セブンスソード

奏せいや

128

 彼女の言葉を聞いた時、まるで胸を貫かれたような痛みが走る。

「私を守るためでも、それで誰かを貶め、騙し、殺めるような人と、私は一緒にいられません」

 彼女の言葉が、刃のように俺を断罪してくる。俺の行いを。彼女のためにしてきたことを。それは認めないと答えを言い渡す。

 その言葉に、俺はハッとしていた。

 そうだ。彼女はあの地獄みたいな時代でも、優しくて、人を信じていた。

 俺が愛した人は、そういう人だった。

「なんだよ……、なんだよ、それ」

 それじゃあ、今の俺は彼女が最も嫌いな人間じゃないか。

 彼女を救うためだった。彼女を守るためだった。もう、彼女を死なせないために、そのためだけだった。全部、彼女のためだった。

 それが、最も彼女が嫌うことだったって?

「う、うう」

 そんなの、あんまりだろ。

「ううう!」

 両手に持っていたスパーダが落ちる。浮遊していたパーシヴァルとグランも地面に落ちる。膝ががくっと折れて、地面に膝をついた。

 俺がしていたことって、なんだったんだ? なんのためにこれまで頑張った? みんなを殺してまで、なんのために戦った? なんのために、みんなは死んだんだ?

 全部、俺のせいだって?

 香織が一歩を踏み出す。俺は顔を上げ彼女を見た。

 香織はディンドランを両手で振り上げ、俺を見下ろしている。

 その姿をぼんやりと眺める。

 助けたかった。守りたかった。それだけだった。

 それだけ、だったんだ。

「香織……」

 本当は、誰も傷つけたくなった。

「ごめんな……」

 次の瞬間、ピンク色の刀身が振り下ろされた。

 視界が、暗闇に染まる。

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