セブンスソード
211
全能とは因果律の操作か世界改変のこと。
兄さんは因果律を操作して俺を斬り殺した。だがパーシヴァルの能力によってその因果が修正されたことで俺が死んだという事実そのものがなくなった。俺が斬られた事実がなくなったことで俺は生きているし斬られてもいない。
それがパーシヴァルの全段階能力解放の力。
俺に全能は通じない!
「神殺し……。スパーダは設計された能力(デザイナーズ・エフェクト)だがそこまで見越していたか」
普通、勝利を確信した後にそれが違ったと知れば驚いたり落胆したりする。それが命のやりとりならなおさらだ。だが、この人にそんな隙はない。
「セブンスソードの終わりにしては呆気ないと思ったところだ、その心配はなさそうだな」
「勝負はここからだぜ、魔来名」
これで兄さんの能力、その一つを封じたことになる。
だが油断はできない。管理人を三人倒したということはまだ二つ能力を持っている。
それに、この人の強さは能力だけで計れるものじゃない。そうでなければ最初の段階で管理人は倒せない。
「ここでは狭い。場所を移すぞ」
兄さんが歩き出す。そう言われ俺も歩き出した。
「聖治君……」
「俺たちも行くぞ」
「うん」
水戸市のここは都会だ。空に伸びる摩天楼、高層ビルが立ち並び多くの車が行き交うように道路も広く作られている。夜ではあるがビルに取り付けられた赤い光や歩道の街灯、店の明かりが照らし出している。
その一カ所にあるスクランブル交差点に俺と兄さんは立っていた。歩道の白線が十字に交わり四角にかたどられたこの場所はまるで予め用意されていた決闘場のようだ。
俺たちは正面に向き合い互いを見つめている。
ここにきて、もう話すことはない。相手はセブンスソードを戦い抜くと決めている魔堂魔来名。どれだけ言ったところで意味なんてない。そして、俺も譲る気なんてない。
戦って決めるしかないんだ。
俺はホーリーカリスを構え、兄さんも天黒魔を構えた。無人の町の静寂が俺たちの戦場を包み込む。
「…………」
「…………」
無言。時間さえ止まった気がした。雑念もなく、この瞬間に集中する。
今が、すべてだ。
「ふん!」
兄さんが動く。天黒魔を抜刀しその場で振り抜いたのだ。俺たちの距離はまだある、空振りだ。
しかし本当の刃は別。
俺の周囲でいくつもの斬撃が起こる。多元同時攻撃。平行世界で行われた攻撃をこの世界に重ねる次元操作。いくつもの攻撃が同時に起こり一本の剣では防げない。
だが、守る術ならある!
「ディンドラン!」
ホーリーカリスの刀身が桃色一色に変化した。
それは守護の盾。防御に特化したスパーダを使い俺の周囲にピンクのバリアが張られ攻撃を弾く!
「ち」
バリアは消え兄さんの攻撃は不発に終わる。
ならば今度はこちらの番だ。
ホーリーカリスの色が変わる。それは水色。
「エンデュラス!」
時間を操作する光帝剣の力。それを使い高速で駆けつける。周囲の光景が背後に消えていき兄さんの前に立つ。そのままホーリーカリスで切りつけた。
「なに!?」
が、そこに兄さんはいなかった。一瞬で姿が消えさらに後方に立っている。
移動した? 違う。エンデュラスですら追いつけない速度で移動したわけじゃない。
「空間転移かッ」
納刀したまま兄さんがゆっくりと歩いてくる。次の瞬間姿が消え右、左と現れては消えていく。またも姿が消えいなくなった。
どこだ? 周囲にはいない。
そこで頭上を見た。
いた。兄さんは俺の上空に現れ両手で握った天黒魔を振り下ろすところだった。
降下しながらの兜割り。重い。受ければこちらがやられる。
だが、力なら俺にもある。それを司る力が。
ホーリーカリスの光が緑に変わる!
