男の娘なCQCで!(未完)

百合姫

9わ しょうばい の きほん と ひみつ

あれから3日が経った。
ようやく落ち着けるようになってきたので、そろそろ本腰を入れて取り込もうと思う。


「お店を復興するぞ会議~・・・どんどんぱふぱふぅ~!」
「なんですか?
いきなり?」


リビングにて会議を始める。


「なんですか、じゃない!!
貴様はこのまま貧乏で良いのか?そう思っているのか?
いや、思ってはいまいっ!?反語表現。」
「そ、それはそうですけど・・・は、反語表現?
わざわざ口で言う必要あります?」
「とりあえず僕はこのお店の復興を考えたいと思っています。」
「スルーですか。まぁいいですけど。お店の経営は・・・響君の力を借りるほどでは・・・」
「あの有様で?」
「うぐ。・・・あれです。
ちょっと表現を間違えました。
あれです、あれ。
響君の力を借りるのは申し訳ないといいますか?」
「ふん、プライドだけは一丁前だな。」
「ひ、酷いっ!?」
「というか、3日前も言っただろう?
単なる気まぐれ。というか、僕がお店を経営してみたいからやってるだけで、むしろこの店が底辺にあって赤字経営まっしぐら。昨今の高校生でももう少しまともな経営をするであろうぐらいのゴミ溜めのような悪店。それを良店までに復興する。その過程を考えるだけで燃えてこないか!?
いや、燃えまい。反語表現。」
「尚のこと酷い!?そしてそこは反語表現はダメだと思います!?」
「底辺から最高へ。やりがいのある遊びーーーじゃなかった。仕事だろう?
一度でいいからやってみたかったんだ。」
「凄まじく酷いっ!?」
「僕が適当にやって、万が一不利益を得てもそこは底辺。これ以上悪くなりようが無い。というか僕の投資が無駄になるというだけ。
すなわち、気軽に自由に大胆にいけるということでもある!!」
「しくしく。」


なにやら泣き出したフィネア。
が、嘘泣きっぽいのでスルーしておく。


「小粋なギャグはここまでにして。
真面目に話すとしよう。」
「・・・小粋?
小粋なギャグってこういうのを言うんですね。初めて知りました。」
「・・・。」


軽いボケがそのまま受け取られてしまった。
どうでもいいか。


「まずお店を経営するうえで一番大切なことがある。
それは何でしょう?」
「・・・ええと?お色気担当の店員さんでしょうか?」
「ボケはいらん。」
「え?
これってボケになるんですか?」
「・・・。」


ま、まぁそれも計算の内。
わかるとは思っていない。


「まず大切なこと。
それは“需要”。
利益よりも知名度よりも値段の安い高い、品揃えなんかよりも一番に大切なことになる。」
「需要ですか?」
「そのとおり。
需要という言葉の意味は分かるよね?」
「分かりません。」
「・・・うん、まぁこれも予想通りだ。お店を経営する人間としては知っていて欲しかったけれども。」


需要。
それすなわち顧客が「なになにが欲しいよう」という欲求のことを需要という。


「たとえばだ。
石鹸を沢山持ってる人に石鹸を売ろうとして上手くいくと思う?」
「・・・ええと、そんなに必要ないんじゃ?」
「その通り。
必要が無い。だから買わない。
だけど、石鹸の無い人にとっては?」
「必要ない?」
「おばか。
なぜそうなるの?」
「え、でも、私は20年は使ってなかっーーーあうっ!」
「たわけ。カメムシな価値観を基準にするでない。」
「ま、またカメムシって言ったぁっ!?
結構傷つくんですよ!?」


つい手が出てしまうほどにアホの娘である。


「ちゃんと用意した石鹸で洗ってるよね?体。」
「もちろんです!!
しっかり10倍に薄めて・・・」
「・・・アンタは面倒くさいな、本当に。」
「なんでですかぁっ!?」
「普通の一般家庭の話をしてるの。
貧乏アピールは要らない・・・というか普通に石鹸使っていいから。
てか、使え。
でなきゃ、僕の手で無理やり洗うからな。」
「あ、アピールしてるわけでは・・・それに、え、えっちですっ!!
そういって大義名分を得た後に、私の体をまさぐる気ですね!?」
「・・・そういう魔技があるんだよ魔技が。頼まれたって触るか、阿呆!!
というか、触りません。」
「・・・ヘタレです。」
「触ってほしいのか嫌なのかハッキリしてほしいね。」


