セブンスソード

奏せいや

229

「俺か?」
「あったりめーだろ、逆に誰がいるんだよ」
「それは」
「そうだよ聖治君」

 香織までそう言ってくる。

 そう言われればそうかもしれんが。

「えーと、ここにはいないが、兄さんとか」

 団長の条件がなにかは知らないが強さだけなら兄さんだってそうだ。あの人はハードライトにだって勝ったんだし十分有資格者だ。

「それはそうだが。まあ、その内の二人のどちらかだろうな」
「それで、けっきょく私たちはどうすればいいの?」

 日向ちゃんが聞いてくる。俺たちがすることといえば、

「とりあえず、今は待つ、ってことだな」
「そっか~」

 日向ちゃんは体勢を崩した。

「待ってるだけなんてつまんないけど、仕方がないかあ~」
「その分、その時がきたら暴れればいいさ」
「ふふ~ん、頑張っちゃうからちゃんと見ててよね?」
「分かってるよ」

 そこでチャイムが鳴り始めた。昼休憩ももう終わりだ。

「そろそろ戻らないとな」

 みんな立ち上がる。みんなと話ができて改めて気が引き締まった。それに今後の方針も明確になれてよかった。こうしたのも仲間がいてくれたからだよな。

「ちょっと待て」

 そこで星都が言い出した。なにか警戒しているようだ。

「どうした」
「この感じ……」

 星都は屋上の一角を見つめているがこれといってなにもないが、なにかあるのか?

 瞬間だった、学校から人の声が消えていった。グランドにいた生徒たちも消えていく。

「結界!? 馬鹿な!」

 人が消えるのはセブンスソードの結界だ。でもあり得ない!

「セブンスソードは終わったはずだろ!?」
「なにかが近づいてる、みんな気をつけて」

 香織に言われみなが辺りを見渡し警戒している。

「気をつけろ、来るぞ!」

 そう言って星都はエンデュラスを取り出した。それで全員がその一角を注目する。

 なにもない空間。そこが突如揺れ出した。その場所だけが引っ張られたように伸びたかと思えば今度は縮み空間が収縮と膨張を繰り返している。

 その中心に光が現れる。小さかったそれは一気に大きくなり弾けた。

「なんだ!?」

 まぶしい。だがそれも一瞬のことで光はなくなり空間の異変もなくなっている。

 そこにいたのは、

「悪魔だと!?」

 人型の、悪魔だった。

 二メートル近い体躯に黒い体。二つの翼を有し鋭い眼光を放っている。

「なんだ、こいつ」

 見たことがない悪魔だ。そもそもどうしてここに現れた!?

「みんな構えろ!」

 スパーダを取り出し構える。まさかこの時代に出てくるなんて。それにこのタイミングで。

 星都だけでなく力也や日向ちゃん、此方もスパーダを出し警戒する。香織もディンドランを構えた。

 どうするつもりだ? ここで戦うつもりか?

 いきなりのことに整理が付かない。

 悪魔といえば肩を大きく動かしながら立っているだけだ。俯いていた顔を上げ俺たちを見渡してくる。ゆっくりと顔が動いていく。

 その顔が俺で止まった。

 俺が狙いか? いや、微妙に目線がズレている。俺じゃない。

 振り返る。そこにいたのは香織だった。

 まさか、香織を見ているのか?

 すると悪魔が踏み込み俺たちに向かってきた。速い。体はでかいのに一瞬で間合いに入られる。

「させるかあ!」

 接近する悪魔にホーリーカリスを振るう。

 が、悪魔は刀身を片手で掴んできた。

「なッ」

 ホーリーカリスを握られたまま投げられる。床に激突し転がる。

「香織!」

 悪魔が香織に手を伸ばす。

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