兄さんは因果律を操作して俺を斬り殺した。だがパーシヴァルの能力によってその因果が修正されたことで俺が死んだという事実そのものがなくなった。俺が斬られた事実がなくなったことで俺は生きているし斬られてもいない。
それがパーシヴァルの全段階能力解放の力。
俺に全能は通じない!
「神殺し……。スパーダは設計された能力(デザイナーズ・エフェクト)だがそこまで見越していたか」
普通、勝利を確信した後にそれが違ったと知れば驚いたり落胆したりする。それが命のやりとりならなおさらだ。だが、この人にそんな隙はない。
「セブンスソードの終わりにしては呆気ないと思ったところだ、その心配はなさそうだな」
「勝負はここからだぜ、魔来名」
これで兄さんの能力、その一つを封じたことになる。
だが油断はできない。管理人を三人倒したということはまだ二つ能力を持っている。
それに、この人の強さは能力だけで計れるものじゃない。そうでなければ最初の段階で管理人は倒せない。
「ここでは狭い。場所を移すぞ」
兄さんが歩き出す。そう言われ俺も歩き出した。
「聖治君……」
「俺たちも行くぞ」
「うん」
水戸市のここは都会だ。空に伸びる摩天楼、高層ビルが立ち並び多くの車が行き交うように道路も広く作られている。夜ではあるがビルに取り付けられた赤い光や歩道の街灯、店の明かりが照らし出している。
その一カ所にあるスクランブル交差点に俺と兄さんは立っていた。歩道の白線が十字に交わり四角にかたどられたこの場所はまるで予め用意されていた決闘場のようだ。
俺たちは正面に向き合い互いを見つめている。
ここにきて、もう話すことはない。相手はセブンスソードを戦い抜くと決めている魔堂魔来名。どれだけ言ったところで意味なんてない。そして、俺も譲る気なんてない。
戦って決めるしかないんだ。
俺はホーリーカリスを構え、兄さんも天黒魔を構えた。無人の町の静寂が俺たちの戦場を包み込む。
「…………」
「…………」
無言。時間さえ止まった気がした。雑念もなく、この瞬間に集中する。
今が、すべてだ。
「ふん!」
兄さんが動く。天黒魔を抜刀しその場で振り抜いたのだ。俺たちの距離はまだある、空振りだ。
しかし本当の刃は別。
俺の周囲でいくつもの斬撃が起こる。多元同時攻撃。平行世界で行われた攻撃をこの世界に重ねる次元操作。いくつもの攻撃が同時に起こり一本の剣では防げない。
だが、守る術ならある!
「ディンドラン!」
ホーリーカリスの刀身が桃色一色に変化した。
それは守護の盾。防御に特化したスパーダを使い俺の周囲にピンクのバリアが張られ攻撃を弾く!
「ち」
バリアは消え兄さんの攻撃は不発に終わる。
ならば今度はこちらの番だ。
ホーリーカリスの色が変わる。それは水色。
「エンデュラス!」
時間を操作する光帝剣の力。それを使い高速で駆けつける。周囲の光景が背後に消えていき兄さんの前に立つ。そのままホーリーカリスで切りつけた。
「なに!?」
が、そこに兄さんはいなかった。一瞬で姿が消えさらに後方に立っている。
移動した? 違う。エンデュラスですら追いつけない速度で移動したわけじゃない。
「空間転移かッ」
納刀したまま兄さんがゆっくりと歩いてくる。次の瞬間姿が消え右、左と現れては消えていく。またも姿が消えいなくなった。
どこだ? 周囲にはいない。
そこで頭上を見た。
いた。兄さんは俺の上空に現れ両手で握った天黒魔を振り下ろすところだった。
降下しながらの兜割り。重い。受ければこちらがやられる。
だが、力なら俺にもある。それを司る力が。
ホーリーカリスの光が緑に変わる!
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