今更であるがこの世界では魔法のことを魔技マギというらしい。
特に何も変わらないんだけど、魔法は昔の呼び方だとか。
変な話である。


「ちなみにどんな魔技なんですか?」
「洗濯機代わりの魔技を使うんだよ。
風呂釜にアンタと石鹸を突っ込んで使う。目が回るだろうが要我慢だ。」


この三日のうちに外へ出たとき、露店で魔技書が売っていて、それを読んで覚えた魔法である。いや、魔技である。
どらぶれでは魔法を覚えるためにはそれぞれの属性魔法の熟練度を上げる以外では、メインクエストやサブクエストの報酬として覚えられたくらいだ。
便利なものである。
そもそもどらごにあには生活に関わる魔法もあるんだな、と新鮮な気分だ。
どらぶれじゃ必要が無かったしね。


「人の洗い方じゃないですよね?」
「そうかも。」
「ま、前々から言おうと思ってたんですけど、響君はちゃんと私を女の子として見てくれてますかっ!?」
「もちろん。
でなければもっと遠慮してないし。」
「・・・なんか納得がいきません。」
「話を戻すよ。ええと・・・どこまで話したっけか?
・・・ええと、そうそう。
石鹸を持たない人間からとって見れば“石鹸が欲しい”という欲が産まれる。
この欲のことを需要。というわけ。
理解した?」
「はい・・・なんとか。」
「…とりあえず説明しちゃうぞ。
で、だ。
その需要を、すなわちお客さんが何を欲しがっているのか?
それを調べて、その調べた結果に従い供給側、すなわちお店が商品を入荷するわけだ。この需要を無視しちゃうとお店側で入荷した商品が売れないまま店の赤字となる。」
「え、あの、え、ええと?」
「ここは掘り出し物屋。
すなわちここに来る人が何を求めて来るのか?
分かる?」
「・・・・・・可愛い店員さん?」
「ふざけてんの?」
「ま、真面目に答えてますぅっ!!」
「尚悪いわ。
正解は“思わぬレアなアイテム”。それを求めてるわけ。」
「・・・はぁああ。なるほど。
考えも付きませんでした。」
「・・・本当に28歳なんだよね?
上にサバ読んでる?」
「そんなわけないでしょうっ!?
本当に失礼です、失礼なことしか言ってませんよ!!響君は!!」
「それは言いすぎ。なによりアンタが悪い。
とにかく、ここに来る人はレア物を求めてくるわけだ。
一点、二点しか無いもの。もしくは滅多に手に入らないもの。
それ以外のものを買うなら他のお店に行く。」
「そ、それで?」
「少しは自分で考えてもらいたいけど…それでまずは需要を理解したところで、次はそれを満たすためにはどうするか?
具体的に考えてみた。」
「ふむふむ」



分かってなさそうな感じでうなずくフィネア。


「レアモノ。それを獲得し、売ってくれる冒険者を探す。
これが第一。いわば供給ラインの確保。
それらの冒険者と専属契約を結ぶのが理想だね。
フィネアの両親はもともと冒険者だって言うからおそらくは父親が現地調達。母親が店番でもしてたのかな?
その形を冒険者の雇用でどうにかしたい。
第二に交渉術。珍しい物だから相手ももちろん高値で売ろうとしてくる。
それをどれだけ安く手に入れられるか。
あまり安く買い叩いても他のお店に持っていかれてしまう。どこまで値下げられるかの見極めが重要になる。印象も悪くなるしね。資金も必要だ。
買い取る際は冒険者側がソレをレアだと自覚して売る場合、高値で買い取らないといけない。それを一括で払えなきゃダメ。冒険者に借金する店員なんて聞いたことがないでしょ?」
「ふぇぇええ、難しそうです。」


なんとか話についていけてるようで一安心だ。


「・・・それが出来ない時点で、もうこの店は終わったも同然だけど、その辺は追々考えるとして。
さらに第三に必要な物がある。
それが真贋しんがんを見極める能力。
何よりもこれが大事ともいえる。
冒険者側がこれはレアだ。と言って売ってきた物が本当にレアであるかは不明だ。
実際は偽者であるかもしれないし、こっちを担ぎ出してお金を巻き上げたいだけなのかもしれない。
それに・・・さっきの需要の話に戻るが、例え世界に一つしか無いとしても“それ”に需要が無ければガラクタも同然だ。
“神様の杖”という明らかなレアアイテムがあったとしても、それが名前の通り神様にしか使えない。となると途端に価値は落ちる。
まぁ、コレクターに対しての需要はあるだろうけれど…とりあえず今は細かい部分は考えないでおくとして、すなわちここが掘り出し物屋としてやっていくには、色々足りない物がありすぎる。
それは分かるね?」
「・・・ふぇええええ?」


