セブンスソード

奏せいや

121

 俺は片手で香織の手を掴むとパーシヴァルとカリギュラでグランを受け止めた。交差した二本の剣が大剣を防ぐ。俺は片手で持ったミリオットで星都を押さえもう一方の手で香織の両手を押さえていた。片手で一人ずつだがミリオットの増幅で力が増しているのでできる。

「こ、のぉお!」

 星都が連撃を振るってきた。風を切る高速の攻撃が何度も襲ってくる。

 それをすべてミリオットで受け止めていく。今の俺はすべての力が上がっている。動体視力や反射も当然上がっており仮に漏らしても俺の体は鉄のように固くなっている。今の光帝剣は厄介だが敵ではない。むしろ危険なのは、

「ぬうう!」

 力で上回る、グランの方だ。

 力也が声を漏らす。なんとか突破しようと力を入れてくる。力也の攻撃を防ぐ二本の剣も徐々に押し込まれ俺との距離を縮めている。

 あと少しで突破されそうだ。

「カリギュラ!」

 そこへ黒い霧が覆った。

 カリギュラの減退がこの場を遅う。それにより力也も星都も力が弱まり、その隙にミリオットを一閃し吹き飛ばした。

「みんな!」

 香織だけはディンドランの力でカリギュラを無効にしている。

 俺は香織を突き放すとミリオットを振るいディンドランを弾き飛ばした。

「あ!」

 ディンドランは香織の手を離れ地面に転がる。カリギュラを手元に出すとそれを握り香織に向けて発動した。カリギュラの霧が香織を包み膝を着く。

「そこでおとなしくしていろ」

 彼女に危害なんて加えたくない。でもこうするしかない。仕方がないんだ。

「止めろてめえ!」

 星都が攻める。俺もミリオットで応戦した。

 加速と増幅の能力が交差する。スピードだけなら光帝剣の方がまだ上だが総合的には三本の段階解放しているミリオットが上回っている。さらにはパーシヴァルとカリギュラを空間に置き三刀流、手数の多さもあって星都を押していく。

 俺はミリオットを振るう。さらに空中からパーシヴァルやカリギュラが突進してくる。

「くそがああ!」

 それらを星都は捌ききっていた。これだけの連続攻撃をハイスピードにものを言わせた高速技で防ぎきっている。連続攻撃を光帝剣で防ぐためすさまじい火花と音が連続でなっていく。

 このままでは防戦一方だと判断したか星都は離脱した。素早い移動で離れていく。

 これだ。光帝剣の厄介な点。先手を取ってくるので戦闘でのイニシアチブを取り場をコントロールしてきて、せっかく盛り返しても振り出しに戻す仕切り直し。これをどうにかしなければ同じことの繰り返しだ。

 逃がすか。俺はパーシヴァルを横にして地上から二十センチほどのところに固定した。そこへ足をかけ跳躍する。ミリオットで強化された足は俺を上空高くまで跳ばす。さらに足下にカリギュラを横にして出現させ足場にするとそれをさらに蹴り空中を疾走、さらに消したパーシヴァルを出現させそれも蹴り前進。それを繰り返すことで俺は空中を縦横無尽に走っていた。

「なんだと?」
「すごいんだな」
「スパーダに、こんな使い方が……?」

 スパーダの持つ力は固有の能力だけじゃない。工夫次第で応用の幅は広がる。

 俺は何年も戦ってきたんだ、お前等とは違うんだよ!

 星都を追撃し頭上からミリオットを照射する。光線が降り注ぎ星都はジグザグに走りミリオットを躱していく。流れ弾のミリオットが着弾し星都の背後で爆発が起きていく。

「星都くーん!」

 そこで力也が叫んだ。見ればグランを横に振りかぶっている。

「よし!」

 そこへ星都が走る。二人は向かい合い星都は跳ぶとグランの刀身に着地、その後力也は振り抜いた。それにより星都が俺に突撃してくる。

「!」
「うらあ!」

 空中で星都とぶつかる。

「があ!」

 衝突したことで地面に落とされた。上乗りになる星都をどかしすぐに立ち上がる。

 まさかグランを砲台にして飛んでくるなんて。

「皆森君! 大丈夫?」

 星都のもとに香織がかけつける。ディンドランで星都を治療していく。

「…………」

 俺ではない誰かを香織は治している。それを仕方がないと冷淡な気持ちで見つめる。

 この世界で、俺は一人だ。一人しかいないんだ。誰に理解されなくてもいい。誰に憎まれたっていい。愛する人に、裏切られても構わない。

 すべてを犠牲にしてでも君だけは守る。

 そう、誓ったはずだろ!

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