セブンスソード
215
だが兄さんは違った。
兄さんの体が消えてはすぐに現れる。重力の上昇は広範囲だ、どこに現れても逃げられない。
だが体勢がわずかによくなっている。
さらに兄さんの体が消えすぐに現れる。体の回転はさらににぶくなっていた。
空間転移は別空間に移動できるがその際慣性の法則までは転移しない。例えるなら投げたボールを空間転移したら現れた瞬間地面に落ちる。
兄さんはそれを利用し体の回転を一旦リセットしているんだ。それを繰り返し体勢を整えている。
そして数度目の空間転移で地面の上に現れると天黒魔を振り抜き多元攻撃してくる。仕方がなくディンドランで防ぐことで重力は元に戻る。
兄さんは道路に着地しゆっくりと立ち上がっていた。
そこに怪我はなくホッとした気の緩みもない。
いつも通りの兄さんだ。
「どうした、こそこそ狙い撃ちなんてあんたらしくないな。それとも俺が怖いのか? 手が震えてたら刀を取りこぼすぜ?」
「お前こそどうした、虚勢を張らねば平静さも保てんか?」
「…………」
「…………」
直後、俺たちは斬り合った。
強い、けれど越えなくちゃいけない。いつまでもこの人に守ってもらう俺じゃ駄目なんだ。
「エンデュラス!」
エンデュラスで切りかかり、
「グラン!」
グランで押し、
「ディンドラン!」
カウンターをディンドランで防ぎ、
「カリギュラ!」
回避する動きをカリギュラで覆い、
「ミリオットォオオオ!」
離脱した後をミリオットで狙い撃つ!
だがそれすらもかわされてしまう。
「くそ!」
兄さんは空間転移ですぐさに居場所を変えてくる。これをなんとかしなければ俺に勝ち目はない。
俺はエンデュラスに切り替えた。
追いかけるばかりでは追いつけない。ならばその先、今ではなく未来を見る。
エンデュラスは時間の操作。それは加速だけじゃない。これから起こる未来まで観測する!
目まぐるしく現在と未来が回っていく。俺は未来に照準を向け、ミリオットを撃った。
放たれた光線の先にはなにもない。だが、次の瞬間兄さんが現れた。
「!」
ミリオットがついに当たる。中空に現れた兄さんはミリオットを刀身で受けるもののそのまま背後にあるビルに激突した。それを見てすぐさに強化した体で飛びかかる。
ミリオットを一閃する。兄さんは上空に転移しており俺も壁を蹴って追いかけた。
互いに剣をぶつけながらビル壁面を走り上へと進んでいく。上空高くまで伸びる高層ビルを戦いながら登っていく。気付けば数十メートルも進んでいた。
「ふん!」
兄さんの多元攻撃が紫の線を生む。俺はディンドランに切り替える。刀なのに間合いを選ばない攻撃方法、いちいち能力が厄介だ。
が、足が壁から離れてしまった。
攻撃は防げたがミリオットの強化がなくなり落下してしまう。
どうする、どうすればいい?
俺はグランに切り替えた。
重力の影響を受けない。それを自身にかけ落下を止める。さらに引力を使って自分をビルに引き寄せ着地する。よし、これならいける。
俺はエンデュラスに切り替えた後ビルを蹴り宙に飛ぶとミリオットを照射した。兄さんの動きを予測した光線は命中し兄さんは窓を突き破りビルの中へと入っていった。俺もグランの引力を使って中へと入る。
オフィスビルの中だったのかそこにはいくつもの席とパソコンが並んでいた。夜なので電気はなく薄暗い。
そこに兄さんは居合いの構えで俺を待ちかまえていた。
まずい!
