セブンスソード
10
一瞬も気が抜けない。一時も気が休まらない。そんな時間がずっと続いていく。ここにいるだけで、まるで戦場にいるみたいだ。
それでもなんとか耐えて、時間は昼休憩になっていた。みんなようやく訪れた休みに談笑しながら机を合わせている。平和そのものだ。各々楽しそうにしている。
そんな中、俺だけが世界が違うように浮いている。仕方がないとはいえ情けない。本当に……。
「よう」
そう思っている時だった。
聞き慣れた声が、隣から掛けられた。
振り返る。
そこにいたのは、星都と力也だった。
「あ」
白い髪をしてお調子者の皆森星都。今も声を掛けてきたのは星都であり気軽に接してくれる。
「なにぼーとしてんだ相棒、最も楽しい昼休憩の時間だぜ? さっさと行こうぜ」
「そうだよ聖治君、きっとみんな待ってるんだな」
続いて力也も話しかけてきた。
織田力也。大きな体にのんびりとした性格。とても仲間思いで優しいやつだ。彼も星都と同じで以前からの仲間でありこうして俺に話しかけてくれる。
「ああ、そうだな……」
俺は席から立った。不思議そうに見つめるクラスメイトの視線を受けながら教室から出て行く。きっとおかしなやつだって思っているんだろうな。
俺たちは教室を出たあと階段を上っていく。学校が変わっても変わらない、俺たちのお決まりとなった昼休憩の過ごし方。
屋上へ続く扉を開け俺たちは外へ出る。晴れた天気から降り注ぐ日光が視界を白く染めていく。
その光の先。
そこに、みんなはいた。
屋上で食事をしているいくつものグループの一つに三人はいた。
安神此方。学年が一つしたの日向ちゃん。そして、
「あ」
扉が開いた音に振り返る。桃色の髪が揺れるとともにその女の子は俺を見つける。
「ようやく来た」
そして、とびっきりの笑顔で迎えてくれた。
沙城香織。ずっと昔から俺を支えてくれた女性が笑顔で俺を見つめている。
「ごめん、遅れちゃったな」
屋上ははじめから解放された場所で長椅子などが端に置かれている。三人は一つの椅子に並んで座っていた。膝にブランケットをかけ弁当を持参している。
「ううん、そんなことないよ。席取っておいたから。一人分だけだけど」
申し訳なさそうな顔をする。椅子は四人用で香織の隣が空いている。
俺は顔を振った。
「そんなことで謝らなくていいよ。ありがとうな」
「相棒、座れよ」
「いいのか?」
「俺らが座れるわけねえだろ」
まあ、それもそうか。
俺は香織の隣に腰掛け星都と力也は床に座り込む。屋上の地べただがそこは気にしない。まあ、そこは男子だしな。俺も正直に言うとそこは気にしない。
星都が三人を見る。
「なんだ、まだ食ってなかったのか」
「あんたたちを待ってたんでしょうが」
口先を鋭くして言うのは安神此方。赤いロングヘヤーが特徴で毛先は少しパーマが掛かっている。性格はややツンツンしているけれどいつも冷静で妹思いないいお姉さんだ。
「ていうか女子を待たせるとかサイテーなんですけど?」
その隣にいる白い髪をした女の子が妹の安神日向ちゃんだ。
俺たちよりも一つ年下の女の子でいつも活気があって元気な女の子だ。サイドテールの髪型でこの中で一番小柄なのもあるがとても可愛らしい。勝ち気な性格でたまに星都と衝突することもあるけれど。
「ああ? しゃーねえだろ売店に寄ってから来てるんだから。この時間しか開いてないの知ってるだろ」
「そんなのコンビニで先に買ってくればいいじゃん。すぐ言い訳するんだから」
「はあ!? なんで俺らがお前等に合わせなきゃならないんだよ。別にお前等も先に食ってればいいじゃねえか」
「はいはい、もうそこら辺でいいでしょ。あんたたちいつもそれなんだから」
「喧嘩するほど仲がいいって言うし、きっと二人は仲良しなんだなあ」
