セブンスソード

奏せいや

41

「あ」

 間に合わない。悪魔の鋭い爪が一花に伸びる。

「そこまでだ!」

 それを、黄金の一閃が切り裂いていた。

「あんた……」
「馬鹿な……!」

 異界の中にあってなお異常、悪魔を使役して戦う二人の戦場に現れたもう一人の異端。
 その人物は、

「転校生……」

 剣島聖治。黄色い剣を片手に彼は現れていた。今しがた切り伏せた悪魔が霧となって消えていく。

「なんであんたがここにいるの?」

 聖治の登場に二人は目を丸くしていた。あり得ない事態だ。どういうことか思考が追いつかない。

「駆、悪いがそこで下がっててくれ」
「え?」

 聖治の声に視線を動かす。

 校舎の入り口、そこに駆はいた。

「駆……」

 駆は二人を複雑な顔で見つめていた。心配と戸惑い、不安とそれでも二人のそばにいたいという気持ち。

 反対に一花の表情は萎んでいく。この場面を見られてしまった。悪魔を使う普通ではない存在だと知られてしまった。

 だが悲しむのは今じゃない。なぜ二人がここにいるのか、その疑問を考えるよりも一花は叫ぶ。

「駆逃げて! あんたも早く! どうにかなる相手じゃない!」
「…………」

 聖治の実力は一度戦ったから知っている。群れとはいえ眷属相手に手こずるようではこの戦いでは生き残れない。

 一花は逃げるように言うが、しかしもう一人の悪魔召喚師はそうではない。

「なぜここにいるかは知らないが」

 秋和の冷たい目が二人に向けられる。彼らは見てはいけないものを見てしまった。ならば消すしかない。もともと駆は一度殺そうとした相手だ。

「見られた以上、不運だったと諦めてくれ」

 口封じ。そのために秋和は悪魔の一体を聖治に向かわせた。宙を飛び真正面から襲い掛かる。

「危ない!」

 一花の叫びが響くももう遅い。悪魔の爪先は聖治の寸前まで迫っている。

 当たる。

「え?」

 だが直前、聖治の姿が消える。

 さらに直後、聖治は悪魔の背後に立ち、襲い掛かった悪魔は首が切断されていた。

 彼の手には黄色ではなく、水色の剣が握られている。

「エンデュラス」

 一体目が消える。だが隙だらけだ。背後から別の悪魔が飛びかかる。完全に死角、振り返ってからでは遅い。

「グラン」

 が、悪魔は突然地面に叩きつけられた。そのまま起き上がろうとするも地面に引っ張られ潰れていく。

 彼の持つ剣は緑色に変わっている。

「行け」

 秋和の命を受け十体以上の悪魔が襲い掛かる。前後左右、あらゆる方向から攻める複数攻撃。

 だが。

「カリギュラ」

 噴出する赤いオーラが飲み込む。それによって全滅していた。

 その色は赤に変わっている。

 聖治は無傷のまま立っていた。何度も襲い掛かる悪魔を返り討ちにして。異形の者たちを圧倒している。

「来い」

 そして初めて反撃に出る。聖治は赤い剣から新たな色に切り替える。

「ミリオット」

 その手に握られるのは白い聖剣。刀身が光を発し聖治は剣先を秋和に向ける。

 瞬間、光線が放たれた。

 宙を飛んでいた悪魔がミリオットの先端に飛びかかり壁になる。しかし一体では止まらず次々と悪魔が背後に回る。五体目の悪魔が壁となってようやくミリオットの光線は消えていった。あと少しで秋和に当たっていた。

「そんな! なによあいつ!?」

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