セブンスソード
147
誰かがこいつの足止めをしなくちゃならないなら、
「聖治君」
「香織もだ。みんなと一緒に行ってくれ」
香織の心配そうな目が見える。それをあえて無視する。生き延びて欲しいのは彼女だって同じだ。俺の勝手に彼女まで巻き込めない。
「ふざけてるのは聖治君の方だよ!」
「香織」
なのだが、彼女から怒鳴られてしまった。
「言ったでしょ、聖治君の重荷にはなりたくない。聖治君が残るっていうなら私もいる」
その目はすでに真剣なものに変わっており、俺を真っ直ぐと見つめていた。
「私の居場所はいつだって、君の隣なんだからね?」
そんなはっきりと言われたら断れないな。
彼女は強い。芯の強さを俺は改めて実感した。
やっぱり、香織は香織だ。
「約束だよ」
「ああ。いつも一緒だったな」
彼女を守れる自信はない。俺のそばにいたら彼女までも死んでしまう。
「ごめんな」
「ううん。聖治君が謝ることじゃないよ」
なのに、彼女は微笑んでいた。
絶望しかない、この場所でも。
それを見て俺も小さな笑みがこぼれる。
不思議だ。隣に彼女がいてくれるだけで、それがどんな場所であっても笑える。こんな絶望的な状況なのに。
彼女は、本当に素敵な人だ。
「星都!」
「は!?」
俺は叫んだ。いきなり呼ばれたことに星都が驚いている。
「お前のお気楽な感じ、いつも救われてたぜ。友達思いなところもな。だけど自分の信念を周りに押しつけるな、冷静さを見失うな。いいな?」
俺は振り返ることなくみんなに話しかけていく。
「力也! お前はもっと自分に自信を持て。あと自分を大切にしろ。友達のためだからってすぐ自分を投げ捨てるな。それで悲しむやつだっているんだぞ!」
次は日向ちゃんに。
「日向ちゃんもだ! 君はなにもできない女の子じゃない。誰かを守るために戦える、強い子だ。だから自分を卑下することない、笑っていいんだ!」
最後に此方に。
「此方! お前が妹を大切に思う気持ちは分かる。それがお前の強さだからな。そのためならお前はなんでもできるさ、安心しろ。ただ、それに縛られるな。もっと周りを見て、いろんな繋がりを持て!」
それが、何度も世界を渡り歩いた俺の言い分だ。
「反論はなしだ。言い逃げで悪いな。陰口ならいくらでも言っていいから今は逃げろ。……みんなと、会えてよかったよ」
これが別れの言葉になる。それが分かっているから最後は感謝で締めた。
いろいろあったけど、最後はこうして仲間になれた。みんなと出会えた。
本当に良かったと、心の底からそう思う。
みんなは唖然としているのかすぐに逃げることはしない。未だに迷っている。
「此方ぁあ!」
そこで彼女の名を叫んだ。たぶん、彼女なら分かってくれるはずだ。
「日向、行くわよ」
「でもお姉ちゃん!」
「いいから!」
彼女は日向ちゃんを守ることを優先している。だから後押しすれば逃げてくれると思った。
此方は日向ちゃんの手を掴んで走るが、その足が止まって俺へ振り向いた。
「ごめん」
「言うな。分かってるよ」
そうして此方と日向ちゃんたちは走り出していった。
「ちぃ。力也!」
「でもぉ」
「行くぞ!」
「……うん」
二人が走り出したことで星都と力也も振り返った。
逃げ出す途中、星都が俺に振り返る。
「一応言っとくが、死ぬ必要はないんだからな」
「そうだったな。とりあえず頑張ってみるよ」
「絶対だボケ!」
乱暴に言い捨て星都と力也もこの場を離れていく。言葉はきついがあいつの気持ちがダイレクトに響いてきてじわじわと嬉しくなっていく。
「聖治君」
「香織もだ。みんなと一緒に行ってくれ」
香織の心配そうな目が見える。それをあえて無視する。生き延びて欲しいのは彼女だって同じだ。俺の勝手に彼女まで巻き込めない。
「ふざけてるのは聖治君の方だよ!」
「香織」
なのだが、彼女から怒鳴られてしまった。
「言ったでしょ、聖治君の重荷にはなりたくない。聖治君が残るっていうなら私もいる」
その目はすでに真剣なものに変わっており、俺を真っ直ぐと見つめていた。
「私の居場所はいつだって、君の隣なんだからね?」
そんなはっきりと言われたら断れないな。
彼女は強い。芯の強さを俺は改めて実感した。
やっぱり、香織は香織だ。
「約束だよ」
「ああ。いつも一緒だったな」
彼女を守れる自信はない。俺のそばにいたら彼女までも死んでしまう。
「ごめんな」
「ううん。聖治君が謝ることじゃないよ」
なのに、彼女は微笑んでいた。
絶望しかない、この場所でも。
それを見て俺も小さな笑みがこぼれる。
不思議だ。隣に彼女がいてくれるだけで、それがどんな場所であっても笑える。こんな絶望的な状況なのに。
彼女は、本当に素敵な人だ。
「星都!」
「は!?」
俺は叫んだ。いきなり呼ばれたことに星都が驚いている。
「お前のお気楽な感じ、いつも救われてたぜ。友達思いなところもな。だけど自分の信念を周りに押しつけるな、冷静さを見失うな。いいな?」
俺は振り返ることなくみんなに話しかけていく。
「力也! お前はもっと自分に自信を持て。あと自分を大切にしろ。友達のためだからってすぐ自分を投げ捨てるな。それで悲しむやつだっているんだぞ!」
次は日向ちゃんに。
「日向ちゃんもだ! 君はなにもできない女の子じゃない。誰かを守るために戦える、強い子だ。だから自分を卑下することない、笑っていいんだ!」
最後に此方に。
「此方! お前が妹を大切に思う気持ちは分かる。それがお前の強さだからな。そのためならお前はなんでもできるさ、安心しろ。ただ、それに縛られるな。もっと周りを見て、いろんな繋がりを持て!」
それが、何度も世界を渡り歩いた俺の言い分だ。
「反論はなしだ。言い逃げで悪いな。陰口ならいくらでも言っていいから今は逃げろ。……みんなと、会えてよかったよ」
これが別れの言葉になる。それが分かっているから最後は感謝で締めた。
いろいろあったけど、最後はこうして仲間になれた。みんなと出会えた。
本当に良かったと、心の底からそう思う。
みんなは唖然としているのかすぐに逃げることはしない。未だに迷っている。
「此方ぁあ!」
そこで彼女の名を叫んだ。たぶん、彼女なら分かってくれるはずだ。
「日向、行くわよ」
「でもお姉ちゃん!」
「いいから!」
彼女は日向ちゃんを守ることを優先している。だから後押しすれば逃げてくれると思った。
此方は日向ちゃんの手を掴んで走るが、その足が止まって俺へ振り向いた。
「ごめん」
「言うな。分かってるよ」
そうして此方と日向ちゃんたちは走り出していった。
「ちぃ。力也!」
「でもぉ」
「行くぞ!」
「……うん」
二人が走り出したことで星都と力也も振り返った。
逃げ出す途中、星都が俺に振り返る。
「一応言っとくが、死ぬ必要はないんだからな」
「そうだったな。とりあえず頑張ってみるよ」
「絶対だボケ!」
乱暴に言い捨て星都と力也もこの場を離れていく。言葉はきついがあいつの気持ちがダイレクトに響いてきてじわじわと嬉しくなっていく。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
3
-
-
149
-
-
361
-
-
238
-
-
221
-
-
159
-
-
52
-
-
755
-
-
4112
コメント