「ちげーよ!」
「ちがうし!」
「息ぴったりじゃない」
「ふふふ」
星都と日向ちゃんのドタバタに呑気な力也、それを冷静に突っ込む此方とそれを端から見て微笑む香織。
俺たちの昼食はいつもこんな感じだ。もうなんだかそれが決まりのように各々の役割を演じている。そう思えるくらいキャラクターがはまっていた。なんだかんだ、みんな仲が本当にいいんだよな。星都や日向ちゃんだって心を許しているからお互いいじり合えるんだし。
そんなみんなを見て、俺は静かに微笑んでいた。
「はい、聖治君。今日の分」
香織から弁当箱を手渡される。香織はピンク色の弁当箱で俺は青色。色違いのお揃いの弁当箱だ。いつも香織は俺の分まで昼食を作って持ってきてくれる。
「ありがとう」
「うん」
せめてものお礼の言葉。それだけでしかないのに香織は嬉しそうに笑っている。
「いただきます」
俺は弁当箱の蓋を開け食べ始めた。みんなはまた星都と日向ちゃんが抗争を始めコントみたいに盛り上がっている。
そんな中、俺と香織は二人で話をしている。
「どう、今日はいつもと味を変えてみたんだけど」
「うん、前のも好きだったけど今日のもおいしいよ。変えたのは調味料?」
「うん。こないだネットで新しい作り方のレシピを紹介しててね、それを参考にしてみたんだ」
「香織は勉強熱心だな、尊敬するよ」
「そんな。私が好きでやってることだし言い過ぎだよ」
照れている香織も可愛らしい。こんな素敵な人と一緒にいられるなんて、俺は本当に恵まれているよな。
香織。ずっと俺の隣にいて、俺を支えてくれたひと。彼女を救うために俺は今までを頑張ってきた。
長い、長い間をずっと。俺は一人で戦ってきた。いつ襲われるか分からない場所で、ずっと一人だった。
また、やつらが来たら?
また、襲われることがあったら?
もしそれが現実となったら?
それでもなんとか耐えて、時間は昼休憩になっていた。みんなようやく訪れた休みに談笑しながら机を合わせている。平和そのものだ。各々楽しそうにしている。
そんな中、俺だけが世界が違うように浮いている。仕方がないとはいえ情けない。本当に……。
「よう」
そう思っている時だった。
聞き慣れた声が、隣から掛けられた。
振り返る。
そこにいたのは、星都と力也だった。
「あ」
白い髪をしてお調子者の皆森星都。今も声を掛けてきたのは星都であり気軽に接してくれる。
「なにぼーとしてんだ相棒、最も楽しい昼休憩の時間だぜ? さっさと行こうぜ」
「そうだよ聖治君、きっとみんな待ってるんだな」
続いて力也も話しかけてきた。
織田力也。大きな体にのんびりとした性格。とても仲間思いで優しいやつだ。彼も星都と同じで以前からの仲間でありこうして俺に話しかけてくれる。
「ああ、そうだな……」
俺は席から立った。不思議そうに見つめるクラスメイトの視線を受けながら教室から出て行く。きっとおかしなやつだって思っているんだろうな。
俺たちは教室を出たあと階段を上っていく。学校が変わっても変わらない、俺たちのお決まりとなった昼休憩の過ごし方。
屋上へ続く扉を開け俺たちは外へ出る。晴れた天気から降り注ぐ日光が視界を白く染めていく。
その光の先。
そこに、みんなはいた。
屋上で食事をしているいくつものグループの一つに三人はいた。
安神此方。学年が一つしたの日向ちゃん。そして、
「あ」
扉が開いた音に振り返る。桃色の髪が揺れるとともにその女の子は俺を見つける。
「ようやく来た」
そして、とびっきりの笑顔で迎えてくれた。
沙城香織。ずっと昔から俺を支えてくれた女性が笑顔で俺を見つめている。
「ごめん、遅れちゃったな」
