セブンスソード

奏せいや

49

 屋上から戻った後一限目の授業を終えてから俺はもう一度一花の教室を訪れてみた。そこで話を聞いたがやはり彼女は休みだった。駆のためにも早く問題を解決したいがさっそく手がかりを失ってしまった。

「どうしたものかな」

 一花がいない中どうやって情報を集めていくか。

 答えを出せないまま昼休憩を迎えてしまう。クラスメイトたちはいつものように席を合わせ昼食を始めていく。駆も今日はここで食べるようなので一緒に食べようと準備を進めていく。

「誰?」「すげー可愛いじゃん」「誰だろ? 別のクラスの子?」

 なにやら騒がしい。見れば男子たちの視線が入口に集中している。誰か来ているんだろうか?

 俺も誰かと振り向いてみる。

 そこにはなにやらそわそわしたした様子で中を伺う女の子が立っていた。男子たちが騒いでいるようにかなりの美人だ。

 というよりも、

「香織?」
「あ」

 香織も俺に気づく。

 どうして彼女がここに? 会う約束はしていなかったはず。それに彼女がここに来ることも今まではなかったのに。

 俺は席を立ち入口にまで近づいていく。

「あはは。こっちに来るの初めてだから、ちょっと緊張しちゃった」

 照れ隠しに笑っている。ぎこちない笑みでも彼女がすると可愛らしい。

「はあ!? あいつの知り合いかよ?」「なんであいつに?」「もしかして剣島君の彼女?」「えー、私狙ってたのに~」

 背後から声が聞こえてくる。

「んー?」

 クラスメイトたちからなにやら言われるが香織がジト目で見渡す。それで不満の声は沈静化していった。まあ、クラスでの俺の評価は決していいものじゃないからな。そんな反応も出る。

「もう」

 彼女は不満そうだが。

「それでええっと、俺に用なんだよな?」
「うん。今、大丈夫かな? 一緒に会いに行きたい人がいるんだけど」
「俺と?」
「話は歩きながらするから」
「分かった」

 話の内容は分からないがなにやら重要そうなことだ。

「駆、悪い。用事ができて、俺行かないと」

 駆はうんと頷いてくれた。事情は分かってくれているようだ。

 それで廊下に出る。香織と一緒に歩いていく。

「それで話の内容っていうのは? それに会いたい人って?」
「うん。実は私もいろいろと調べていたんだ。昨夜の出来事のこと」
「そうだったのか」

 さすがだな。おちゃらけた言動も多いがこういうところはしっかりしている。

 香織は周りを気にしながら小声で話しかけてきた。

「一花さんっていう女の子や戦ってた相手は直接知らないから。私はここ最近起きていたっていう動物の殺害事件、あれを調べてたの。何十匹もの遺体が見つかるなんて普通じゃ考えられないし。この問題と無関係とは思えないんだよね」
「俺もそう思う。数が多すぎる。今のところ俺たちは二人の悪魔召喚師を知っているけれど、数からしてもっといると思うし。それに悪魔召喚師が活動しているってことは、その猫や動物たちはきっと」

 悪魔を召喚するための儀式。そのためには生け贄が必要なのは容易に想像がつく。であるならば数十匹という異常な数字にも合点がいく。犠牲になった動物たちは悪魔を召喚するための生け贄にされた可能性が高い。

「だから、この事件を調べていけば悪魔召喚師に繋がるんじゃないかと思ったの。それで事件に詳しい人や、現場を目撃した人がいないか聞き込みしてたんだ」
「そうか」

 なるほど。頼りになる。

「それで、この学校に現場の発見者がいるって分かったの。今からその人に話を聞く約束になってるんだけど、聖治君もいた方がいいかと思って」
「事情は分かった。ありがとうな。香織はすごいよ」
「そんな! でも聖治君の役に立ててるなら嬉しいな」

 えへへと笑っている。なんだか懐かしいな、こうして二人で歩くの。

 それから俺たちは三年生の階へと移動した。先輩たちの階にまたも香織はそわそわしている。目当ての教室を見つけ扉を開けた。

「すみません、浅川さんはいますか?」
「はい」

 香織の呼びかけに一人の女性が応える。香織は失礼しますと言って教室に入っていった。俺も同じくあいさつしてから入室する。

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