セブンスソード

奏せいや

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「お前はすべてが終わると言っていたが、これからのことは考えているのか。これから他のスパーダと合流し、セブンスソードは失敗に終わり、それからは? お前はなにかしたいことがあるのか?」

 どうして急に。なんでかは分からないしもしかしたらずっと会話のない間を和らげようとしただけかもしれない。それにしたってこの男には不似合いだが。

 無視するのもあれなので俺は少し考えてみた。

「そうだな、正直に言うとよく分からない。セブンスソードのことでいっぱいだったからさ、それからのことは考えていなかったよ」

 実際のところ未来に起こる悪魔の侵攻、それに対抗するためになにかしらのことはしなければならないが具体的なことはまだ決まっていない。

「ふ、それでよくああも勢いよく言えたものだな」
「なんだよ、別にいいだろ。なにも決まってないけどみんなと一緒にいたいっていう気持ちは決まってるんだ、おかしなことなんてない」

 からかわれて少しだけムキになってしまう。そう思われるのが嫌で話題を逸らしてみる。

「そういうあんたはどうなんだよ。セブンスソードにずいぶんこだわってるみたいだがそれを終わらせた後どうするつもりなんだ? それともそれも言えないか? あんたはなにも言わないからな」

 皮肉っぽく言ってみるが実際ほんとのことだ。この秘密主義者は俺にはとやかく言ってくるくせに自分のことはなにも話さない。

「安心しろ、俺に次はない」
「なに?」

 次はないってどういうことだ?

「どういう意味だよ」
「セブンスソードで残るのは俺じゃない」
「え?」

 その言葉に頭が真っ白になる。今ほどこの男が分からないことはなかった。

「生き残るのはお前だ、聖治」
「俺?」

 なにを言ってるんだ。じゃあ魔来名はどうするんだ? 次はないって、まさか。

「俺を最後の一人にするために、自分も死ぬ気なのか?」
「そうだ」
「なんで!?」

 本当に意味が分からない。俺を庇ってくれた時だって自ら傷を負った。それだって度を超えているっていうのに、俺のために死ぬなんておかしいだろ!

「なんでそこまで俺を生かそうとするんだよ!? 俺の為に戦ったり、庇ったり、なんでそこまでする? 俺のために傷ついた次はなんだ、俺のために死ぬって? ふざけるなよ!」

 魔来名がどんなつもりか知らないが、俺をダシに好き勝手されても嬉しくもなんともない。

「そんなので俺が喜ぶと思ってるのか? 俺のことを助けてくれたのは今でも感謝してる。でもあんたに死ねなんて望んでない。そんなことされてもいい迷惑だ!」

 俺のことを心配してくれることも、俺のために戦ってくれたことも、俺のためにしてくれたことは俺だって感謝している。

 でもだ、それであんたは死ぬってそんなの喜べるわけないだろ。

「あんたには何度も命を救われた。もう敵とか他人とかじゃないんだよ。あんたは、その、うまい表現が見つからないけど」

 最初出会った時、俺と魔来名は間違いなく敵だった。こいつは香織と星都、力也を殺し、最後には俺まで殺した。五週目では日向ちゃんと此方もだ。俺たちに戦う気がないと伝えてもこの男は無視して戦ってきた。だから俺はこいつのことが嫌いだった。本当ならやり返したいとすら思っていた。

 だけど、今は違う。もう、俺の中で変わっていた。

「強いて言えば、仲間なんだ」

 そう。いつの間にか、魔堂魔来名という男は俺の中で仲間になっていたんだ。

 俺のために戦って、俺のために傷を負った。こんなにも俺のために必死になって。過去に殺されたとか、そんなのもうどうでもよかった。

「他のみんなと同じ、仲間なんだよ。だから見捨てない。死なせたりしない。あんたは俺を救ってくれた。だから今度は俺が助けてやりたい。本気でそう思ってるんだよ! そのあんたが俺のために死ぬとかそんな気でいるんじゃねえよ! 許さねえからな、勝手に死んだら!」

 仲間が死ぬところなんて見たくない。それが俺のためであったとしても。命の恩人を救いたいと思っているのに、その相手が死ぬ気でいるんじゃねえよ。悔しいだろ、俺が。

「なあ、なんでそこまでする? いい加減言えよ……」

 この男のことは分からない。聞いても教えてくれない。それが今では悲しくて声が萎んでしまう。

「聖治」

 そんな俺を気遣ってか、魔来名には珍しく明るい口調で言ってくる。

「お前はなにをしたいかまだ決まっていないと言ったな」
「え? ああ、言ったけど」
「なら」

 なんだろう。俺は魔来名の顔を見上げてみる。

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