セブンスソード
43
二十代くらいの青年で白い肌をしている。濃い金髪をしていて前髪は下げ横髪は少しハネている。夜に移ろう町に白の外套がなびいた。身長は力也より少し低いくらい。だがすらっとした体型は引き締まった体を思わせる。
その男が俺たちを見てきた。切れ長の青い目が底冷えするほどの冷たい視線を放っている。
見ただけでただ者でないと分かる。
なんなんだ、こいつは……。こんな人、見たことがない。オーラがすごい。こうして対面しているだけなのに圧倒されてしまう。
男は俺たちと距離を取ると立ち止まる。パーシヴァルの光がさきほどよりも強くなっている。間違いない。
「あんたも、スパーダか」
この男も、俺たちと同じ。セブンスソードの参加者。俺たちはそんなものから生き延びようと話し合い協力してきた。
だが、この男は違う。こうして対峙しているだけで、向けられてくる殺気が分かる!
「待ってくれ!」
ほっとけばすぐにでもこの男は攻撃してくる。そう思ったから声をかけていた。
「あんたもスパーダの一人なんだろ? セブンスソードっていう殺し合いの儀式に巻き込まれた。俺たちは戦う気なんてないんだ」
訳も分からず突然放り込まれたこんな儀式に参加する気なんてない。殺し合いなんて望んでいない。
「セブンスソードなんて殺し合い、誰だってしたくないはずだ。俺たちは誰にも危害を加える気なんてない」
今まで平和に暮らしていた。そこに不満なんてなかった。
こんなこと望んでいない!
「なるほど」
男がしゃべった。なにがなるほどなのか、緊張が高まる。
男は嘆息するように話し出した。
「しょせんは茶番か。話にならん」
呆れたような、侮蔑(ぶべつ)するような、そんな醒めた声。
その後表情を引き締め直し、俺たちを睨んできた。
「こい、スパーダ、天黒魔(あくま)」
男がつぶやく。それに合わせて男の手の平に光が現れた。
それは紫。そしてそれを覆う漆黒だった。その中から現れたのは日本刀であり、黒い鞘を掴む。
「戯れ言につき合うつもりはない。剣を出せ。それくらいは待ってやる」
そう言って男は構えた。腰を落とし居合いの構えを取る。
「ロストスパーダ!?」
男のスパーダに沙城さんが驚いた。
「ロストスパーダ? なら、こいつが」
沙城さんが探していたスパーダ。これを手に入れるか同行してもらわないと沙城さんの目的は果たされない。本当ならついてきてもらうのが一番いい。
でも、男は戦う気だ。
「うそだろ」
戦うのか?
今まで理性でなんとかフタをしていた危機感や焦燥感が一気に溢れてくる。予想してなかったわけじゃないけれど、いざこんな場面に立たされて心の準備ができていない。というか、殺し合いなんてしたくない。
「待って。あなた、名前は?」
沙城さんが前に出た。男に睨まれているのに一切怯んでいない。
「沙城さん!」
呼び止めるが、彼女は一歩も退かなかった。
「私は沙城香織。そのスパーダに用があるの。私たちの目的は停戦と協力よ。こちらから危害を加えるつもりはない。考えてもらえない?」
「…………」
男は答えない。鋭い視線でスパーダを構えたままだ。
「名乗られた以上名前くらいは教えておいてやる。魔堂(まどう)魔来名(まきな)。それが俺の名だ」
「魔堂、魔来名……」
それが俺たち以外の初めて出会ったスパーダの名前。魔堂魔来名。それと天黒魔。沙城さんが探しているロストスパーダか。
「それで、提案はどうかしら」
「笑止」
男の返答に沙城さんの表情が険しくなる。
「セブンスソードはスパーダ同士の殺し合い。それが嫌なら念仏でも唱えるんだな、俺が楽にしてやる」
「そんな」
交渉は決裂だ。魔来名に協力する意思はない。
その男が俺たちを見てきた。切れ長の青い目が底冷えするほどの冷たい視線を放っている。
見ただけでただ者でないと分かる。
なんなんだ、こいつは……。こんな人、見たことがない。オーラがすごい。こうして対面しているだけなのに圧倒されてしまう。
男は俺たちと距離を取ると立ち止まる。パーシヴァルの光がさきほどよりも強くなっている。間違いない。
「あんたも、スパーダか」
この男も、俺たちと同じ。セブンスソードの参加者。俺たちはそんなものから生き延びようと話し合い協力してきた。
だが、この男は違う。こうして対峙しているだけで、向けられてくる殺気が分かる!
「待ってくれ!」
ほっとけばすぐにでもこの男は攻撃してくる。そう思ったから声をかけていた。
「あんたもスパーダの一人なんだろ? セブンスソードっていう殺し合いの儀式に巻き込まれた。俺たちは戦う気なんてないんだ」
訳も分からず突然放り込まれたこんな儀式に参加する気なんてない。殺し合いなんて望んでいない。
「セブンスソードなんて殺し合い、誰だってしたくないはずだ。俺たちは誰にも危害を加える気なんてない」
今まで平和に暮らしていた。そこに不満なんてなかった。
こんなこと望んでいない!
「なるほど」
男がしゃべった。なにがなるほどなのか、緊張が高まる。
男は嘆息するように話し出した。
「しょせんは茶番か。話にならん」
呆れたような、侮蔑(ぶべつ)するような、そんな醒めた声。
その後表情を引き締め直し、俺たちを睨んできた。
「こい、スパーダ、天黒魔(あくま)」
男がつぶやく。それに合わせて男の手の平に光が現れた。
それは紫。そしてそれを覆う漆黒だった。その中から現れたのは日本刀であり、黒い鞘を掴む。
「戯れ言につき合うつもりはない。剣を出せ。それくらいは待ってやる」
そう言って男は構えた。腰を落とし居合いの構えを取る。
「ロストスパーダ!?」
男のスパーダに沙城さんが驚いた。
「ロストスパーダ? なら、こいつが」
沙城さんが探していたスパーダ。これを手に入れるか同行してもらわないと沙城さんの目的は果たされない。本当ならついてきてもらうのが一番いい。
でも、男は戦う気だ。
「うそだろ」
戦うのか?
今まで理性でなんとかフタをしていた危機感や焦燥感が一気に溢れてくる。予想してなかったわけじゃないけれど、いざこんな場面に立たされて心の準備ができていない。というか、殺し合いなんてしたくない。
「待って。あなた、名前は?」
沙城さんが前に出た。男に睨まれているのに一切怯んでいない。
「沙城さん!」
呼び止めるが、彼女は一歩も退かなかった。
「私は沙城香織。そのスパーダに用があるの。私たちの目的は停戦と協力よ。こちらから危害を加えるつもりはない。考えてもらえない?」
「…………」
男は答えない。鋭い視線でスパーダを構えたままだ。
「名乗られた以上名前くらいは教えておいてやる。魔堂(まどう)魔来名(まきな)。それが俺の名だ」
「魔堂、魔来名……」
それが俺たち以外の初めて出会ったスパーダの名前。魔堂魔来名。それと天黒魔。沙城さんが探しているロストスパーダか。
「それで、提案はどうかしら」
「笑止」
男の返答に沙城さんの表情が険しくなる。
「セブンスソードはスパーダ同士の殺し合い。それが嫌なら念仏でも唱えるんだな、俺が楽にしてやる」
「そんな」
交渉は決裂だ。魔来名に協力する意思はない。
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