頭から煙でも上げる勢いで難しい顔をするフィネア。
よくもまぁこの店が残った物である。
奇跡に近いな。


「でも、ウチにも結構、れあ?
れあ物が沢山ありますよ?
ウチの家宝だって言って売ってくる人が沢山いて…家宝ばかりが並んでるはずです!!」
「まさに担がれたんだな。」
「へ?」
「そうそう家宝を持つ家があってたまるかって話。いや、あるかもしれないけどこんなお店かも分からない場所に売りにくるようなやつはまずいないと考えていい。
レアっぽいただのガラクタを売ってあんたからお金を巻き上げた。
そんなところ?
そもそも冒険者になるような人間の家に家宝があるかっての。
気づいてよ。」
「・・・じゃあ?」
「もちろん、この3日間で確認はした。
全部ただのガラクタ。
宝石っぽいのは粗悪なガラス玉だし。
装備品も質の低い鉄が殆ど。
中にはただの泥の塊や犬の糞らしきものなんかもあるよ。」
「で、でも、でもでもっ!!
お客さんが言ってたんです!!
宝石っぽいのは恋人の形見だって!!
持ってると辛いから是非とも買い取ってもらいたいって!!恋人にやるものをただのーーー」


恋人の形見を売るやつがいるかっての。多分。


「大きな剣は家に代々続く“刀”とかいうすっごい斬れる剣だって。
防具は妖精族の隠しスキルすら弾き返すってっ!!」


刀の形をした物すらなかった。
そして妖精族の隠しスキル「ふぇありぃ・ぶれいかぁ」はあんなチャチな鉄の塊、影すら残さない。
最強種族と言われている竜族。その中でもトップクラスの攻撃力・防御力を持つ、アームドドラゴンですら一撃で殺しきるのだから。
プレイヤーの重量制限無視で最強装備で固めたガチガチの肉盾前衛タイプだってまとめて消し飛ばせる。


「泥の塊に見えるのは土石と呼ばれる魔力がふんだんに込められた土で、欠片一つで作物の実りが良くなるって言ってたし、犬の・・・う、うんちみたいのは古代に絶滅したモンスターの化石だって・・・だから、店のショーウィンドウに・・・大切に入れて・・・ぐず・・・うぐ・・・あう・・・うう・・・」


もちろん魔力の欠片も無いし、犬の糞はどこの角度から見てもカピカピのただの糞にしか見えない。糞の化石なんかも地球にはあった気がしたが、素人目には分からないだろう。


「・・・これから。これから頑張っていこう。
ね?
頑張ったよ、フィネアは頑張った。」


この三日、貴重な物だと信じてショーウィンドウにただの乾燥した動物の糞を飾って手入れしてる彼女の姿、その不憫な姿に僕も泣きそうになったのは無理も無い。
居住スペースである二回こそ汚かったが、一回にある商品にあたる物は埃一つ被ってないところ見るとたとえ不器用でも、掃除が苦手でも商品の管理だけは頑張っていたんだな。という健気な部分もまた泣きそうな気持ちに拍車をかけた。


泣きじゃくるフィネアを抱きとめ、慰めつつ頭を撫でながら僕は考えるのだった。
「なんかぽんぽんが痛くなってきた」と。
なんでこのタイミングで、と自分で自分のお腹に物申したいものであるが、そんなことを言っていられる場合ではない。
本当に不味い。
けど空気的にここからいきなり離れるのもおかしいし、KYと書いて空気の読める男である僕にはちょっとこれを振り切る度胸はない。




結局彼女が泣き止むまでなんとか頑張って、トイレに駆け込んだのはいうまでも無い。
その日、フィネアは部屋に篭って出てこなかった。




☆ ☆ ☆


「フィネア~起きてるか?」


次の日。
もう一度声をかけてみるがフィネアからの返事は無い。
昨日から水も飲んでないはずだが、一体どうしたのか?
もしかしたら脱水症状で死んでいたり?
いやいや、怖い想像はやめよう。
大丈夫。
きっと大丈夫だ。
夜の間に水くらいは飲んでるはず。そう思いたい。
とりあえず僕は今日も依頼屋に行くだけ。
どんな商売をするにせよ資本金は必要だ。
そのための資金稼ぎに今日も出るのである。