屋上ははじめから解放された場所で長椅子などが端に置かれている。三人は一つの椅子に並んで座っていた。膝にブランケットをかけ弁当を持参している。
「ううん、そんなことないよ。席取っておいたから。一人分だけだけど」
申し訳なさそうな顔をする。椅子は四人用で香織の隣が空いている。
俺は顔を振った。
「そんなことで謝らなくていいよ。ありがとうな」
「相棒、座れよ」
「いいのか?」
「俺らが座れるわけねえだろ」
まあ、それもそうか。
俺は香織の隣に腰掛け星都と力也は床に座り込む。屋上の地べただがそこは気にしない。まあ、そこは男子だしな。俺も正直に言うとそこは気にしない。
星都が三人を見る。
「なんだ、まだ食ってなかったのか」
「あんたたちを待ってたんでしょうが」
口先を鋭くして言うのは安神此方。赤いロングヘヤーが特徴で毛先は少しパーマが掛かっている。性格はややツンツンしているけれどいつも冷静で妹思いないいお姉さんだ。
「ていうか女子を待たせるとかサイテーなんですけど?」
その隣にいる白い髪をした女の子が妹の安神日向ちゃんだ。
俺たちよりも一つ年下の女の子でいつも活気があって元気な女の子だ。サイドテールの髪型でこの中で一番小柄なのもあるがとても可愛らしい。勝ち気な性格でたまに星都と衝突することもあるけれど。
「ああ? しゃーねえだろ売店に寄ってから来てるんだから。この時間しか開いてないの知ってるだろ」
「そんなのコンビニで先に買ってくればいいじゃん。すぐ言い訳するんだから」
「はあ!? なんで俺らがお前等に合わせなきゃならないんだよ。別にお前等も先に食ってればいいじゃねえか」
「はいはい、もうそこら辺でいいでしょ。あんたたちいつもそれなんだから」
「喧嘩するほど仲がいいって言うし、きっと二人は仲良しなんだなあ」
「ちげーよ!」
「ちがうし!」
「息ぴったりじゃない」
「ふふふ」
星都と日向ちゃんのドタバタに呑気な力也、それを冷静に突っ込む此方とそれを端から見て微笑む香織。
俺たちの昼食はいつもこんな感じだ。もうなんだかそれが決まりのように各々の役割を演じている。そう思えるくらいキャラクターがはまっていた。なんだかんだ、みんな仲が本当にいいんだよな。星都や日向ちゃんだって心を許しているからお互いいじり合えるんだし。
そんなみんなを見て、俺は静かに微笑んでいた。
「はい、聖治君。今日の分」
香織から弁当箱を手渡される。香織はピンク色の弁当箱で俺は青色。色違いのお揃いの弁当箱だ。いつも香織は俺の分まで昼食を作って持ってきてくれる。
「ありがとう」
「うん」
せめてものお礼の言葉。それだけでしかないのに香織は嬉しそうに笑っている。
「いただきます」
俺は弁当箱の蓋を開け食べ始めた。みんなはまた星都と日向ちゃんが抗争を始めコントみたいに盛り上がっている。
そんな中、俺と香織は二人で話をしている。
「どう、今日はいつもと味を変えてみたんだけど」
「うん、前のも好きだったけど今日のもおいしいよ。変えたのは調味料?」
「うん。こないだネットで新しい作り方のレシピを紹介しててね、それを参考にしてみたんだ」
「香織は勉強熱心だな、尊敬するよ」
「そんな。私が好きでやってることだし言い過ぎだよ」
照れている香織も可愛らしい。こんな素敵な人と一緒にいられるなんて、俺は本当に恵まれているよな。
香織。ずっと俺の隣にいて、俺を支えてくれたひと。彼女を救うために俺は今までを頑張ってきた。
長い、長い間をずっと。俺は一人で戦ってきた。いつ襲われるか分からない場所で、ずっと一人だった。
また、やつらが来たら?
また、襲われることがあったら?
もしそれが現実となったら?
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