セブンスソード

奏せいや

202

 解決の糸口は見えている。道筋も分かっている。みんなを見ていて俺も自然と気持ちがわき上がっていた。

 終わらせられる。もう少しで、このセブンスソードを今度こそ終わらせられるんだ。

「みんな」

 今までいろいろあったけどここにいるみんなとそれを迎えられるならこれ以上のことはない。

「終わらせるか、この戦いも」

 一度は争ったことはある俺たちだけど、それらを乗り越えて今がある。

 そして、今から進むんだ、輝かしい未来に向かって。

「おう、やってやろうぜ!」
「みんな一緒なんだな!」
「私たちで未来を変えるなんてサイコーだよね」
「さっさと終わらせたいものね」

 みんなそれぞれの思いを語る。これから俺たちの未来を変えるための一歩が始まるんだ。

 そんな中で、香織は自分の胸に手を置いた。瞳を閉じて顔をわずかに下げる。

「私たちはこれから迎える未来を知っている」

 俺たちは香織に注目した。

「悪魔に襲われ大勢の人が亡くなった。家族も、友人も、多くの仲間が謂われもなく殺されてしまう、そんな未来がこのままでは来てしまう。それを変えるためには今を生きる私たちが行動しなければならない。戦いましょう」

 香織の言葉に気が引き締まっていく。みんなの気持ちが一つになっていくのを感じる。

 これから迎える、破滅の未来を変えるために。

「一緒に」

 香織が俺を見上げる。彼女の瞳を見つめ返す。その綺麗な瞳に俺は力強くうなずいた。

「ああ」

 一緒に戦おう。そして変えてみせる。

 最悪の未来を最高の未来に。



 それから俺たちは一旦教室に戻ることにした。港町に魔来名を探しに行くのは放課後になってからでも遅くない。

 教室に戻るとホームルームが始まり俺たちはそのまま授業を受けた。

 先生が黒板の前に立ってチョークを走らせている。それを黙々とノートに写していくクラスメイトたち。俺はそんな光景を何気なく見つめていく。

「…………」

 なんだか、ここがどこか懐かしく感じる。これが俺の本来の日常のはずなのに別世界のようだ。
 きっと、それだけセブンスソードでの時間が長すぎたんだろうな。それはそれで悲しいような複雑な気持ちだ。みんなはどうなんだろうか?

 俺は後ろを覗いてみる。

 力也は教科書を読んでいた。その表情はどこか興奮しているようで浮き足立っている雰囲気がある。無理もない。今日ですべてが変わるんだ。俺だって似たようなものだ。

 隣にいる星都は両手で教科書を立てている。……が、顔は机に伏せられ眠っていた。……なぜこの状況で寝れるんだ?

 やれやれ。内心で顔を振りながら正面に戻す。

 最後に斜めにいる香織に目を向けてみた。その目は黒板に向けられ真剣な顔つきノートに写している。こんな時にもちゃんと勉強している。はっちゃけた言動もあるけど根は真面目なんだよな。

 みんなの様子を見て俺も授業に意識を戻した。

 そうして午前の授業は終わり昼休憩だ。別れる前にこの時間に集合しようと決めていた。場所はもちろん屋上だ。

「おい相棒、早く行こうぜ」
「ちょっと待ってろ、今片づけてるだろ」

 机の上にある教科書やら筆記用具を片づけているのだがいちいち星都が急かしてくる。見れば片づけてるのが分かるだろうが。

 俺は片づけパンが入った袋を片手に立ち上がった。近くには力也も弁当箱を持って立っている。いくつもある弁当はまるで宅配のようだが正真正銘彼の一人分だ。

「昼休憩はついついテンションが上がっちゃうんだよなぁ」
「そりゃ力也はそうだろうな」

 食べることが生き甲斐みたいなとこあるし。むしろ食べる前から幸せそうだ。

 俺たちは三人かたまっていたがそこへ香織も近づいてきた。

「聖治君」

 その手にはピンク色の布に包まれた小さな弁当箱を手に俺を見つめていた。

「香織も準備オーケーみたいだな。それじゃあ屋上に行くか」
「えっと、それなんだけど」
「?」

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