セブンスソード

奏せいや

120

 守りたい人のために、すべてを捨てる。

「それなら」

 後戻りは、もう、

「力づくで連れていく」

 できないんだ!

 俺は魔皇剣カリギュラと聖王剣ミリオットを取り出した。

「ち、やる気かこいつ!」

 俺がスパーダを出したことで三人ともスパーダを出す。

 俺は走った。星都たちも走り出した。

 ただ一人、大切な人を守ってみせる。

 それ以外のすべてを犠牲にしてでも。

 星都、力也、香織が迫る。その中で群を抜いて星都が飛びかかってきた。光帝剣のスピードはこの世界でも変わらない。

 だが俺には情報がある。そして、さらにはスパーダが三本もある。

 俺は聖王剣の力を発動した。

「ミリオット!」

 それにより俺の体が発光した。

 ミリオットの力は増幅。俺の力を増す能力だ。それにより増幅したエネルギーを放射していたわけだが、段階が上がるごとに用途も増えていく。俺は身体能力を増幅させた。それにより筋力、強度だけでなく脚力も上がり、猛ダッシュで床を蹴る。

「なに!?」

 星都の加速に匹敵する加速を以て、俺はミリオットを打ち付けた。

「ちぃ!」

 光帝剣と聖王剣がぶつかり合う。どちらも高速の一撃、打ち付け合った衝撃に轟音が響く。俺たちはにらみ合い剣を押しつけ合った。

「星都君!」
「皆森君!」

 その間に力也と香織が追いつく。星都の背後からそれぞれ左右に分かれ俺に斬りかかってきた。
 俺はミリオットの力をさらに上げ星都を押し返す。だが星都はすぐに加速して襲ってきた。
 正面から三人の剣撃がやってくる。同時に三つ。三人の攻撃。

 それに対し、俺は、

「はああ!」

 カリギュラを消した。

 俺はミリオットを両手でつかみ力也のグランを受け止めた。それにより力也の攻撃は防げたが他の二つが無防備になる。

 そこでミリオットとパーシヴァルを出現させ空間に固定する。それによって星都と香織の攻撃を防いだ。

「なに!?」
「ぬう!」
「そんな」
「うおお!」

 ミリオットで強化しているとはいえグランの力はキツい。押しつぶされそうな重圧が全身にかかる。

 俺は頭上から振り下ろされたグランをなんとか逸らし後方へ下がった。間合いから離れる。

 俺はミリオットを構えた。その前方上空には赤の魔剣カリギュラと黄色の神剣パーシヴァルが浮遊している。

 スパーダはただの剣じゃない。それは固有の能力を持っているのもそうだが、出したり消したりできる。さらには念じることで動かすことができるんだ。それによって様々な応用が可能になる。

 思い出した記憶の断片、そこに刻まれたかつての日々。魂に残された残滓が俺に告げてくる。こうして握ったのは初めてなのに、聖王剣と魔皇剣の感触を思い出す。

 知っている。未来の世界で、俺は戦い続けてきたんだ。

 何度も、何度も。

 何日も、何年も。

 旅が始まったあの日から、俺は幾度と戦ってきた。

 すべては、この世界から彼女を守るため。

 俺は戦い続けてきたんだ。その技、その経験、お前等初心者共に負けてたまるか!

「うおおお!」

 ミリオットの力で飛びかかった。床を踏み砕き一足で三人に迫る。

 俺はパーシヴァルを発射すると力也を牽制し、ミリオットで星都に切りかかる。星都に防がれるものの力は俺の方が上だ。

「やめて!」

 香織がディンドランを振るう。桃色の刃が迫るが出現したカリギュラで防ぐ。そこへ力也が追いつきグランを振るってきた。

「ち!」

 鉄塊王、グラン。この一撃は駄目だ、一発でももらえない。ミリオットで強化した体でもただでは済まない。

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