セブンスソード
206
それから学校は終わり俺たちは港町に向かっていた。電車で最寄りの駅から歩いて行く。
しかし、そこには誰もいなかった。
「いない?」
夕日の赤色に照らされて建物の影が延びる。そこには俺や兄さんが以前の世界で寝泊まりした建物もあったが中には誰もいなかった。
「おいおい、話と違うじゃねえか。相棒、本当にここで合ってるのか?」
「間違いない」
さすがの俺だって自分がいた建物くらい分かる。だけどここには誰かがいた痕跡はあるが肝心の本人がいなかった。きっと場所を移したんだ。
「どういうことかな」
「分からない」
香織に聞かれるがあいにくと俺も分からない。兄さんはどこに行ったんだ?
「ここにいたのは間違いないんだ。けれどいないということは俺を探して町に向かったのかもしれない」
「すれ違いってことか?」
「たぶん。そういうことじゃないかな」
「せっかく会えると思ったのに、残念だねぇ」
「ああ」
今までが順調だったからそのままの気分でいたがここで躓(つまづ)くことになるとは。ここにいない以上他には新都しかないわけだが手がかりがないんじゃ……。
すると此方が走ってやってきた。
「みんな、すぐに来て!」
星都と力也と顔を合わせる。俺たちはすぐに外に出た。
建物の外に出て道を走るとそこには日向ちゃんが立っていた。足下を見ていたが俺たちが来て振り返る。
「聖治さん、これ」
そう言って日向ちゃんは再び地面へと顔を向けた。
「これは」
そこに広がるものが目に入る。夕焼けに混じって赤い色の液体が地面についていた。
「血だ」
大量の血がこぼれている。人一人がここで殺されたんだ。
「聖治さん」
日向ちゃんに言われ俺はさらに別の場所を見てみる。
「これは」
そこには、同じように血が広がっていた。血がついた場所が三カ所もある。
「そんな、ここでなにが」
「魔来名が襲撃されたのは間違いなさそうだ。じゃなきゃこんな風にはならねえし」
「でも、だとしたら襲撃される理由がないわ。まだ期限には余裕があるしお兄さんが聖治君を置いて逃げ出すとも考えづらいし」
「…………」
分からない。いったいなにが起きているんだ?
「とりあえず、周囲は探したけれどお兄さんはいなかった。管理人に襲撃されたんだから避難したと考えるのが普通よ。傷を負っているなら私のディンドランの力がいるし、そうなれば行き先は」
「新都か」
やはり行き違いか。くそ!
「早く戻ろう! 手遅れになる前に!」
俺は走った。それに続いてみんなも走る。
間に合ってくれ!
俺たちは来た道を戻り水戸駅へと着いていた。改札を通り外に出る。すでに辺りは夕日から夜に変わっており街灯が点いている。
「急がないと。怪我を負ってるなら治療しないと、じゃないと前みたいにッ」
血だらけで立つ兄さんの姿が脳裏にフラッシュバックする。
「くそ!」
油断していた。兄さん一人なら管理人に襲撃される理由がないと勝手に思っていたがパーシヴァルを使えば世界は変わる。なにが起こるかなんて分からないのはこれまでのことで知っていたのに。
「でも聖治さん、探すにしたってどこを探すつもりなの? 新都だって広いしなにか手がかりがないと」
「そんなの、とりあえず手分けして走り回るしか」
「落ち着いて聖治、そんなので見つかるわけないでしょ。六人しかいないんだから的は絞らないと。あんたと魔来名、ゆかりのある場所って港町以外になにかないの?」
「俺と兄さんの?」
此方にそう言われるが、俺と兄さんの場所なんて現代でいったら……。
「おい」
そこで星都が声を掛けてきた。
「待ってくれ星都、今兄さんが行きそうな場所を考えてるんだ」
「そうじゃねえ、気付かねえのかよ」
「え?」
しかし、そこには誰もいなかった。
「いない?」
夕日の赤色に照らされて建物の影が延びる。そこには俺や兄さんが以前の世界で寝泊まりした建物もあったが中には誰もいなかった。
「おいおい、話と違うじゃねえか。相棒、本当にここで合ってるのか?」
「間違いない」
さすがの俺だって自分がいた建物くらい分かる。だけどここには誰かがいた痕跡はあるが肝心の本人がいなかった。きっと場所を移したんだ。
「どういうことかな」
「分からない」
香織に聞かれるがあいにくと俺も分からない。兄さんはどこに行ったんだ?
「ここにいたのは間違いないんだ。けれどいないということは俺を探して町に向かったのかもしれない」
「すれ違いってことか?」
「たぶん。そういうことじゃないかな」
「せっかく会えると思ったのに、残念だねぇ」
「ああ」
今までが順調だったからそのままの気分でいたがここで躓(つまづ)くことになるとは。ここにいない以上他には新都しかないわけだが手がかりがないんじゃ……。
すると此方が走ってやってきた。
「みんな、すぐに来て!」
星都と力也と顔を合わせる。俺たちはすぐに外に出た。
建物の外に出て道を走るとそこには日向ちゃんが立っていた。足下を見ていたが俺たちが来て振り返る。
「聖治さん、これ」
そう言って日向ちゃんは再び地面へと顔を向けた。
「これは」
そこに広がるものが目に入る。夕焼けに混じって赤い色の液体が地面についていた。
「血だ」
大量の血がこぼれている。人一人がここで殺されたんだ。
「聖治さん」
日向ちゃんに言われ俺はさらに別の場所を見てみる。
「これは」
そこには、同じように血が広がっていた。血がついた場所が三カ所もある。
「そんな、ここでなにが」
「魔来名が襲撃されたのは間違いなさそうだ。じゃなきゃこんな風にはならねえし」
「でも、だとしたら襲撃される理由がないわ。まだ期限には余裕があるしお兄さんが聖治君を置いて逃げ出すとも考えづらいし」
「…………」
分からない。いったいなにが起きているんだ?
「とりあえず、周囲は探したけれどお兄さんはいなかった。管理人に襲撃されたんだから避難したと考えるのが普通よ。傷を負っているなら私のディンドランの力がいるし、そうなれば行き先は」
「新都か」
やはり行き違いか。くそ!
「早く戻ろう! 手遅れになる前に!」
俺は走った。それに続いてみんなも走る。
間に合ってくれ!
俺たちは来た道を戻り水戸駅へと着いていた。改札を通り外に出る。すでに辺りは夕日から夜に変わっており街灯が点いている。
「急がないと。怪我を負ってるなら治療しないと、じゃないと前みたいにッ」
血だらけで立つ兄さんの姿が脳裏にフラッシュバックする。
「くそ!」
油断していた。兄さん一人なら管理人に襲撃される理由がないと勝手に思っていたがパーシヴァルを使えば世界は変わる。なにが起こるかなんて分からないのはこれまでのことで知っていたのに。
「でも聖治さん、探すにしたってどこを探すつもりなの? 新都だって広いしなにか手がかりがないと」
「そんなの、とりあえず手分けして走り回るしか」
「落ち着いて聖治、そんなので見つかるわけないでしょ。六人しかいないんだから的は絞らないと。あんたと魔来名、ゆかりのある場所って港町以外になにかないの?」
「俺と兄さんの?」
此方にそう言われるが、俺と兄さんの場所なんて現代でいったら……。
「おい」
そこで星都が声を掛けてきた。
「待ってくれ星都、今兄さんが行きそうな場所を考えてるんだ」
「そうじゃねえ、気付かねえのかよ」
「え?」
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