「朝ごはんは置いとくからな。」


そのまま支度をして家を出る。
というか、なんで僕がここまで気に欠けなきゃいけないんだ。
会って数日のガキンチョに入れ込みすぎだろう。
僕も頭を冷やしたほうが良いかも知れない。
彼女の悲劇ぶりに当てられているのかも。人生というのは概ねそのようなことの繰り返しである。彼女が悪いとは言わないがこの程度でつぶれる様ならそもそも社会では生きられない。
つぶれたらつぶれたで、彼女を放ってここを出ればいい・・・のは無理だろうな。気が引けすぎる。全く、なんであんなのとかかわってしまったのか。パラメータ的には運がカンストしてるというのにまるで効力を感じない。運と言っても色々な運があるしなぁ。そういう運かね。悪運とかさ。
とにかく関わってしまった以上、力になってやりたいというのはお人よしか暇人か、はたまた偽善者か。
なんにせよ僕としては不本意ながら浅い友人程度の関係ではあるつもりであり、一応は友人ならば助けてやろうと思ってしまうことは仕方がないことである。そうである。
きっとそう。


と、回りくどい言い方で誤魔化してみたものの。
端的に言うなれば至極普通に不安。
一人っ子である僕にとっては初めて出来た妹みたいな気持ちもあるから?
とにかく真面目な話、本当に脱水症状で倒れてたりしてませんよね?
ただそれが不安である。がゆえに家に戻る僕。


とにかく一声だけでも聞いてから行くべきだろう。
今のままじゃ気にかかってかかってしょうがない。
この精神状態は命がけの仕事をする上では向かない。ナンセンスで悪手だ。
その精神状態を解決するためにーすなわち、自分のために彼女を元気付けようとしているのであって、彼女を心配してるとか、妹思いなお兄ちゃん的な気持ちを抱いてるというわけでは決して無い。ということは言っておかねばなるまい。
そしてツンデレでもない。


彼女の部屋の前までくると、やはり朝食は置きっぱなし。部屋をノックしても返事が無い。
本当に大丈夫なのか凄く不安になってきた。
というかね。
いつもなら僕よりも早く起きてお店前の掃除をしてるところなんだよ。
普通なら。
自分の部屋はすごく汚いくせして周りには気遣えるとか良く分からない子である。
いや、真面目にお店をしようとしてるのだろう。
不器用なりに頑張った結果が「騙された」。そこにある。
もしかしたらもっと複雑な思いもあるかもしれない。所詮、女心どころか今までずっと一緒にいた幼馴染に男の影があったことすら分からないほどの、鈍感には複雑な女心は理解できないことかもしれないがどうにかしてやりたい。そこんとこは本気の気持ちである。


「開けるよ?」


返事を待つ。
返事は来ない。
ドアノブに手をかけると、がちゃりという音を発ててドアノブが回る。
いつもなら部屋を出るたびに鍵を閉めるくらいの彼女の部屋なのに。
ますます嫌な想像が頭をよぎる。




「お邪魔します?」


マヌケな挨拶だけど、仕方ないじゃないかっ!!
だ、だってな!!
多少知ってるとはいえ、女の子の部屋だぞ!?
緊張するのは当たり前で、仕方がないことだ!!
大事なことだから二回ね。




「こ、これは?」


部屋には“何も無かった。”
いや、正確には中央にただぽつんと二つの人形が置いてある。
そしてそこの隣でうつろな目をして何事かを呟くフィネア。
声が小さくて何を喋っているかわからない。
ベッドは結局使わなかったのだろうか?と少し思ったけどそれは置いといて、人形を見ると人形の口の周りはご飯粒や汁物の汁で汚れているように見える。
それどころか体全体にわたってある細かい傷や荒で、かなりの年季が入ったものだということを分からせる。


「フィネア?」


部屋に入った瞬間、ひんやりとした空気に包まれ2、3℃は下がったような錯覚を受ける。
良く耳を凝らして聞いてみると。


「私はダメ・・・私はダメ・・・私はダメ・・・」
「フィネア?」
「お母さんがいないとダメなの。
お父さんがいないとダメなの。
ねぇ、だからお父さんとお母さんも一緒に店番して。
お願い。」


1人芝居の練習をしていた。
なんだ。それだけのことか。
きっと演劇をしてご飯を食べていこうと路線変更をしたのだろう。
うん。
確かにそっちの方がまだ可能性がある。
よっ!未来の人気女優!!


