セブンスソード
123
星都の背中にパーシヴァルが突き刺さる。それにより星都は声を挙げたあとぐったりと倒れた。血が広がっていく。もう、苦痛に声を挙げることもない。
星都。いつも明るくて、元気で、こいつがいるだけで場の雰囲気が楽しくなる。そんなやつだった。星都がいてくれたおかげでどれだけ学校生活が楽しかったか。それに友達思いで、困った時は一緒にいてくれた。セブンスソードでこいつが協力してくれると言ってくれた時、どれだけ心強かったか。本当に、いいやつだったんだ。
思い出が浮かび上がっていく。今までともにいた時間が再生されていく。
楽しかった。本当に。記憶の中で、俺も星都も笑い合っていた。
なのに、星都はもう笑わない。
俺が、殺したんだ。
「…………」
血を流す星都を黙って見下ろす。その頬を、涙が音もなく流れ落ちていく。
「星都くぅうん!」
力也が星都に駆けつける。膝をつき星都の体を抱きしめる。体を揺するが星都は目を覚まさない。すでに事切れている。死んでいる以上、ディンドランで治すこともできない。
「そんな、星都君! 星都くううん!」
力也が号泣している。香織も駆けつけるが、手遅れだと知ってその場に膝を突きうなだれている。
「嘘だ、うそだよ星都君! 目を覚ましてよぉ!」
静寂な夜の町に、力也の大声だけが響いていく。
「う、うう」
力也の号泣がすすり泣きに変わるまでの間、俺はただ黙ってその声を聞いていた。俺には泣く資格すらない。彼の死を悼む資格もない。力也の涙が俺の分まで泣いてくれているような気がしたんだ。
「許さない」
「ん?」
そこで、聞いたこともない声が聞こえた。
「お前は絶対に許さない」
「力也?」
力也が立ち上がる。巨大な背中が持ち上がり俺の背を越えていく。その背中には壁が立ちはだかったような圧迫感がある。
「お前、名は」
全身を突き抜ける緊張、力也の発する存在感に重圧すら感じる。
「……剣島、聖治」
「そうか」
力也が振り向く。
でかい。ただでさえ大きいが、今の力也はそれよりも大きく見える。まるで巨人だ。その巨人が俺を睨みつけてくる。
「聖治」
そして、俺に言い放つ。
「お前は殺す」
瞬間、俺は吹き飛ばされていた。
「があ!」
前蹴りが直撃する。それをもろに受けたことで吹き飛ばされ何度も地面を転がる。もしミリオットの強化がなければ死んでいた。
「な、に……?」
なんとか起き上がろうとするがそれよりも驚きだった。
本当に力也なのか? ここまで怒りを露わにする力也は見たことがない。というよりも力也が怒ったところなんて見たことがない。いつも穏やかで優しいのが力也なのに。
でも、星都が殺されたことで怒りが爆発したのか。そういえばどの世界でも真っ先に死ぬのは仲間を庇った力也だった。力也が仲間の死を体験するのはこれがはじめてだ。
起き上がり、痛みが残る腹に手を当てて力也を見る。
「知らなかったよ。ずっと一緒にいたが、怒ると怖いタイプだったんだな」
「黙れ。初対面だ」
「……そうだったな」
あの優しい力也にはっきりそう言われると胸にくるものがある。
「お前は星都君を殺した。僕たちはただ、話し合いに来ただけだったのに」
力也がゆっくりと近づいてくる。力也が一歩進むごとに危機感が跳ね上がる。
「なのに、お前は殺した」
力也がぶつけてくる怒りが肌で分かる。大鬼のような、鬼気迫る雰囲気を力也はまとっている。
殺意と敵意、破壊することに最も秀でた鉄塊王の使い手が、そのすべてをぶつけてきた。
「お前は、絶対に許さない」
星都の体から光の玉が浮かび上がり力也に吸い込まれていく。これで力也のスパーダは二本。まだ数では俺が上回っているが僅差だ。油断は出来ない。
力也は光帝剣エンデュラスを取り出す。するとさきほどの光の玉の状態に戻し、握りつぶした。
