主人公とかさ。
あの勇者?
あの勇者に僕が?
「とりあえず、詳しいお話は謁見の間にて。」
目の前の美少女は「まぁ当然の反応か。」みたいな顔で謁見の間とやらへと僕を案内する。
というか慣れてる感じだ。
雰囲気に飲まれまくってた僕としては・・・情けなくも付いていくしかなかった。
「貴方様が勇者様か?」
謁見の間とやらで王様らしき人に言われた。
王様って言うより、魔王様って感じの服装だけど。
隣には王妃らしき人もいた。
なんとなく胡散臭い人間だ・・・とりあえず、首肯する。
「勇者様の名は?」
「山瀬 響です。」
内心パニクりながらもかろうじて答える。
「申し訳ないのだが・・・・
・・・・響様。
勝手ながら勇者様に願いがある。」
漫画とかで見た展開上はここで、魔王退治を命じられる。
はいはい、分かってますよ。
魔王退治でしょ?
やり尽くされてるんだよ、そのネタは!!
それにさっきから、王様の雰囲気に・・・なんとなく違和感がある。
早く話を済ませてとっととココから去りたい。
「レガート王を討伐してほしい。」
「れ、レガート王ですか?」
「うむ。
憎い憎い東大陸の王だ。」
魔王の名前だろうか?
「拒否権は?」
「あるといえばあるし、無いと言えば無い。
とりあえず力を見せてくれまいか?」
「力?」
「異世界人がこの世界に来たときに宿る特殊な能力のことだ。
主なものは能力が常人よりも遥かに優れていることや強大な魔力を持つなどだ。」
なんと都合の良い。
ただ、憧れるものではある。
王様は”勇者としての力”を見せて欲しいのだろう。
僕の右の二の腕の半ばまである手袋がその力の源とかだろうか?
適当に力を込めてみたが・・・なにも出ない。
それから、30分ほど。
あれこれ試したが、うんともすんとも言わない。
とりあえず、力が上がってるなら岩を砕けるだろうとのことで岩を殴らされたが手が痛いだけだった。
魔法が使えるのかと思えば、魔力を感じないとのことだ。
え?
なにコレ?
新手の羞恥プレイですか?
王様やその側近。
さっき案内してもらった美少女を含めて場の人間すべてが呆れの表情で僕を見ていた。
「ああ。こいつだめだな。」と言外に・・・表情で言っている。
表情に出すなよっ!!?
と言ってやりたい。
普通、こういう時って勇者的な補正ですぐさま能力発動。
そのゆえあって「あの力はっ!!伝説のなんちゃら!!」みたいな空気になる。
そして「ぜひとも力をお貸しください。勇者様!」みたいな話になるんじゃないのっ!?
んでもってなぜか、美少女と仲間になる。
恋仲になって、笑いあり恋あり熱血あり・・・みたいな冒険がまってるんじゃないの?
身の毛もよだつ凄く冷めた空気が僕の皮膚を・・・こう、チリッと刺激すると言うか?
す、すごい居たたまれないよ。
王様は隠そうともせずにため息をひとつ。
そして驚くべきことを申し上げやがりました。
「チリン。
こ奴を下げろ。」
勇者様、ないしは響様という敬称が”こ奴”という子悪党向け的な小市民に向けるであろう台詞に変わっていた。
気のせいかな?と思った・・・というか。
あってほしかった。
だが、そんな僕の心境をあざ笑うように王様の態度をとってみても・・・礼節の欠片もなかった。
なんとなく感じた違和感の正体は、普段使わないキャラクターだったからか。
さっきまでの態度は嘘で、ネコを被っていたのだ。
もちろん、勇者の助力を得るためであり・・・
僕は勇者どころか使えるに値しない・・・と判断したとたん手の平を返したわけか。
まぁそれでも良い。
勇者気分を味わいたかったのも少しあるが、勇者ともなれば色々しんどいだろうし・・・
平和な日本から来た僕にそんな重責を背負え得るわけもなし。
ただこれだけは教えてほしかった。
「あ、あの元の世界に帰る方法は・・・」
「戯けがっ!!
