セブンスソード
203
香織は弁当箱を両手で持ちなにやら言いにくそうに俯いている。いったいなんだろうか。
「力也、俺たちはさきに行ってようぜ」
「うん、そうしようか」
「おい、行くのか?」
「お前は沙城と話つけてこい」
星都は俺の肩を叩くと力也と一緒に教室の外へと行ってしまった。
もしかして、気を遣ってくれたのか?
俺たちは向かい合った。
「あのね」
香織が見上げてくる。ちょっと気合いの入った表情。そんな目で見つめられちょっとドキっとしてしまう。
「お昼なんだけど、よければ一緒に食べない?」
緊張した様子で、それでも俺に聞いてくる。
「二人っきりで」
それは俺たちがしてきた戦いに比べれば些細な勇気だったかもしれない。けれど俺にはその気持ちが嬉しかった。
彼女のお願いに最初は驚いてしまったけれど、俺はすぐに笑みを浮かべた。
「そうだな。そうしよっか」
「うん」
そう言うと香織はニコッと笑った。
俺たちは体育館の裏側へと来ていた。木々が並ぶこの場所は授業のないこの時間まず人は来ない。二人っきりになるにはちょうどいい。
俺たちは体育館の入り口に腰を下ろし弁当箱を置いた。
「ここでよかったかな?」
ここは静かで人通りもないが食事に適している場所でもないからな。もっといい場所を思いつければよかったんだが。
「うん、大丈夫」
でも香織は笑顔で俺の隣に座っている。
「私も急にお願いしちゃってごめんね。みんなにもあとで謝らないと」
「それはたぶん大丈夫だと思うよ。みんななら分かってくれるって」
「うん、そうだね」
約束は破っちゃったけどみんななら大丈夫だろ。ここはみんなの優しさに甘えさせてもらおう。
そうして俺たちは二人きりで体育館裏に座ることにした。目の前にある木々を並んで見つめ風が通り抜けていく。平和だ。香織と二人っきりでいるだけでこの場所が居心地のいい雰囲気になっていく。
「こうして聖治君と二人っきりになるのってすごい久しぶりだよね」
「そっか。ていうか、ここ最近じゃ初めてか?」
「うん」
そういえばそうか。セブンスソードで何回も世界を繰り返してきたけれど二人っきりってそういえばなかったな。
「いろいろあったもんね」
「ああ」
これまでにあった出来事を振り返り香織がつぶやく。いろいろあった。本当にそうだ。俺がこれまでに経験してきたことは一言では言い表せられない。
「でもこうして香織と一緒にいられるんだ、よかったよ」
「ほんとだよねー」
俺の言葉に香織の表情も明るい。
「さ、食べようぜ」
俺は売店で買っておいた調理パンの袋を開ける。香織もピンク色の布を開けた。
俺のはからあげパンだ。ロールパンの間にからあげ挟まれタルタルソースが掛けられてある。からあげパンというよりもチキン南蛮パンといった方が正しいかな?
口に入れれば安定のおいしさでむしろこれでまずいのがあるのか疑問なくらいだ。
香織は手を合わせてから弁当箱のふたを外す。中身を覗いてみれば小さなハンバーグにレタスとプチトマト、ミックスベジタブルのカップが入っていた。彩りがよく可愛らしく見える。
「もしかして自分で作ってきたのか?」
「うん。でも恥ずかしいからあんまり見ないでね。ほとんど冷凍ものだから」
香織は恥ずかしそうに笑っているがそれでも作ってくるだけですごいと思う。
「それでも俺のよりはよっぽど上等だよ」
俺はパンを持ち上げる。
「ふふ。よければ聖治君の分も作ってこようか?」
「いいのか?」
「うん。こんなの一人分も二人分も手間は変わらないから」
「ならお願いしようかな」
「了解!」
笑っている。そんな反応が可愛くて俺まで笑ってしまう。
「力也、俺たちはさきに行ってようぜ」
「うん、そうしようか」
「おい、行くのか?」
「お前は沙城と話つけてこい」
星都は俺の肩を叩くと力也と一緒に教室の外へと行ってしまった。
もしかして、気を遣ってくれたのか?
俺たちは向かい合った。
「あのね」
香織が見上げてくる。ちょっと気合いの入った表情。そんな目で見つめられちょっとドキっとしてしまう。
「お昼なんだけど、よければ一緒に食べない?」
緊張した様子で、それでも俺に聞いてくる。
「二人っきりで」
それは俺たちがしてきた戦いに比べれば些細な勇気だったかもしれない。けれど俺にはその気持ちが嬉しかった。
彼女のお願いに最初は驚いてしまったけれど、俺はすぐに笑みを浮かべた。
「そうだな。そうしよっか」
「うん」
そう言うと香織はニコッと笑った。
俺たちは体育館の裏側へと来ていた。木々が並ぶこの場所は授業のないこの時間まず人は来ない。二人っきりになるにはちょうどいい。
俺たちは体育館の入り口に腰を下ろし弁当箱を置いた。
「ここでよかったかな?」
ここは静かで人通りもないが食事に適している場所でもないからな。もっといい場所を思いつければよかったんだが。
「うん、大丈夫」
でも香織は笑顔で俺の隣に座っている。
「私も急にお願いしちゃってごめんね。みんなにもあとで謝らないと」
「それはたぶん大丈夫だと思うよ。みんななら分かってくれるって」
「うん、そうだね」
約束は破っちゃったけどみんななら大丈夫だろ。ここはみんなの優しさに甘えさせてもらおう。
そうして俺たちは二人きりで体育館裏に座ることにした。目の前にある木々を並んで見つめ風が通り抜けていく。平和だ。香織と二人っきりでいるだけでこの場所が居心地のいい雰囲気になっていく。
「こうして聖治君と二人っきりになるのってすごい久しぶりだよね」
「そっか。ていうか、ここ最近じゃ初めてか?」
「うん」
そういえばそうか。セブンスソードで何回も世界を繰り返してきたけれど二人っきりってそういえばなかったな。
「いろいろあったもんね」
「ああ」
これまでにあった出来事を振り返り香織がつぶやく。いろいろあった。本当にそうだ。俺がこれまでに経験してきたことは一言では言い表せられない。
「でもこうして香織と一緒にいられるんだ、よかったよ」
「ほんとだよねー」
俺の言葉に香織の表情も明るい。
「さ、食べようぜ」
俺は売店で買っておいた調理パンの袋を開ける。香織もピンク色の布を開けた。
俺のはからあげパンだ。ロールパンの間にからあげ挟まれタルタルソースが掛けられてある。からあげパンというよりもチキン南蛮パンといった方が正しいかな?
口に入れれば安定のおいしさでむしろこれでまずいのがあるのか疑問なくらいだ。
香織は手を合わせてから弁当箱のふたを外す。中身を覗いてみれば小さなハンバーグにレタスとプチトマト、ミックスベジタブルのカップが入っていた。彩りがよく可愛らしく見える。
「もしかして自分で作ってきたのか?」
「うん。でも恥ずかしいからあんまり見ないでね。ほとんど冷凍ものだから」
香織は恥ずかしそうに笑っているがそれでも作ってくるだけですごいと思う。
「それでも俺のよりはよっぽど上等だよ」
俺はパンを持ち上げる。
「ふふ。よければ聖治君の分も作ってこようか?」
「いいのか?」
「うん。こんなの一人分も二人分も手間は変わらないから」
「ならお願いしようかな」
「了解!」
笑っている。そんな反応が可愛くて俺まで笑ってしまう。
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