「砕いただと?」
「お前を殺すのに、友の力は借りない。この力で殺す」
星都。いつも明るくて、元気で、こいつがいるだけで場の雰囲気が楽しくなる。そんなやつだった。星都がいてくれたおかげでどれだけ学校生活が楽しかったか。それに友達思いで、困った時は一緒にいてくれた。セブンスソードでこいつが協力してくれると言ってくれた時、どれだけ心強かったか。本当に、いいやつだったんだ。
思い出が浮かび上がっていく。今までともにいた時間が再生されていく。
楽しかった。本当に。記憶の中で、俺も星都も笑い合っていた。
なのに、星都はもう笑わない。
俺が、殺したんだ。
「…………」
血を流す星都を黙って見下ろす。その頬を、涙が音もなく流れ落ちていく。
「星都くぅうん!」
力也が星都に駆けつける。膝をつき星都の体を抱きしめる。体を揺するが星都は目を覚まさない。すでに事切れている。死んでいる以上、ディンドランで治すこともできない。
「そんな、星都君! 星都くううん!」
力也が号泣している。香織も駆けつけるが、手遅れだと知ってその場に膝を突きうなだれている。
「嘘だ、うそだよ星都君! 目を覚ましてよぉ!」
静寂な夜の町に、力也の大声だけが響いていく。
「う、うう」
力也の号泣がすすり泣きに変わるまでの間、俺はただ黙ってその声を聞いていた。俺には泣く資格すらない。彼の死を悼む資格もない。力也の涙が俺の分まで泣いてくれているような気がしたんだ。
「許さない」
「ん?」
そこで、聞いたこともない声が聞こえた。
「お前は絶対に許さない」
「力也?」
力也が立ち上がる。巨大な背中が持ち上がり俺の背を越えていく。その背中には壁が立ちはだかったような圧迫感がある。
「お前、名は」
全身を突き抜ける緊張、力也の発する存在感に重圧すら感じる。
「……剣島、聖治」
「そうか」
力也が振り向く。
でかい。ただでさえ大きいが、今の力也はそれよりも大きく見える。まるで巨人だ。その巨人が俺を睨みつけてくる。
「聖治」
そして、俺に言い放つ。
「お前は殺す」
瞬間、俺は吹き飛ばされていた。
「があ!」
前蹴りが直撃する。それをもろに受けたことで吹き飛ばされ何度も地面を転がる。もしミリオットの強化がなければ死んでいた。
「な、に……?」
なんとか起き上がろうとするがそれよりも驚きだった。
本当に力也なのか? ここまで怒りを露わにする力也は見たことがない。というよりも力也が怒ったところなんて見たことがない。いつも穏やかで優しいのが力也なのに。
でも、星都が殺されたことで怒りが爆発したのか。そういえばどの世界でも真っ先に死ぬのは仲間を庇った力也だった。力也が仲間の死を体験するのはこれがはじめてだ。
起き上がり、痛みが残る腹に手を当てて力也を見る。
「知らなかったよ。ずっと一緒にいたが、怒ると怖いタイプだったんだな」
「黙れ。初対面だ」
「……そうだったな」
あの優しい力也にはっきりそう言われると胸にくるものがある。
「お前は星都君を殺した。僕たちはただ、話し合いに来ただけだったのに」
力也がゆっくりと近づいてくる。力也が一歩進むごとに危機感が跳ね上がる。
「なのに、お前は殺した」
力也がぶつけてくる怒りが肌で分かる。大鬼のような、鬼気迫る雰囲気を力也はまとっている。
殺意と敵意、破壊することに最も秀でた鉄塊王の使い手が、そのすべてをぶつけてきた。
「お前は、絶対に許さない」
星都の体から光の玉が浮かび上がり力也に吸い込まれていく。これで力也のスパーダは二本。まだ数では俺が上回っているが僅差だ。油断は出来ない。
力也は光帝剣エンデュラスを取り出す。するとさきほどの光の玉の状態に戻し、握りつぶした。
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