セブンスソード
お初にお目にかかります、魔卿騎士団の皆々様方。私の名はジュノア。以後お見知り置きを
夜の校庭で俺は星を見上げていた。暗闇に浮かぶ小さな光。大きな光は人工衛星だろうか。
その輝き、どこか悲しく見える。
俺はなにも知らないまま戦っていた。人を捨て、人生を捨て、未来を捨てて、なにより友人を捨てて。それでもなお戦う彼女のことを俺はなにも知らない。
その覚悟の裏になにがあるのか。分かり合うことはないのだろうか。
可能性は、この夜空に光る星のように小さく思えた。
「聖治君」
声を掛けられ視線を戻す。リンボから戻ってきた俺がいるのは人がいる地上だ。俺が出てきたのを見つけた香織が慌ててやってくる。他のみんなも一緒だ。
「大丈夫なの?」
「見ての通りだよ」
一花との戦いは壮絶だった。まさか魔人になって挑んでくるとは。闇という空間を自在に操り超人的な肉体を持つ一花は間違いなく強敵だ。それに打ち勝ち目立った傷がないのは幸いだった。
「相手は?」
「逃げたよ。今もリンボの中だろう。それより駆を迎えに行かないと。校舎の三階にいると言っていた」
「よし、すぐに行こうぜ」
星都に言われみんなで校舎に向かう。夜の廊下を走り教室を見て回る。
「ここは?」
そこである教室で足が止まる。ここだけ掃除の途中のように机がすべて後ろに下げられている。
「聖治さん!」
「日向ちゃん、他の教室は?」
「ううん、こっちはないよ」
「相棒、他も見てきたがどこにもいないぜ?」
「そんな!」
どこにもいない? でも一花は確かに三階だと。
「行き違いかなぁ?」
「でもだぜ、玄関までの途中で会うはずだろう」
「もしかして、騙された?」
此方が尋ねる。可能性がないわけじゃない。だけどあの時の一花が嘘を言っていたようには見えない。
そう思うのは彼女のことを信じたいからなのか?
「聖治君!」
そこで香織に呼ばれる。見れば香織は教室の隅に立っておりそこでなにか見つけたようだ。
「これ」
それを手渡してくる。
「これは」
ハーモニカだ。間違いない、駆のものだ。
「ここにいたんだ。それに、駆がこれを置いていくはずがない。これはあいつにとって大事なものなんだ」
一花と上手くいかず悲しんでいた時屋上でよく吹いていた。このハーモニカを見る駆の目はとても思い入れのあるものだった。
「これだけここにあって、本人がいないってことは」
「まさか、リンボの中!?」
それだ。それしか思いつかない。
「どういうことだよ、あいつがお前のダチを解放したならここにいるはずだろ」
「分からない。でもあの時の一花は大怪我を負っていた。なにかしらのミスで駆を残してしまったのかも」
あくまで可能性だがないわけじゃない。
「もしそうなら待ってれば戻ってくるってこと?」
「そうならいいんだが」
日向ちゃんの言う通りならいいんだが。しかし安心できない。嫌な予感がする。
「おやおや、お集まりですか」
「誰だ!?」
女性の声だ。
教室の教壇。そこが赤く揺らめき始める。その揺らぎの中に人影が現れると揺れはなくなり人だけが残っていた。
「お前は」
二十代の女性だ。金髪のショートカット。雪のように肌は白く黒と白のボーダー柄のスーツを着ている。美人だ。細いシルエットにその目は妖艶な輝きを放っている。モデルでもトップクラスの綺麗さだ。赤い瞳が特徴的でその目が俺たちを見つめる。
「誰だ?」
突然ここに現れたということはこいつも悪魔召喚師か? 警戒するが彼女は優雅な身振りでおじぎをしている。
「お初にお目にかかります、魔卿騎士団の皆々様方。私の名はジュノア。以後お見知り置きを」
その輝き、どこか悲しく見える。
俺はなにも知らないまま戦っていた。人を捨て、人生を捨て、未来を捨てて、なにより友人を捨てて。それでもなお戦う彼女のことを俺はなにも知らない。
その覚悟の裏になにがあるのか。分かり合うことはないのだろうか。
可能性は、この夜空に光る星のように小さく思えた。
「聖治君」
声を掛けられ視線を戻す。リンボから戻ってきた俺がいるのは人がいる地上だ。俺が出てきたのを見つけた香織が慌ててやってくる。他のみんなも一緒だ。
「大丈夫なの?」
「見ての通りだよ」
一花との戦いは壮絶だった。まさか魔人になって挑んでくるとは。闇という空間を自在に操り超人的な肉体を持つ一花は間違いなく強敵だ。それに打ち勝ち目立った傷がないのは幸いだった。
「相手は?」
「逃げたよ。今もリンボの中だろう。それより駆を迎えに行かないと。校舎の三階にいると言っていた」
「よし、すぐに行こうぜ」
星都に言われみんなで校舎に向かう。夜の廊下を走り教室を見て回る。
「ここは?」
そこである教室で足が止まる。ここだけ掃除の途中のように机がすべて後ろに下げられている。
「聖治さん!」
「日向ちゃん、他の教室は?」
「ううん、こっちはないよ」
「相棒、他も見てきたがどこにもいないぜ?」
「そんな!」
どこにもいない? でも一花は確かに三階だと。
「行き違いかなぁ?」
「でもだぜ、玄関までの途中で会うはずだろう」
「もしかして、騙された?」
此方が尋ねる。可能性がないわけじゃない。だけどあの時の一花が嘘を言っていたようには見えない。
そう思うのは彼女のことを信じたいからなのか?
「聖治君!」
そこで香織に呼ばれる。見れば香織は教室の隅に立っておりそこでなにか見つけたようだ。
「これ」
それを手渡してくる。
「これは」
ハーモニカだ。間違いない、駆のものだ。
「ここにいたんだ。それに、駆がこれを置いていくはずがない。これはあいつにとって大事なものなんだ」
一花と上手くいかず悲しんでいた時屋上でよく吹いていた。このハーモニカを見る駆の目はとても思い入れのあるものだった。
「これだけここにあって、本人がいないってことは」
「まさか、リンボの中!?」
それだ。それしか思いつかない。
「どういうことだよ、あいつがお前のダチを解放したならここにいるはずだろ」
「分からない。でもあの時の一花は大怪我を負っていた。なにかしらのミスで駆を残してしまったのかも」
あくまで可能性だがないわけじゃない。
「もしそうなら待ってれば戻ってくるってこと?」
「そうならいいんだが」
日向ちゃんの言う通りならいいんだが。しかし安心できない。嫌な予感がする。
「おやおや、お集まりですか」
「誰だ!?」
女性の声だ。
教室の教壇。そこが赤く揺らめき始める。その揺らぎの中に人影が現れると揺れはなくなり人だけが残っていた。
「お前は」
二十代の女性だ。金髪のショートカット。雪のように肌は白く黒と白のボーダー柄のスーツを着ている。美人だ。細いシルエットにその目は妖艶な輝きを放っている。モデルでもトップクラスの綺麗さだ。赤い瞳が特徴的でその目が俺たちを見つめる。
「誰だ?」
突然ここに現れたということはこいつも悪魔召喚師か? 警戒するが彼女は優雅な身振りでおじぎをしている。
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