―――って無いなぁ。
僕は動転すると1人ノリツッコミで気を落ち着ける癖でもあるのだろうか?と頭の片隅で考えつつ、フィネアに近寄る。
どうやらフィネアは人形を父親、母親だと思っているらしい。


「私ね。
とっても助かってるの。
響君って言って、凄く優しい人。
一見、女の子みたいなんだけど男の子なんだって!
え?
聞いたって。うん。
そうだよね、話したよね!?
同じこと言ってごめんなさい。」
「お~い、フィネアさん?」
「ち、違うよっ!
やだなぁ、お父さんッたら。
彼氏なんかじゃないよ。新しい家族?
あっちがどう思ってるかは分からないけど、私としては友達?
ううん。弟みたいな感じかな?」
「僕が弟っ!?
逆だろっ!?それは聞き捨てならんぞっ!?」


まさかの新事実発覚である。
ちなみにであるが人形は呪いの人形とか、ファンタジーな世界にありがちな意志を持つ人形とか、ローゼなんちゃらとか言う良く分からない得体の知れないエネルギー体で動く薔薇ローゼン人形メイデンなどではない。某決戦兵器人形ロボットの内燃機関たるS2器官並みに良く分からない。
すなわち独り言である。


「フィネアッ!」
「でねーーー」
「フィネアッ!!」
「は、はひぃっ!?」




耳元で怒鳴ってやったぜ。
鼓膜が割れたら正直すまんかった。


「響君?
どうしたの?」
「どうしたのじゃない。
夜はともかく、今日の朝ご飯までも。
ちゃんと食べないと倒れる。
最悪、水だけでも飲んで。」
「二食抜いたくらいじゃ死なないよ?」
「・・・また来た、貧乏アピール。正直、要りません。」
「だからアピールしてるわけじゃ・・・って・・・え?」
「ん?」
「こ、ここ・・・わ、私の部屋・・・」
「そうだね?」


何を今更。


「見られたくないものなんてなさそうだし、大丈夫でしょ?
なにを嫌がってたのやら。」


心配の結果なので許して欲しいけども。
まぁ、人形相手に独り言はドン引きしたがその程度。
このポヤポヤ娘を前にすれば、それもまた一つの個性と言わしめるほどのポヤポヤ具合である。
・・・あら?
もしかしてこれが見られたくないことだったりしたのかな?
冷や汗がさーっと流れる。


案の定、人形を背で隠してフィネアは見るも可哀想なほどに狼狽して慌てふためく。




「こ、これはちがくて・・・」
「何が違うんだよ?」
「その、これはたまたま人形遊びをしてただけで・・・」
「そう?」
「別に人形をお父さんだとか、お母さんとして見てるわけじゃないのっ!!」


見てる、と?


「だから・・・出ていかーーーえぐ・・・うわぁぁぁあぁぁぁぁあああああああああああんっ!!」


えええええええええええっ!?
なんで泣いたぁっ!?
ワケが分からないよっ!?


「ふええええええええんっ!!ででいっぢゃいやだよぉぉぉぉぉううううううううっ!!
お願いだからきらいにならないでぇっ!!
私を捨てないでっ!!
どこかへいっちゃいやだぁぁっ!!」
「ええと、わかったっ!!
分かったからっ!!
全部分かったからっ!!
とりあえず泣き止んでっ!?
お願いっ!!」


泣きじゃくりながら僕に抱きついてくる・・・いや、この力は抱きつきとかじゃない。
サバオリを極めて来ながら僕に泣きつくフィネア。
おふぅっ!
今、バキっていったぜ。
背骨がバキって。
バキバキって!!
とても大事なことだから三回言いました。
そして彼女の胸が押し付けられて少し得した気分に…
なんていってる場合ではない。


「ごはっ!
・・・快楽ぽよぽよと背骨への激痛ズキズキによるダブルブッキング。
効くねぇ・・・がはぁ。」


いつの間にか紫のオーラを纏い始めたフィネア。
また、魔の衝動ッスか。マジ勘弁してくださいッス。
死ぬッス死ぬッス。
真っ二つッス。
まぁ逆に言えば覚醒スキルが発動するほど必死だと言うことであり、僕を強く求めているということでもある。
色々とワケが分からないことばかりだが、それは・・・とりあえず。
気絶した後で聞こう・・・じゃない・・・か。
ゴフゥッ。
か、回復スプレーEXを・・・と、取り出さなくては・・・ガクリ。


これが勝手に女の子の部屋に入っていった罰なのかも知れない。
そんなことを思いながら僕は気絶した。





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