セブンスソード

奏せいや

49 第三章 再構築

 その日も世界は灰色だった。

 空にかかる雲で薄暗く、地上は荒れ果て人の活気は消えた。壊れた町や、放置された車、割れた道路。空っぽだ。荒廃した世界。鬱屈(うっくつ)として、残酷で、空虚で、そんな中、唯一の希望が血だらけで横になっている。俺の腕の中で、息を引き取ろうとしている。

 守ると誓ったはずなのに、そのためだけに戦い続けてきたのに、彼女を守れなかった。今も、流れる血を止められない。

 悔しかった。悲しかった。駄目だったんだ、今の俺には戦う力があっても治す力がない。治すためにはロストスパーダが必要だ。だが、それを見つけることは出来なかった。

 大切な人が、このままでは死んでしまう。

 俺は、一人で叫んでいた。涙と、怒りを、この世界にぶつけていたんだ。

 世界なんてどうでもいい。

 人類だってどうでもいい。

 すべてを犠牲にしても構わない。

 彼女だけは、救いたい。

 俺の、愛する人を。

 俺は諦めない。止めたりなんてしない。この旅路の果てで、必ず君を救ってみせる。

 君だけは、なんとしても。

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