全身に危機感が走る。直感で分かる。これは、
「刹那斬り」
絶好のタイミングでのカウンター、今まで多くの死闘を勝利に導いた兄さんの必殺技。
もし、今までの世界で兄さんと一緒にいなければ俺は間違いなく死んでいた。
「ディンドラン!」
空間を無尽に切り裂く多元と必殺の斬撃。
あらゆる攻撃を防ぐ守護の桜光(おうこう)。
兄さんの体が消えてはすぐに現れる。重力の上昇は広範囲だ、どこに現れても逃げられない。
だが体勢がわずかによくなっている。
さらに兄さんの体が消えすぐに現れる。体の回転はさらににぶくなっていた。
空間転移は別空間に移動できるがその際慣性の法則までは転移しない。例えるなら投げたボールを空間転移したら現れた瞬間地面に落ちる。
兄さんはそれを利用し体の回転を一旦リセットしているんだ。それを繰り返し体勢を整えている。
そして数度目の空間転移で地面の上に現れると天黒魔を振り抜き多元攻撃してくる。仕方がなくディンドランで防ぐことで重力は元に戻る。
兄さんは道路に着地しゆっくりと立ち上がっていた。
そこに怪我はなくホッとした気の緩みもない。
いつも通りの兄さんだ。
「どうした、こそこそ狙い撃ちなんてあんたらしくないな。それとも俺が怖いのか? 手が震えてたら刀を取りこぼすぜ?」
「お前こそどうした、虚勢を張らねば平静さも保てんか?」
「…………」
「…………」
直後、俺たちは斬り合った。
強い、けれど越えなくちゃいけない。いつまでもこの人に守ってもらう俺じゃ駄目なんだ。
「エンデュラス!」
エンデュラスで切りかかり、
「グラン!」
グランで押し、
「ディンドラン!」
カウンターをディンドランで防ぎ、
「カリギュラ!」
回避する動きをカリギュラで覆い、
「ミリオットォオオオ!」
離脱した後をミリオットで狙い撃つ!
だがそれすらもかわされてしまう。
「くそ!」
兄さんは空間転移ですぐさに居場所を変えてくる。これをなんとかしなければ俺に勝ち目はない。
俺はエンデュラスに切り替えた。
追いかけるばかりでは追いつけない。ならばその先、今ではなく未来を見る。
エンデュラスは時間の操作。それは加速だけじゃない。これから起こる未来まで観測する!
目まぐるしく現在と未来が回っていく。俺は未来に照準を向け、ミリオットを撃った。
放たれた光線の先にはなにもない。だが、次の瞬間兄さんが現れた。
「!」
ミリオットがついに当たる。中空に現れた兄さんはミリオットを刀身で受けるもののそのまま背後にあるビルに激突した。それを見てすぐさに強化した体で飛びかかる。
ミリオットを一閃する。兄さんは上空に転移しており俺も壁を蹴って追いかけた。
互いに剣をぶつけながらビル壁面を走り上へと進んでいく。上空高くまで伸びる高層ビルを戦いながら登っていく。気付けば数十メートルも進んでいた。
「ふん!」
兄さんの多元攻撃が紫の線を生む。俺はディンドランに切り替える。刀なのに間合いを選ばない攻撃方法、いちいち能力が厄介だ。
が、足が壁から離れてしまった。
攻撃は防げたがミリオットの強化がなくなり落下してしまう。
どうする、どうすればいい?
俺はグランに切り替えた。
重力の影響を受けない。それを自身にかけ落下を止める。さらに引力を使って自分をビルに引き寄せ着地する。よし、これならいける。
俺はエンデュラスに切り替えた後ビルを蹴り宙に飛ぶとミリオットを照射した。兄さんの動きを予測した光線は命中し兄さんは窓を突き破りビルの中へと入っていった。俺もグランの引力を使って中へと入る。
オフィスビルの中だったのかそこにはいくつもの席とパソコンが並んでいた。夜なので電気はなく薄暗い。
そこに兄さんは居合いの構えで俺を待ちかまえていた。
まずい!
全身に危機感が走る。直感で分かる。これは、
「刹那斬り」
絶好のタイミングでのカウンター、今まで多くの死闘を勝利に導いた兄さんの必殺技。
もし、今までの世界で兄さんと一緒にいなければ俺は間違いなく死んでいた。
「ディンドラン!」
空間を無尽に切り裂く多元と必殺の斬撃。
あらゆる攻撃を防ぐ守護の桜光(おうこう)。
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