セブンスソード

奏せいや

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「俺たちは以前四対一でぼろ負けしたんだ。六人だからって楽勝なんてことはない。だから六人集めたんだ。油断するな、相手はそれだけ強大なんだ」
「そうだよね、僕たちにはスパーダはあるけど戦闘経験自体はないわけだし。大丈夫かな?」
「実戦経験はないがその分能力と連携で補えばいい。力也は強いから頼りにしてるよ」
「そうかなー? でも、聖治君がそう言ってくれるなら僕がんばるよ!」

 力也が元気に腕を振るう。その意気だ、これから戦うのに萎縮していても仕方がない。

 対して日向ちゃんと星都は下を向いていた。

「そんな~。萎えぽよー」
「終わりだ~。もうおしまいだ~」
「おまえら二人とも余裕だろ」

 危機感足りてねえなこいつら。なんで日常レベルの反応ができるんだよ。

「日向、ちゃんとしなさい」
「みんな。必要以上に不安がることないけど、気も抜かないようにね」

 此方が刺すような声を向ける。香織は穏やかながらも真面目な顔をしていた。なんだかこの二人はしっかりしていて頼りになるな。

「戦いは避けられない。絶対に勝てるっていう保証もない。でも、俺たちは未来に進まなくちゃならないんだ」

 思いを語る。俺の真剣な声に星都も日向ちゃんも真面目な顔になり、みんなが俺に注目してくれた。

「俺たちは生きている。それがどんな過酷な道であろうと、絶望的な場所であろうと、それでも俺たちの意思で生きているんだ。それは誰の者でもない、俺たちの人生だ。なのにやつらはそれを勝手に奪おうとしている。セブンスソードなんてものを開き、俺たちから大事な人や未来を奪おうとしている。だからこそ俺たちは戦わなくちゃならないんだ。取り戻すために。逃げても未来は返ってこない。大事なもののために、今、戦うべきだ」

 俺は拳を握りしめ、ちらりと香織の顔を見た。それからすぐにみんなの顔を見る。

「俺には、守りたいものがある。俺の命をかけてでも守りたいほど大切なものが。でも、俺が一人でどれだけ頑張ってもそれを守ることはできなかった。だから、みんなの協力が必要だ」

 一人ひとりの顔を見て頼む。これまでの世界で出会ってきた仲間たち。ここに来るまでさまざまなことがあったが、だからこそ心から頼れる。

「俺と一緒に戦ってくれ。頼む」

 彼らと彼女たちとなら、こんな絶望からだって抜け出せると思うから。

「当然だろ。俺だって死にたくないしよ。夢と希望あふれるティーンエイジャーだぜ? 協力するぜ、相棒」
「星都」

 そう言ってくれたのは星都だった。素直にうれしい。もしかしたら断られるんじゃないかと不安だったが、星都の答えに明るくなる。

「聖治君、怖いのはみんな一緒だと思う。でも、これからも生きていきたい、大切な人と一緒にいたいと思う気持ちは同じなんだな。だから、僕たちみんながんばろう!」
「力也」

 星都に続いて力也もそう言ってくれる。怖いのはみんな同じ。そうだよな。それでも力也はみんなのために戦うことを選んでくれたんだ。

「当然! 私だって自分の人生を諦めたくない。みんなとの未来を守りたい。これだけ多くの仲間がいるんだもん。絶対に勝とうよ!」
「日向ちゃん」

 日向ちゃんらしい元気な答えについ笑みがこぼれる。やっぱり彼女はこうじゃなくちゃな。

「ま、言われるまでもないけどね。私ははじめからそのつもりだったし。今更、逃げも隠れもしないわよ。やりましょう」
「此方」

 彼女らしいクールな返答だ。でもそれが此方の覚悟でありこの世界でも変わらぬ意思を見られて嬉しい。

「ありがとう、みんな」

 参戦を示してくれたみんなにお礼を言う。これから戦いにいこうとしているんだ、反対が出てもおかしくなかった。だけどみんなは協力してくれるんだ。友達のため、大切な人のために。その気持ちを知っているからこそ俺の胸も熱くなる。みんなで一緒に戦えることが、本当に嬉しい。

「よかったね、聖治君」
「ああ」

 この世界があること、今があることが、本当に奇跡みたいだ。

「じゃあ、行こうか」

 もう、いがみ合うことも敵対することもない。それらを乗り越えて、俺たちは一つとなって戦うんだ。

 本当の敵。魔卿騎士団と。

「俺たち全員で、未来を切り開くんだ」

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