貴様を帰すこと程度の小事にいちいち労力を割いてはおれん!!
貴様は・・・一国の王が、要らぬ駒風情に”アレ”を使うと思うておるのか?
恥を知れっ!!」
小事って・・・
要らぬ駒って・・・
恥を知れって言われても・・・この世界に強制的に呼び出されたこの僕には無茶振りが過ぎませんか?
何をすれば恥なのか?アレとやらを使っちゃ駄目なのか?とかいろいろ知らない相手に言う台詞とは思えん理不尽さだ。
あまりのことに呆然としていた僕はチリン・・・もとい、先ほどの緑の髪をした美少女に促されて謁見の間を後にした。
そして謁見の間を出て、早々にこんな話を聞かされた。
「あなたはこれから城を出て行っていただきます。
自分に有益でないものを残しておくほど、あの王は優しくありません。
殺される前に立ち去ったほうがいいです。
死にたければ・・・別ですが。」
とね。
いや、いろいろ怒涛の展開過ぎて付いていけないところはある。
そんなパニクった頭が考えることと言えば、はじめて出会ったこの世界の女の子、しかも美少女・・・なおかつ名前まで判明した相手と恋愛フラグが立つんじゃないかな?そして手助けしてくれちゃったりなんかして・・・などということであったが。
・・・その期待も見事に打ち破られ、ただ言われるままに行動した。
そしてギギィーといいながら閉まっていく城門を背に呆然とするしかない僕だった。
「な、なんで・・・・こんな目に遭わなならんのじゃぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁあああああああっ!!!」
だが、雄たけびをあげておくのを忘れない・・・
理不尽すぎる。
なぜこんなにも理不尽か。
普通、勇者ってもう少し”期待”を受けて迎えられるのではないだろうか?
いや崇拝、偶像視に近い”期待”なんて重荷以外の何者でもないんだけども。
もう少し情けをかけてくれてもいいじゃないか。と思う。
だって、今の僕って最底辺状態ですよ?
今現在はパジャマ。しかもイチゴの柄が入ったもの。「ファンシーすぎるでしょ」と引かないで。単純にイチゴが好きなだけだし、人の目に触れるわけじゃないから・・・。(今触れてるじゃんというツッコミは無しの方向で)もちろんのこと財布など無い。ついさっきまでベッドで寝てたし。
あったとしても日本の通貨はまず通じないだろう。
武器、防具・・・といったものも、もちろんない。これまた寝てたから。
いや、寝てなかったら装備していたのか?と問われれば、否となるけれど。
強いていうなれば鍛え上げたこの筋肉と、己の魂を込めた拳だ!
(鍛え上げたといっても・・・たるまない程度にだし、己の魂を込めたところで打撃の威力が上がるわけでもない。)
なんというか・・・絶望状態だ。
王にいきなり呼び出されて、即追い出され。手持ちもゼロ。
字も読めなければ特殊な能力もないらしい。
大抵のゲームにおける最弱防具「レザーアーマー」を越すさらなる最弱防具「イチゴ柄パジャマ」を携え、さびた剣すら持たない。
ただの素手。
今ならスライムにも負ける自身がある。
そして切実に・・・現実って厳しいなと思う。
ここはゲームじゃない。
はっきりいえる。
小説でも漫画でも、ましてや夢でもない。
これまたはっきり言える。
そういった類のものなら・・・もう少し主人公が恵まれてるはずだから・・・。
何よりきついのが・・・”一人ぼっち”。
さらに言えば、深夜のようで町明かりすらない。
人気も無く・・・孤独感が半端ないんです!!
かなり泣きそうになりながらその日は野宿した。
「その他」の人気作品
書籍化作品
-
-
111
-
-
755
-
-
238
-
-
89
-
-
768
-
-
107
-
-
4503
-
-
140
-
-
314
コメント